自分が輝くことで、人が輝く。個の強みを言語化し、組織の可能性をひらく
株式会社ReGo 代表取締役 小櫃 翔真 氏
人材開発と組織開発を軸に、企業やそこで働く人の強みを言語化し、採用や人材配置、チームビルディングの最適化を支援する小櫃氏。経営者やコアメンバーへのインタビューを通じて、表面的な特徴だけでなく、本人も気づいていない才能や価値観まで丁寧に捉え、組織の力へとつなげています。事業に込めた思い、経営の軸、組織との向き合い方、そして今後の展望について伺いました。
目次
「自分が輝くことで、人が輝く」を組織づくりへ
――現在の事業内容について教えてください。
人材開発と組織開発を事業の中心に据えています。現在は法人向けの支援が中心で、人材の特徴を言語化し、その内容を踏まえてチームビルディングを最適化しています。
具体的には、会社のビジョンや社長、コアメンバーの思いを伺いながら、すでに言葉になっている強みだけでなく、まだ言語化されていない魅力や可能性も整理します。その結果を、採用の最適化、人材配置の見直し、離職率の低下などにつなげています。
――事業の特徴や、他社との違いはどこにありますか。
経営判断を担う方にしっかり関わっていただく一方で、現場で働く方々の強みや才能、課題にも細かく耳を傾ける点です。できることだけでなく、「本人が何をやりたいのか」まで含めて捉え、パフォーマンスを最大化できる状態を目指します。
インタビューでは、現在の事業や表面的な強みだけでなく、これまでどのような人生を歩み、どのような教育を受けてきたのかといった背景も伺います。
その中から、本人が抱えている恐れや本当に望んでいること、本人自身も認識していなかった能力を受け取り、言語化していくのです。気づきを得てもらい、自分の力を認識してもらうところまで関わることが、特徴だと考えています。
自己犠牲から、自分の感覚を信じる経営へ
――経営の道に進んだきっかけを教えてください。
会社員として約7年間働く中で、私は人のために動くことが自分の価値だと、無意識に考えていました。もともと前に立つことも好きでしたが、それ以上に、人の役に立つことを優先してきたのだと思います。
独立後は、自分自身に向き合う機会が増えました。他者から客観的なフィードバックを受けたり、内省する時間を持ったりする中で、自分を大切にできていなかったこと、本来の強みに蓋をしていたことに初めて気づきました。そこから、自分の能力を生かしたいという思いが強くなり、現在の事業へと方向転換しました。
――経営判断で大切にしていることは何ですか。
自分の感覚、特に直感を大切にしています。「これをしたい」と感じたら、その気持ちを受け取り、自分との約束を守るように実現させることを意識しています。
直感の後には、「周囲からどう見られるか」「嫌われるのではないか」「お金が足りないのではないか」といった思考が生まれます。そうした思考自体が悪いわけではありませんが、これまでの人格形成や価値観が影響しています。
だからこそ、自分がなぜそう考えるのかを見つめ、自分を知り、信じたうえで意思決定することを大切にしています。周囲を気にした判断ではなく、自分が感じたことに責任を持つ経営を続けたいです。
本音を引き出すのではなく、本音が生まれる関係をつくる
――組織内のコミュニケーションで意識していることは何ですか。
本人が何を感じているのかを、しっかり聞くことです。ただし、単に話を聞けばよいわけではありません。大切なのは、本人の感情と本音が一致した言葉を聞けているかどうかです。本音を無理に引き出そうとした時点で、本当の意味での本音ではなくなることもあります。
そのため、まずは安心して話せる関係をつくります。立場や上下関係への意識をできる限り取り払い、一人の人間同士として対等に向き合うことを心がけています。
――オンラインで信頼関係を築くために、どのような工夫をしていますか。
聞く側が自分の意思や主張を重ねすぎないことです。相手の話に対して、すぐに「それはこういうことだ」と解釈を加えるのではなく、「そのように考えているのだ」と受け取ります。その積み重ねによって、相手に「ここでは話してもよい」と感じてもらえる状態をつくります。
ちなみに、現在は一人で会社を経営していますが、業務委託や外部の協力者を含めると、事業に関わっているのは約20人です。案件ごとに、それぞれの特性や力を生かせるメンバーでチームを組成しています。
日常的なやり取りはオンラインが中心だからこそ、役職や立場ではなく、人そのものに興味を持って対話することを重視しています。
人の生きづらさを減らし、日本の幸福度を高めたい
――今後、法人向け事業をどのように発展させていきたいですか。
法人向けには、私が持つプロファイリングの考え方や技術を提供し、社内で活用できる状態をつくっていきたいです。現在も顧問として伴走しながら、組織内のパフォーマンス向上を支援しています。今後は、こうした支援先を増やしていくことが一つの目標です。
ただ、事業の内容は抽象的・哲学的に受け取られることもあり、導入後の変化を事前にイメージしにくいという課題があります。現在は、紹介や実際にお会いしたことをきっかけに依頼をいただくケースが中心です。
より多くの方に考え方を知っていただくため、接点を増やし、同じような思いを持つ方々とつながることが必要だと考えています。
――教育分野では、どのようなことに挑戦したいですか。
親子向けの教育にも取り組んでおり、今後はさらに広げていきたいです。掲げているのは、日本の人生の幸福度を世界基準にしたいという思いです。
子どもたちが本来持っている感性や五感、自分の気持ちに気づける環境をつくりたいと考えています。社会の中で苦戦することがあっても、自分の声を聞く習慣があれば、自分らしい生き方を思い出せるはずです。
現在はオンラインを中心に進めていますが、今後は対面の場を設けることや全国に広げること、書籍を通じて考え方を届けることにも取り組んでいきます。
余白と未知の体験が、自分の枠を広げる
――休日やリフレッシュの時間は、どのように過ごしていますか。
できるだけ余白を確保し、五感を養うことを意識しています。半日何もしない時間をつくったり、デジタル機器から離れて公園や自然の中で過ごしたり、本を読んだりします。自分が何を求めているのかを感じ、その時に必要な過ごし方を選ぶようにしています。
また、自分が経験していないことを体験し、自分の枠を広げることも大切にしています。スカイダイビングや即興演劇、即興ダンスなど、思考より先に体を動かす体験にも取り組んできました。
考えてから動くだけでは、自分で決めた枠の中にとどまりやすくなります。知らない文化や考え方を実際に体感することで、初めて得られる実感があります。その経験を言葉にし、人に伝えることもできます。
経営には迷いや苦しい局面もありますが、市場に合わせなければならないという不安にのみ動かされるのではなく、ただ自分を信じてほしいと思います。「これをしなければ事業がうまくいかない」と決めつけず、自分の感覚に耳を傾けることが大切です。