140年の信頼を未来へ――お客様第一を貫き、世界へ挑戦する近江屋洋菓子店
株式会社近江屋洋菓子店 代表取締役 吉田 由史明氏
創業から約140年にわたり、洋菓子の製造・販売を続けてきた株式会社近江屋洋菓子店。長い歴史の中で培った信頼を礎に、お客様第一の姿勢を貫きながら、働く環境づくりや新たな挑戦にも積極的に取り組んでいます。本記事では、代表の吉田由史明氏に、経営で大切にしている考え方や組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
お客様第一で紡いできた、近江屋洋菓子店の歩み
――現在の事業内容について教えてください。
洋菓子の製造・販売を行っています。創業から約140年にわたり家族で経営を続けてきましたが、その長い歴史こそが私たちの一番の強みです。
ここまで続けてこられたのは、自分たちだけの力ではありません。長年支えてくださったお客様の存在があってこそ、今の近江屋洋菓子店があります。
――経営で大切にされている理念や考え方を教えてください。
経営で一番大切にしているのは、お客様を第一に考えることです。利益だけを追い求めるのではなく、お客様へ還元することはもちろん、一緒に働くスタッフにも還元していきたいですね。
140年という歴史は、お客様との信頼関係を積み重ねてきた結果です。その信頼をこれからも大切にし、お客様に喜んでいただける店であり続けたいです。
経験を重ねてたどり着いた、経営者としての原点
――経営の道へ進まれたきっかけを教えてください。
実家が洋菓子店だったこともあり、幼い頃から両親が働く姿を見て育ちました。ただ、最初から家業へ入るのではなく、まずは他社で経験を積んでから戻る。その考えは自分自身の意思でもあり、家族の方針でもありました。
大学卒業後は他社でパティシエとして経験を積み、その後家業へ戻りました。現在も経営だけでなく、製造にも携わっています。地域に根差した店であり、一緒に働くスタッフの存在にも触れてきたからこそ、「この店を自分が支えていきたい」という気持ちが強くなりました。
――経験を通して得た学びを教えてください。
大学で幅広い分野を学び、その後もさまざまな環境を経験する中で、自分の常識が世の中の常識とは限らないことを実感しました。異なる価値観に触れたことで視野が広がり、物事を多角的に捉えられるようになりました。
ケーキは生活必需品ではなく、お客様が「買いたい」という前向きな気持ちで足を運んでくださる商品です。嫌々来店される方がいないからこそ、ケーキ屋は笑顔に一番近い仕事だと思います。そんな仕事に携われることは、とても幸せなことですね。
責任を引き受け、人を信じる組織づくり
――経営判断の軸となっている価値観を教えてください。
経営判断の軸にしているのは、「誰かのせいにしない」という考え方です。経営者として最終的な意思決定をしている以上、その結果はすべて自分の責任です。もちろん、お客様やスタッフのことも考えながら判断しますが、「誰かのためだから」という理由だけで決めるのではなく、自分自身が責任を持って選択するようにしています。
失敗も数え切れないほど経験してきました。それでも責任を人に向けるのではなく、自分で受け止めるほうが、結果として組織のためにもなるはずです。その姿勢を貫くことが、経営者としての責任だと感じています。
――組織運営や社員との関わりで大切にしていることは何ですか。
スタッフには必要以上に干渉せず、信頼して仕事を任せるようにしています。また、仕事だけでなく、一人ひとりのプライベートの時間も尊重しています。できるだけ定時で仕事を終え、その後は勉強でも趣味でも、副業でも、それぞれが自分の時間を自由に使ってほしいですね。
採用で重視しているのは、特別な能力ではありません。毎日きちんと出勤し、当たり前のことを当たり前に続けられる方と、一緒に働きたいですね。優秀な人だけを集めるのではなく、誰もが成長できる環境をつくることも経営者の仕事だと思っています。ものづくりに携わる現場の人たちが、きちんと評価される会社にしていきたいですね。
全国、そして世界へ――未来を見据えた挑戦
――今後取り組んでいきたい挑戦について教えてください。
ここ数年は、「セブン‐イレブン」とのコラボレーションや、「バンダイ」とのコラボレーション、さまざまな取り組みに挑戦しています。
こうした活動を続けているのは、近江屋洋菓子店の知名度を全国へ広げたいという想いがあるからです。催事への出店にも力を入れ、本店以外でも商品を手に取っていただける機会を増やし、より多くの方に近江屋洋菓子店を知っていただけるよう力を注いでいます。
――将来のビジョンをお聞かせください。
最終的な目標は、フランス・パリに店舗を出すことです。海外での経験を経て、その目標はより明確になりました。まずは日本全国へブランドを広げ、その先の海外展開も見据えています。
140年受け継いできた歴史を未来へつないでいくためにも、より多くのお客様に近江屋洋菓子店を知っていただける存在を目指しています。一歩ずつ着実に歩みを重ねながら、その目標の実現に向けて前進していきます。
家族や仲間と過ごす時間が、明日への原動力
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
一番のリフレッシュは、家族や友人と過ごす時間です。学生時代から付き合いのある友人とは今でも親しくしており、休日には食事へ出かけたり、旅行を楽しんだりすることもあります。
今は家族と過ごす時間の比重も大きくなりました。私にとって家族や友人、そして店は、どれも同じくらい大切な存在です。誰かと一緒に過ごす時間が何よりの活力になっているので、その時間を大事にしながら、これからも仕事に向き合っていきたいですね。