世界を身近にするのは、英語ではなく「人とのつながり」
Bloomingfield株式会社 代表取締役 東屋 望美 氏
英語を学ぶこと自体を目的とするのではなく、英語を通じて人と人がつながり、人生の選択肢を広げていくことを目指す東屋氏。事業の原点は、創業者である母が自身の海外留学で感じた課題にあります。その想いを引き継ぎ、現在はオンラインの枠を越えた交流の機会づくりにも力を注いでいます。事業承継の経緯、経営判断で大切にしていること、組織との向き合い方、今後の展望について伺いました。
英語を学ぶ先にある、人と人とのつながり
――現在の事業について教えてください。
弊社は英語そのものを売る会社ではないと考えています。英語はあくまでもコミュニケーションのためのツールです。相手と会話をしたり、自分の好きなことを深めたり、人生を広げたりするために使うものだと思っています。
そのため、私たちが提供したいのは、単に英語を学ぶ機会ではなく、人と人がつながる機会です。会員の方が講師と実際に会ったり、海外に友達ができたり、日本に来た際に再会したりするなど、オンラインだけで完結しない関係をつくっていくことを大切にしています。
こうしたオンラインを越えたつながりは、私たちならではの特徴だと思っています。
――会社の理念やビジョンには、どのような想いが込められていますか。
世界をもっと身近に感じられる人を増やしたいと思っています。英語を学ぶことも、そのための一つの手段です。
ただ、目指しているのはさらに広いもので、海外に住む人とつながったり、自分自身が海外で暮らす体験をしたり、世界を知ることで人生の選択肢を増やしたりするきっかけをつくることです。
外国人の友人と話すと、その国や相手への理解が深まり、「行ってみたい」「この国の人はこういう考え方をするのだな」「こういうものを食べているのだな」と、関心が広がっていきます。
そうした小さなきっかけから、日本の外にある世界を知り、実際に足を運ぶことにつながってほしいと考えています。
海外での経験が、事業への想いを育てた
――Tomodachi-USAが生まれた経緯を教えてください。
Tomodachi-USAは、創業者である母がハワイ留学中に「学んだ英語を実際に使う場がない」という課題を感じたことから始まりました。
自分自身も13年間の海外生活を経験する中で、英語がまったく話せず、思うようにコミュニケーションが取れずに苦労した時期がありました。
その一方で、言葉が少しずつ通じるようになるにつれて、人とのつながりが広がり、「世界とつながることが人生を大きく変える」ということを実感しました。
その経験から、この事業にはもっと大きな可能性があると感じ、単なるオンライン英会話ではなく、人と人をつなぎ、人生の選択肢を広げるサービスへ発展させたいと考えるようになりました。
――経営を担うようになった直接のきっかけは何でしたか。
最初は、Tomodachi-USAのインストラクターとして事業に関わり始めました。実際に英語を話せない生徒の方と向き合う中で、なぜ話せないのか、どこで困っているのかという声を直接聞くようになりました。
お客様の声を聞くほど、「もっとこうしたら良くなるのに」と感じる場面が増え、その声に応えたいという想いが強くなりました。そこで、レッスンだけではなく、サービスや運営そのものの改善にも自ら踏み込むようになりました。お客様の声に最も応えられる立場は経営だと考え、自ら経営を担うことを決めました。
――経営判断で最も大切にしていることは何ですか。
目の前のお客様の未来が良くなるかどうかです。売上や利益も大切ですが、最も重視しているのは、その選択によってお客様が幸せになるかどうか、そして会社の理念と一致しているかどうかです。
短期的には効率が悪く見えることでも、長期的な信頼につながるのであれば大切にします。お客様とは一生付き合っていくという気持ちで事業をしています。そうした姿勢をお客様にも感じ取っていただけていることが、現在の事業につながっているのだと思います。
離れていても、人生まで理解する組織づくり
――社員や講師とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
密なフォローアップを大切にしています。講師は海外やハワイにいるため、普段のやり取りはチャットやGoogle Meetが中心です。そのため、定期的に話す機会を設けています。
話す内容は業務だけではありません。家族の様子や、お母さんが元気か、お子さんが成長して何をしているのかといったことも含め、その人の背景まで理解するようにしています。
その人が幸せに働けているか、Tomodachi-USAで働くことがその人の人生にとってプラスになっているかを意識しながら、コミュニケーションを取っています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
主体的に考え、お客様や会社のために動ける人です。こちらが仕事をつくって渡すことはできますが、小さな会社には、私やほかのスタッフからは見えていない改善点や仕事が数多くあります。
そうした点を自ら見つけ、社長のような目線で考え、必要な仕事をつくって進められる人は、とても一緒に働きやすいと感じます。
主体的に動いてもらうためには、私自身が何に困っているのか、会社に何が足りていないのか、どのようなことをしてほしいのかを常に伝えることも重要です。状況を共有しなければ、周囲もどう動けばよいのか判断できないため、課題を隠さず共有するようにしています。
オンラインを越え、直接つながれる機会を増やす
――今後、どのようなことに挑戦していきたいですか。
人とつながるという軸をさらに広げ、オフラインのイベントを増やしていきたいと考えています。現在は円安に加え、燃油サーチャージも高くなっており、海外へ行くことが難しい時期です。
だからこそ、日本にいながら外国人とつながれるイベントや、親子で参加できる企画をつくっていきたいと思っています。オンラインで学び、話すだけではなく、実際に同じ場所で会い、交流できる機会を増やしていきたいです。
――新しい挑戦に向けて、課題にはどのように向き合いますか。
今後どのような問題が起こるかは、現時点ではまだ分かりません。実際に取り組みを進める中で見えてくることも多いと思います。そのため、その時々の状況を見ながら、必要な対応や対処をしていくことになると考えています。
日常を離れ、新しい経験に身を置く
――影響を受けた人物や出来事について教えてください。
身近な存在では、両親から大きな影響を受けています。一つの想いを貫き、その想いに共感した人たちを巻き込みながら事業を形にしていく姿を、子どもの頃から見て育ちました。
また、私自身も13年間の海外生活を経験し、多くの人と出会う中で、人とのつながりが人生の可能性を大きく広げることを実感しました。国や文化が違っても、人との出会いが新しい価値観や挑戦につながり、人生の選択肢を広げてくれる。その経験が、現在の「世界をもっと身近に」という理念につながっています。
――どのようにリフレッシュしていますか。
仕事とはまったく異なる、非日常的なことをするようにしています。仕事のことを考えずに森の中へ入ったり、これまでにしたことのない新しい経験をしたりします。
海外へ行くことも、その一つです。日常から離れる時間を定期的につくることで、気持ちを切り替えています。