神戸発の「挑戦と創造の循環」を目指して――地域産業を未来へつなぐビジネスプロデュース
一般社団法人Be Next KOBE 代表理事 波々伯部 誠一郎氏
地域経済の活性化や地方創生が全国的な課題となるなか、神戸の歴史や伝統産業に着目し、新たな産業振興モデルの構築に取り組んでいるのが一般社団法人Be Next KOBEです。行政主導ではなく、地域の人材や資金、事業を循環させる独自の仕組みづくりを進めています。本記事では、代表の波々伯部誠一郎氏に、現在の取り組みやビジョン、組織運営の考え方、今後の展望について伺いました。
地域に根差した産業振興モデルへの挑戦
――現在取り組まれている事業の特徴や強みについて教えてください。
私たちは神戸を拠点に、地域の産業振興に取り組んでいます。日本全体を活性化するためには、政令指定都市が元気になることが重要だと考えており、そのモデルケースとして神戸で活動しています。
神戸には日本酒や靴産業、製造業、農業など、多様な産業が存在しています。こうした地域資源を活用しながら、地域の産業を地域で支える仕組みをつくることを目指しています。そのために2025年12月、一般社団法人Be Next KOBEを設立しました。
私たちの特徴は、神戸経済圏という地域に限定した活動を行っていることです。いわゆるコンサルティングではなく、「ビジネスプロデュース」という考え方を掲げています。地域の課題を外部に依存するのではなく、地域の人材や事業者とともに解決していくことを重視しています。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
最大の特徴は、地域密着型の運営にあります。行政に頼るのではなく、地域内で事業や人材、資金を循環させる仕組みづくりとその先にある新産業創出に取り組んでいます。
また、短期的な成果を追うのではなく、向こう30年の長期視点で地域に関わり続ける覚悟を持って活動している点も特徴です。各社の新規事業開発を支援するだけでなく、産業創出となると、地域から離れず、継続的に価値を生み出していくことが大切だと考えています。
挑戦する人が増える社会を目指して
――理念やビジョンにはどのような想いが込められているのでしょうか。
私たちのビジョンは「挑戦と創造の循環促進社会の構築」です。
アイデアを持っている人が挑戦し、その挑戦が事業として形になり、さらに新たな挑戦を生み出していく。そうした循環が生まれる社会を目指しています。
大きな企業を生み出すことだけが目的ではありません。地域のなかで小さくても持続可能な事業が数多く生まれ、地域経済の循環につながることに大きな価値があると考えています。
神戸からユニコーン企業を生み出すことよりも、地域や自社の強みを捉え、神戸発で全国や世界に羽ばたく事業を育てていく、また各種取り組みにおいて地域内でビジネスが循環するモデルを構築することに意義を感じています。
――現在の活動につながる経緯について教えてください。
以前は大手コンサルティングファームに所属していました。しかし、現場と向き合うなかで、大手コンサルティングだけでは地域を変えることは難しいと感じるようになりました。
その経験から、コンサルティングという枠組みを超えたビジネスプロデュースという考え方にたどり着きました。
将来的には、公認会計士という資格以上に、ビジネスプロデューサーという肩書きが社会的な価値を持つ存在になればと考えています。
ワクワクを原動力にした組織づくり
――経営判断をするうえで大切にしている価値観を教えてください。
判断基準として最も重視しているのは、自分自身がワクワクするかどうかです。
もちろん事業としての収益性は重要ですが、それ以上に心から面白いと思えるか、自分が情熱を持って取り組めるかを大切にしています。その感覚がなければ長期的に続けることは難しいと考えています。
――組織運営やコミュニケーションについて教えてください。
現在、約7名の業務委託メンバーと活動しています。また、コミュニティには約260名のメンバーが参加しています。
コミュニティメンバーとは月に2〜3回イベントを開催し、学びや交流を深めています。単なる参加者ではなく、将来的にはビジネスパートナーとして共に地域を盛り上げていく関係性を築くことを目指しています。
人と人とのつながりを大切にしながら、挑戦する人が増える環境づくりに取り組んでいます。
神戸モデルの確立と次世代への継承
――今後の展望や新たな挑戦について教えてください。
まずは神戸で現在のモデルを確立することが目標です。そのうえで、将来の野望は日本創生です。
地域ごとに歴史や文化、産業構造は異なりますが、地域内で挑戦と創造が循環する仕組みは各地で必要とされていると考えています。
また、一般社団法人Be Next KOBEでは基金を設立し、地域内で資金を循環させる仕組みづくりにも取り組んでいます。後継者不足や相続財産の活用に課題を抱える富裕層や先輩経営者から資金を集め、地域の事業へ投資できる環境を整えています。
――現在向き合っている課題はありますか。
大きな課題の一つは、若い世代が地場産業を知らないことです。
例えば神戸には長い歴史を持つ靴産業がありますが、その存在や価値を十分に認識していない若者も少なくありません。地域に魅力的な産業があっても、それを知らなければ関わる選択肢すら生まれません。
だからこそ、次世代人材が地域でビジネスプロデューサーとして活躍できる環境を整える必要があります。地域の産業を理解し、新たな価値を創出する人材を育てていくことが、今後の重要なテーマだと考えています。
余白をつくり、新たな発想につなげる
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
ランニングや登山をすることが多いです。また、1週間ほどの一人旅に出ることもあります。
意識しているのは、自分自身に余白をつくることです。日々の業務から少し距離を置き、自分と向き合う時間を持つことで、新しい発想や気づきが生まれます。