資産形成から円満な相続までを支える――証券と相続をつなぐ新たな仕組みづくりへの挑戦
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事 小林 裕氏
資産形成や投資教育、IFA支援、終活・相続サポートなどを通じて、一人ひとりのお金に関する課題解決に取り組む一般社団法人証券相続普及協会。代表理事の小林裕氏は、自身の人生経験と証券業界で培った知見をもとに、資産形成から相続までを見据えた支援に取り組んでいます。 本記事では、設立の背景や大切にしている価値観、今後の展望について伺いました。
資産形成から相続までを一貫して支える事業
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
私たちは大きく3つの事業を行っています。
1つ目は投資教育事業です。個人・法人を問わず、コンサルティングやセミナーを通じて金融リテラシーや投資リテラシーの向上を支援しています。投資というと難しいイメージを持たれる方も少なくありませんが、お金に関する正しい知識を持つことは、これからの時代を生きるうえで欠かせないものだと感じています。
2つ目はIFA向けの営業支援事業です。資産運用のアドバイスを行うIFAが増えているなかで、独立直後から事業を軌道に乗せるまでのノウハウや現場で培った経験を伝えています。これは専門家向けの教育事業ともいえる取り組みです。
3つ目が終活・相続サポート事業です。資産形成を進めることでお金は増えていきますが、その先には「どう引き継ぐか」という課題が生まれます。自分が亡くなる前後のタイミングで資産をどう管理し、どのように残していくのか。そうした悩みに向き合う窓口として活動しています。
相続は法律との関わりも深く、私たちだけで解決できるものではありません。そのため、税理士や弁護士などの専門家と連携しながら、お客様ごとに異なる課題に対応しています。
資産を増やすことだけを目的にするのではなく、その先にある人生や家族まで見据えてサポートすること。それが当協会の大きな特徴だと思っています。
自身の経験が事業の原点になった
――事業を立ち上げたきっかけを教えてください。
私が高校生の頃、父を事故で亡くしました。
突然、家族の状況が大きく変わり、経済的な不安とも向き合うことになりました。周囲の支えのおかげで大学へ進学できましたが、その経験を通じて、お金の問題が人生に与える影響の大きさを痛感したんです。
さらに父の死をきっかけに、親族間で相続に関する問題も起こりました。本来であれば家族が支え合う場面のはずなのに、そうならない現実を目の当たりにしたことは今でも強く印象に残っています。
だからこそ私は、「資産を増やすこと」だけでなく、「その資産をどう次の世代へつないでいくか」まで考えることが大切だと思うようになりました。
その後、新卒で証券会社に入社し、約8年間資産運用の現場に携わりました。お客様の資産形成を支援する仕事にやりがいを感じる一方で、相続や人生の終盤について深く話す機会は多くありませんでした。
そこで独立し、IFAとして活動を始めたのですが、今度は別の課題が見えてきました。証券業界の人間は相続に詳しくなく、反対に相続の専門家は証券や資産運用を十分に理解していない。両者の間に大きな隔たりがあったんです。
それなら、その橋渡し役が必要ではないか。そう考えて設立したのが一般社団法人証券相続普及協会です。
父を亡くした経験も、証券業界で感じた課題も、すべて今の活動につながっています。
人とのつながりを大切にする組織づくり
――仕事をするうえで大切にしている価値観を教えてください。
私が仕事で大切にしているのは、クオリティとスピード、そしてコミュニケーションです。
お客様と関わる以上、提案の質にはこだわりたいですし、その先にある人生の質の向上にも貢献したいと考えています。また、どれだけ良い提案でもタイミングを逃してしまえば価値を十分に発揮できません。そのため、質とスピードの両立を常に意識しています。
近年はAIの普及によって業務効率化が進んでいますが、だからこそ人と人とのコミュニケーションの重要性は高まっていると感じています。LINEやメールだけでは伝わらないことも少なくありません。
現在は資産運用アドバイザーとして活動するなかで、多くの仲間と情報交換を行っています。一方で、事務作業など効率化できる業務にはAIを積極的に活用しています。業務効率を高めながら、お客様と向き合う時間をしっかり確保することを大切にしています。
――組織づくりや、一緒に働きたい人材像について教えてください。
もし今後新たな仲間を迎えるとしたら、理念や価値観に共感してくれる人と一緒に働きたいですね。
価値観はその人が生きてきた経験によって形づくられるものです。だからこそ否定するつもりはありません。ただ、目指す方向が大きく異なると同じゴールに向かうことは難しくなります。
証券と相続、両方の専門性を高めながら挑戦を続けたいという思いに共感してくれる方と出会えたら、とても面白い取り組みができると思っています。
AIと金融の融合で新たな可能性を切り拓く
――今後取り組みたいことについて教えてください。
現在は、金融マン向けのオンラインサロンの立ち上げと、AIを活用した金融サービスの可能性に取り組みたいと考えています。
金融業界にはさまざまな悩みや課題を抱える方がいます。そうした方々に対して、資産運用の知識やノウハウも含めた支援ができる場をつくりたいですね。私自身が培ってきた経験を活かしながら、業界で活躍する方々を後押ししていければと思っています。
また、金融業界はコンプライアンスが厳しい一方で、AIを活用できる余地も大きいと感じています。経済ニュースや市場動向など、多くの情報を扱う仕事だからこそ、効率化につながる場面は少なくありません。
私たちが大切にしている投資哲学や運用スタイルをAIへ反映できれば、より多くのお客様へ価値を届けられる可能性があります。もちろん課題も出てくると思いますが、一つひとつ向き合いながら新たな可能性を広げていきたいですね。
成長を止めず、プロとして歩み続ける
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法について教えてください。
私は毎日をできるだけノンストレスで過ごすことを意識しています。睡眠をしっかり取り、ジムやゴルフで体を動かすことが主なリフレッシュ方法です。
学生時代から続けているバスケットボールも大切な存在です。現在は子どもがバスケットボールをしているので、一緒に練習に付き合うこともあります。同じ競技を通じて時間を共有できるのは嬉しいですね。
――最後に、これからも譲れない思いを教えてください。
私が大切にしているのは、成長を止めないことです。自分自身も組織も成長を選び続ける存在でありたいと思っています。
証券と相続という専門性の高い分野に携わる以上、学び続ける姿勢は欠かせません。専門職業人としての誇りを持ち、この分野のプロであり続けたいですね。これからも知識と経験を積み重ねながら、お客様へより良い価値を届けていきたいと思います。