学校現場の課題から生まれた挑戦――Lücke Labが目指す「我慢しない世界」 

株式会社Lücke Lab(リュッケラボ) 代表 小野 亜由美氏

株式会社Lücke Labは、学校現場で感じた課題を起点に、新たな価値創造に挑戦しているスタートアップ企業です。2026年1月に設立された同社は、まだ事業立ち上げの初期段階にありますが、「まだ気づかれていない隙間を見つける」という理念のもと、身近な課題の解決に取り組んでいます。今回は代表の小野亜由美氏に、会社設立の背景や事業への想い、今後の展望について伺いました。   

学校現場で感じた課題から事業をスタート

――会社を立ち上げたきっかけを教えてください。

株式会社Lücke Labを立ち上げたのは2026年1月29日で、設立からまだ間もない会社です。

私自身の本業は私立学校の教員で、理科を担当しています。長年学校現場に身を置く中で、学校と社会の間にはまだ大きな隔たりがあると感じていました。学校には保護者以外の大人や企業が関わる機会が少なく、社会との接点が限られている現状があります。その課題を感じる中で、「まずは自分自身が学校の外へ出てみよう」と考えました。

そのきっかけとなったのが、経済産業省が後援する起業家育成プログラムへの参加です。プログラムでは事業アイデアを持つ参加者が集まり、講義や実践を通じて事業化を目指します。そこで私が着目したのが、学校という閉鎖的な空間で生徒たちが抱える「匂いのトラブル」でした。この課題を解決できないかと考えたことが、現在の事業の原点になっています。

現場にいるからこそ見える課題が強み

――現在取り組まれている事業の特徴や強みについて教えてください。

最大の強みは、私自身が教員として日々生徒たちと接し、彼らが抱える課題を直接受け止められることだと思っています。

実際に目の前で起きている困りごとを見聞きし、その課題感を肌で感じながら事業を考えられることは大きな特徴です。現場で起きていることをダイレクトに把握できるからこそ、本当に必要とされるものを考えられるのではないかと思っています。

一方で、会社としてはまだ立ち上げたばかりであり、「他社よりここが圧倒的に優れている」と言い切れる段階ではありません。まずは目の前の課題に真摯に向き合いながら、一歩ずつ事業を形にしていきたいと考えています。

「まだ気づかれていない隙間」を見つける

――会社の理念やビジョンについて教えてください。

当社では「まだ気づかれていない隙間を見つける」という理念を掲げています。

世の中には多くの人が見過ごしている小さな課題が数多く存在しています。そうした課題を一つひとつ見つけて解決していくことで、多くの人がより生きやすく、我慢をしなくてよい世界をつくりたいと考えています。

大きな社会課題だけではなく、身近な困りごとにも目を向けることが重要だと思っています。その積み重ねが、人々の暮らしや学びをより良いものにしていくと考えています。

教育の現場に示したい「実践する姿」

――経営の道に進まれた理由を教えてください。

もともと経営者になりたいと思っていたわけではありません。

出発点はあくまでも目の前にある課題を何とかしたいという思いでした。しかし、その思いを形にする過程で、実際に会社を立ち上げて挑戦してみることに大きな意味があると感じるようになりました。

現在の学校教育では、アントレプレナーシップ教育や探究学習が注目されています。生徒たちは社会課題について考え、多くのアイデアを生み出していますが、その多くはアイデアの段階で終わってしまうのが現状です。

私自身も同じようにアイデアだけで終わらせることはできたかもしれません。しかし、自ら行動し、実際に社会へ出してみることで見える景色があるのではないかと考えました。その経験を通じて、生徒たちに示せる背中も変わるのではないかと思ったのです。だからこそ、事業化と経営に挑戦することを決意しました。

――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。

事業を実現するためにはコストや人とのつながりなど、さまざまな要素が必要です。実際に取り組む中で、その難しさも強く感じています。

それでも私たちが最終的に目指したいのは、「みんなが我慢しない世界」です。その理念から外れてしまうような判断はしたくありません。費用面だけを優先したり、本当に求められているものと異なる形で世の中に出したりすることは、私自身が納得できないと考えています。理想に向かい続けることを大切にしながら経営を進めていきたいと思っています。

学びを社会へつなぐ架け橋を目指して

――今後の展望について教えてください。

現在は、匂いの課題解決を目指したアロマプロダクト「Müto(ミュート)」の実現が第一段階だと考えています。まずはこのプロダクトを社会に届けることが重要です。

その先に見据えているのは、学びの場で生まれたアイデアを社会へ送り出せる環境づくりです。学校の中だけで終わるのではなく、多くの人が学びの中で考えたアイデアを形にできる場をつくりたいと思っています。

私たちだけで実現できることには限界があります。資金面やノウハウ面など、多くの協力が必要になるでしょう。そのため、Lücke Lab自身がハブとなり、さまざまな人や組織をつなぎながら、学生や学習者のアイデアを社会へ届ける役割を担えればと考えています。

共に学び、挑戦を楽しめる仲間と

――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。

現在は共同経営者と2名体制で事業を進めています。今後組織を広げていく中では、教育に対する課題意識や、「我慢しない世界をつくる」というビジョンを共有できることが大切だと考えています。

また、私自身もまだ多くのことを学んでいる途中です。そのため、一緒に学びながら挑戦を楽しめる方と働きたいと思っています。教育は学校だけのものではなく、社会全体に関わるものです。多様な視点を持つ人たちが関わり合いながら、新しい価値を生み出せる会社にしていきたいと考えています。

和文化に触れながら心を整える

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

私は学ぶことが好きなので、休日もさまざまなことに触れています。その中でも、着物をはじめとする和文化に親しむ時間は大切なリフレッシュになっています。

和文化に触れ、実際に身にまとうことで気持ちが整い、新たな視点を得ることができます。そうした時間が、日々の活動や新しい挑戦への活力になっています。

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