中小企業の上場を支える監査法人へ――天照有限責任監査法人が描く成長支援のかたち
Amaterasu有限責任監査法人 代表 福留 聡氏
Amaterasu有限責任監査法人は、上場企業監査や上場準備企業の監査を中心に手掛ける監査法人です。大手監査法人出身の公認会計士が集まり設立され、グループ監査や海外子会社監査、IT監査に強みを持っています。近年、上場維持基準や新規上場基準の厳格化により、中小企業にとって上場へのハードルが高まる中、同法人は企業の成長を支援する存在として事業を展開しています。今回は代表の福留聡氏に、法人設立の経緯や強み、今後の展望について伺いました。
中小企業の成長を後押しする監査法人として
――監査法人の立ち上げに至った経緯を教えてください。
Amaterasu有限責任監査法人は4年前に設立しました。設立当初は、監査法人トーマツ広島事務所でともに働いていたメンバーを中心に声を掛け、「一緒にやらないか」と呼びかけたことが始まりです。現在も大手監査法人出身者を中心に体制を構築しており、専門性を活かした監査サービスを提供しています。
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当法人では、上場企業監査と上場準備企業監査を主な業務としています。そのほか、会社法監査や任意監査にも対応しています。
特徴としては、連結グループ監査や海外子会社監査に強みがあることです。特にIFRSやUS-GAAPを採用する海外子会社を含むグループ監査に対応できる体制を整えています。また、IT監査に強い公認会計士を配置しており、近年ますます重要性が高まるIT分野への対応力も強みの一つです。
――法人としてどのような理念や想いを持っていますか。
近年は上場維持基準や新規上場基準が厳格化し、上場企業数や新規上場数が減少しています。その影響で、上場準備を始めたくても監査法人や証券会社に受託してもらえない企業も増えています。
そのような状況の中で、当法人はスモールビジネスや中小企業の上場支援に力を入れています。東京プロマーケットや地方証券取引所なども含め、規模の小さな企業が上場を目指す際の支援を積極的に行い、企業の成長や経営者の挑戦を後押ししたいと考えています。
公認会計士としての経験を活かし独立の道へ
――経営者の道に進まれたきっかけを教えてください。
私が公認会計士試験に合格した2002年頃は、多くの会計士が大手監査法人で監査業務に従事していました。そのため、キャリアとしては大手監査法人でパートナーを目指すか、自ら独立して会計事務所や監査法人を立ち上げるかという選択肢が一般的でした。
私は大手監査法人に残らない場合には、自分で事業を立ち上げることを以前から考えていました。会計士の主な業務である監査、コンサルティング、税務の中でも、監査は公認会計士の本来的な業務です。その監査業務を通じて中小企業やスモールビジネスを支援し、上場企業へと成長していく過程を支えたいという思いから監査法人を設立しました。
――経営判断の軸となっている考え方を教えてください。
監査法人は、どの企業でも無条件に受け入れるというわけにはいきません。監査の結果として適正意見を出した後に不正が発覚した場合、監査法人にも責任が及ぶためです。
一方で、現在の売上規模や利益規模だけを理由に企業を断ることはありません。重要なのは、その企業が適切な内部統制を整備し、不正の起こりにくい強固な基盤を構築できるかどうかです。成長意欲のある企業に対しては、監査だけでなく会計や税務に関する助言も含めて幅広く支援していきたいと考えています。
自律した専門家集団による組織運営
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
コロナ禍以前はクライアント先への訪問が中心でしたが、現在はリモートと対面を組み合わせた運営が主流となっています。そのため、オンラインを活用しながら、日常的なコミュニケーションを密に取ることを重視しています。
また、当法人には一般的な従業員という形態はなく、全員がパートナー役員として活動しています。それぞれが責任を持って監査業務を行い、クライアントとの交渉や各種業務を自ら完結させる体制です。そのため、自律性の高い人材が集まる組織を目指しています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
営業活動からクライアントとの関係構築、監査業務の実施、そして監査意見の判断まで、一連の業務を自ら完結できる人が理想です。
また、英語やAIなど、今後必要になる知識やスキルを自ら察知し、継続的に学び続けられる人とも一緒に働きたいと考えています。
パートナー拡充と上場支援のさらなる強化へ
――今後の展望について教えてください。
まずはパートナー役員を増やしながら、組織基盤をさらに強固なものにしていきたいと考えています。監査業務においてもAIの活用が進んでいるため、業務効率化を進めながら、最終的な判断や責任をパートナーが担う体制を強化していきます。
事業面では、これまで多く手掛けてきた東京プロマーケットの上場準備支援に加え、東京証券取引所のグロース市場、スタンダード市場、プライム市場や地方証券取引所への上場準備支援にも力を入れていきたいと考えています。特に時価総額50億円規模前後の企業を対象とした市場で存在感を高めていきたいと考えています。
――今後の課題と取り組みについて教えてください。
人材面では、優秀な公認会計士を継続的に迎え入れることが重要な課題です。当法人では、既存パートナーや知人の会計士ネットワークを活用しながら人材確保を進めています。
営業面では、新規上場企業数の減少という市場環境の変化があります。そのため、会計士同士のネットワークだけでなく、証券会社やジェイ・アドバイザー 、上場を目指す企業とのつながりを広げていくことが重要だと考えています。幅広いネットワークを構築し、いつでも相談できる関係性を築くことで、新たな支援の機会につなげていきたいと思っています。
日々の努力が未来を切り開く
――影響を受けた人物や価値観について教えてください。
私は野球が好きで、元メジャーリーガーの黒田博樹氏に影響を受けています。特に「苦しまずして栄光なし」という考え方に共感しています。
日々の鍛錬や努力は決して楽なものではありませんが、小さな積み重ねが大きな成果につながります。仕事においても、クライアントへのサービス向上や営業活動などを地道に続けることが、最終的には監査法人の成長につながると考えています。
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
休日は野球を楽しむことが多く、定期的に運動しています。また、格闘技のトレーニングやパーソナルジムにも通っています。
そのほか、野球や格闘技、サッカー観戦、音楽鑑賞も好きです。さらに、お寿司やラーメンの有名店巡りなども楽しみの一つです。こうした時間を通じて心身をリフレッシュし、日々の業務に向き合っています。