AIで“自分らしいキャリア”との出会いをつくる――株式会社OurStoryが挑む新しい転職体験
株式会社OurStory 代表取締役 渡部 雄大氏
転職活動において、「自分に本当に合う会社が分からない」と悩む人は少なくありません。株式会社OurStoryは、そうした課題に向き合うため、パーソナルキャリアAI「PREVIO(プレヴィオ)」の開発・運営を行っています。「誰もが自分らしく生きていける社会へ」というミッションを掲げ、一人ひとりの可能性を最大化する仕組みづくりに挑戦する渡部雄大氏。本記事では、創業の背景や経営への想い、組織づくり、今後の展望について伺いました。
誰もが自分らしく生きられる社会を目指して
――現在の事業内容や理念について教えてください。
当社では、パーソナルキャリアAI「PREVIO」(https://previo.jp)の開発・運営を行っています。
PREVIOは、転職サイトでもスカウトサービスでもない新しい形のキャリア支援サービスです。求職者のスキルや経験、希望条件、さらには働き方や価値観といった志向性までAIが理解し、その人に合った求人を提案します。
従来の転職活動では、膨大な求人情報の中から自分で探したり、届いたスカウトを一つひとつ確認したりする必要がありました。しかしPREVIOでは、特許技術(特許第7825249号)を活用したAIが求職者に合う求人を提案するため、転職活動の負担を大きく減らせます。
履歴書や職務経歴書をアップロードするだけで経歴を読み取り、希望条件やキャリア志向も踏まえてマッチングを行う仕組みです。また登録情報は応募するまで第三者に一切開示されない完全クローズド設計のため、転職を決めていない段階からも安心して利用できます。
私たちが掲げているミッションは「誰もが自分らしく生きていける社会へ」です。一人ひとりが持つ可能性を最大限発揮できる環境をつくりたい。その想いが事業の原点になっています。
「自分らしく生きる」を追求してきたキャリア
――これまでのキャリアについて教えてください。
私は新卒でエムティーアイに入社しました。そこで働く傍ら、NPOを立ち上げて全国の中学生・高校生向けのキャリア教育活動にも取り組んでいました。
地域で活躍する大人や東京で働く社会人など、さまざまな人と子どもたちが交流する場をつくっていたのですが、その中で印象的だったのは、選択肢を知った子どもたちの変化です。
「こんな仕事もあるんだ」「こういう生き方も面白そうだ」と視野が広がることで、自分なりの将来を考え始める姿を何度も見てきました。その経験を通じて、一人ひとりが自分らしく生きるきっかけを提供することの価値を実感しました。
その後、リブセンスでは就活会議や転職会議の事業責任者を務めました。そこで強く感じたのは、人の能力は環境によって大きく変わるということです。
組織のコミュニケーションの円滑化や、事業方針の明確化等に取り組んだ結果、同じメンバーでも成果が大きく向上した経験がありました。一人ひとりに合った環境があれば、本来の力を発揮できる。その考えは、現在の経営にもつながっています。
――起業を決意したきっかけについて教えてください。
私はもともと起業そのものを目的にしていたわけではありません。
これまでの経験を通じて、「誰もが自分らしく生きていける社会を実現したい」という想いが徐々に強くなっていきました。キャリア教育活動や、リブセンスやBeatrustといったHR領域での事業運営に取り組む中で、自分に合った環境や仕事と出会うことが、その人の可能性を大きく左右すると実感してきたからです。
そうした社会課題の解決方法を考える中で、最も適した手段が起業だと判断しました。社長になりたいという思いが先にあったのではなく、自分が実現したいミッションを追求した結果として、株式会社OurStoryの創業につながっています。
信頼を土台にした少数精鋭の組織づくり
――現在の組織運営で大切にしていることを教えてください。
現在の当社は少人数で運営している組織です。リモートワークを中心としながら、AIも積極的に活用し、最小人数で最大限の成果を出せる体制を目指しています。
その中で大切にしているのは、一人ひとりの考え方や価値観、働き方を尊重することです。
日常的なコミュニケーションはチャットやオンラインミーティングが中心ですが、単なる業務連絡ではなく、お互いを理解しながら信頼関係を築くことを意識しています。
一緒に働いているメンバーや業務委託の方々も、これまでの仕事を通じて関係を築いてきた方が中心です。「また一緒に働きたい」と思える方に声をかけさせてもらっています。
少人数だからこそ、一人ひとりとの信頼関係を大切にしながら組織をつくっています。
――今後仲間を増やしていく際、どのような方と一緒に働きたいと考えていますか。
最も重視しているのは、人として信頼できることです。
当社は少数精鋭の組織なので、お互いに背中を預けられるような関係性を築けるかどうかは非常に重要だと考えています。
専門性や経験を持ち、自分の領域を安心して任せられるプロフェッショナルであることも欠かせません。
人として信頼できることと、プロフェッショナルとして高い専門性を持っていること。その両方を兼ね備えた方とご一緒できれば、とても心強いですね。
求職者起点の転職市場をつくりたい
――今後実現したいことや展望について教えてください。
私が実現したいのは、HR市場の構造そのものを変えることです。
これまで転職市場は、企業が情報を発信し、求職者がその中から探す形が主流でした。しかし私は、求職者自身が主体となって自分に合う企業と出会える世界をつくりたいと考えています。
AI技術の進化によって、高精度なマッチングが実現できる時代になりました。PREVIOを通じて、求職者起点の新しい転職体験を広げていきたいですね。
――現在の転職市場にどのような課題を感じていますか。
多くの求職者が「自分に合う企業を探すのは難しい」と感じていることです。
実際に応募や面接まで進んだ後にミスマッチを感じるケースも少なくありません。私は、これが個人の問題ではなく、市場構造によって生まれている課題だと考えています。
企業向けのサービスは進化してきた一方で、求職者が本当に自分に合う企業を見つけるための仕組みは、まだ十分に発展していないのではないでしょうか。
だからこそ、より良いマッチングを実現できる環境づくりに取り組んでいきたいと思っています。
子どもたちの成長からもらうエネルギー
――休日はどのように過ごされていますか。
休日は子どもたちのサッカーの応援に行くことが多いです。
娘が二人いるのですが、どちらもサッカーをしているため、週末は試合会場への送迎や応援で過ごしています。私自身も学生時代にサッカーをしていたので、一緒に練習していることも多いです。
子どもたちが一生懸命頑張る姿を見ると自然と力をもらえますし、その時間が大きなリフレッシュになっています。
――経営において譲れない想いを教えてください。
社会に大きな価値を届けることです。
私は「起業したかったから起業した」のではなく、「解決したい社会課題があったから起業した」という意識を持っています。
そのため、事業を成長させること自体が目的ではありません。事業を通じてどれだけ社会課題を解決できるかを常に考えています。
これからも、一人でも多くの人が自分らしく生きられる社会の実現に向けて、挑戦を続けていきたいですね。