社員に報いる理念を軸に、北関東から100億円企業を目指す

株式会社アケボノ 代表取締役 細田 健一氏

熊谷市曙町で事業を始めて54年。塗装・防水・大規模修繕に特化し、専門性のある提案と施工部隊を強みに事業を続けてきました。現在は1店舗体制のまま売り上げ20億円を超え、北関東における基盤づくりを進めています。

大切にしているのは、「安心で快適な改修工事を提供する」ことと、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ことです。社員に報いたいという思いを軸に、休日や給与水準にも向き合いながら、2031年の売り上げ100億円を目指しています。

理念を掲げてから、企業は大きく変わった

――企業の成り立ちを教えてください。

父が熊谷市の曙町で事業を始めたのが始まりです。私は10年前から社長を引き継ぎ、経営をしています。当社の特徴は、塗装、防水、大規模修繕という工事に特化していることです。塗装工事や防水工事の専門性が、ほかの企業よりあることが強みといえます。

専門的な提案ができることに加えて、専門的な施工部隊を持っている点も大きいと考えています。提案から施工まで、専門性を持って対応できる体制があります。

――企業理念について教えてください。

企業理念は2つあります。1つ目は「塗装・防水・大規模修繕を通じ、安心で快適な改修工事を提供する」ことです。

2つ目は「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ことです。この2本柱で企業を運営しています。

この理念が生まれた背景には、私の過去の病気があります。6年前にガンを患い、ステージ3という診断で5年生存率が19.2%と言われ、1年ほど闘病していました。

そのときに、いろいろなことを考えたのです。それまでは企業理念もありませんでしたが、「いままでやってきたことが何も残っていないのではないか」「社員に恩返ししなければいけない」といった思いが出てきました。

そこで企業理念をつくり、運用し始めました。理念をつくってから、5期連続で売り上げが130%ずつアップして現在に至っています。理念を掲げ、それに沿って企業を動かすようになったことは、大きな変化でした。

小学生の頃から思い描いていた、社長になるという道

――経営者を目指すようになったきっかけを教えてください。

私は小学校のときから、自分は社長になると思っていました。何の事業をやるかまでは考えていませんでしたが、漠然と「社長になるんだ」と思い込んでいたのです。

学校を出て、最初に就職したのはリクルートです。営業職として2年半ほど働き、いろいろな先輩から教わりました。その後、実家に帰ったところ、父が経営する企業を手伝うことになりました。そこで、1年ほど営業職を経験しましたが、父への対抗心もあり、23歳のときに自分で独立して企業を立ち上げたという経緯があります。

その企業は、10年で売り上げが50億円ほど、社員数が430人ほどまで成長しました。ただ、その後は民事再生を申請することになりました。そうした経験を経て、現在の株式会社アケボノを父親から引き継ぎ、経営しています。

――経営判断の軸として大切にしていることは何ですか。

私は、社員に報いたいという思いを大切にしています。休日については、2024年が130日、2025年が127日です。同業のほかの企業よりも休みを多くしたいと考えています。

残業時間については、月25〜30時間ほどに設定しています。効率的に仕事を進め、労働時間を減らすことも心がけています。

給与については、平均給与の1.5倍を全社で目指しています。昨年の平均では、営業が690万円、工事部が570万円でした。給与と休日は、私にとって大きな軸です。

理念を判断軸に、社員が自走する組織へ

――社員の主体性を引き出すために、どのようなことをされていますか。

特別な工夫をしているというより、私は結構みんなに任せています。逆に言うと、自走してもらわないと困るのです。基本的には企業理念に則って、それぞれが判断し、自走してもらう形です。社員一人ひとりが自分で考えて動くためにも、やはり理念が判断軸になると思っています。

――社員とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか。

当社は現在、1店舗を運営しています。私は以前の企業で21店舗の多店舗展開をしていました。その経験から、1店舗であれば価値観やカルチャーが作りやすい一方で、多店舗になると共有が難しくなると感じたからです。

売り上げは20億円を超えていますが、50億円までは1店舗でやろうと思っています。ちなみに、社員とは会話が多く、企業としても、風通しは良いほうだと感じています。みんながいろいろ話しながら仕事をしていることが、現在の雰囲気につながっているのです。

北関東を固め、2031年に売り上げ100億円へ

――これからの展望について教えてください。

2027年、2028年で、まずは1店舗で売り上げ高50億円を達成したいと考えています。現在の商圏は、埼玉、群馬、栃木の3県です。この3県の人口は大体1,100万人です。

2027年、2028年で北関東を固め、50億円を達成してから多店舗展開をしたいと思っています。その後は、千葉、東京、神奈川に進出していく計画です。そして、2031年には100億円を達成したいと考えています。

市場としても、可能性はあると思っています。一都六県では、おそらく500億円くらいまでできると見ています。現在の埼玉、群馬、栃木の市場だけでも、1,600億円ほどあると考えています。その1割を取るだけでも160億円です。現実的に可能な市場だと思っています。

――その挑戦に向けて、課題だと感じていることはありますか。

課題は、支店展開したときの管理職の育成です。いまはまだ1店舗なので、管理職も私が実際に目で見て指導できます。

ただ、支店展開をしたときに、管理する人の育成ができていないと苦戦すると思っています。それに対して、商圏が広がれば採用は楽になると考えています。熊谷で採用するより、南に行けば行くほど採用はしやすくなると思います。

100億円を達成するまで続ける、毎朝のトレーニング

――これまでのキャリアで、特に影響を受けた経験はありますか。

影響を受けたのは、最初に就職したリクルートです。そのころは、どんどん営業をしていく雰囲気がありました。現在はどのような方針なのかわかりませんが、昔はかなり勢いがありました。

そして、私のチームには、東大、北海道大学、広島大学など、国立大学出身の人たちが多くいました。そのなかで売り上げを競っていたような状態です。私は当時、一番年下であり、本当にいろいろなことを教えてもらいました。その経験は、現在の自分にも大きく影響していると思います。

――リフレッシュの方法はありますか。

リフレッシュという意味では、土日もずっと仕事のことを考えています。あえて挙げるなら、サウナに行くくらいでしょうか。

100億円という目標があるからこそ、日々の積み重ねを大切に続けています。北関東で基盤を固め、50億円、そして2031年の100億円へ。これからも、社員に報いるという理念を軸に、挑戦を続けていきます。

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