AIで事業の可能性を広げる――現場視点と実践力で企業の挑戦を支える

inovie株式会社 代表取締役 桒谷 一成氏

2026年5月に設立されたinovie株式会社は、AIを活用した事業支援や新規事業開発支援、自社サービスの開発・運営を手掛ける企業です。法人設立から間もないスタートアップでありながら、AIを活用した業務効率化やAIエージェント開発、新規事業の立ち上げ支援など幅広い取り組みを展開しています。今回は代表取締役の桒谷氏に、事業の特徴や経営への想い、今後の展望について伺いました。

AIを活用した事業支援と新たなサービス開発

――現在の事業内容について教えてください。

当社では、AIを活用した事業開発支援と、自社サービスの開発・運営を中心に行っています。2025年9月に個人事業として独立し、お客様の事業支援や自社サービスの立ち上げを進める中で、2026年5月に法人化しました。現在はまだ設立間もない段階ですが、今後は事業基盤を整えながら、業務委託のメンバーや社員を迎え、組織を拡大していきたいと考えています。

主力事業の一つが、経営者に近い立場で、AIを活用した開発やマーケティングを支援する伴走型のサービスです。単にAIツールを導入するだけではなく、事業や業務上の課題を整理し、サービス開発やマーケティング施策の実行まで一貫して支援しています。

また、業界に関する知見や顧客基盤を持つパートナーとともに、業界特化型のAI事業を立ち上げる共創スタジオ「Vertical AI Studio」を展開しています。その第一弾として、フィットネスクラブ向けSaaS「FitDesign AI」をローンチしました。

「FitDesign AI」は、展示会への出展を通じて多くの反響やお問い合わせをいただき、フィットネス業界におけるAI活用への関心の高さと、サービスの可能性を実感しています。今後は、お客様や現場の声をもとにサービスをさらに改善し、導入施設の拡大につなげていきたいと考えています。

そのほかにも、自社メディアやiOSアプリの開発、Spotifyでの音楽配信など、さまざまな活動に取り組んでいます。こうした取り組みを通じて、AIを活用することで、少人数でもどこまで事業やサービスを形にできるのかを自分たち自身で検証しています。これまで個人や小規模な組織では難しかった領域にも挑戦できる可能性を、実際の事業を通じて示していきたいと考えています。

――事業の特徴や強みを教えてください。

AIエージェント開発だけではなく、実際の業務改善や新規事業の立ち上げまで柔軟に対応して支援できる点が強みです。

単にAIツールの使い方を伝えるのではなく、業務を整理し「この業務はAIエージェント化できる」「低コストでできる」といったお客様の実務に沿った支援ができることが特徴だと思います。

また、自社でもSaaSを開発し市場へ展開しているため、AIで開発するだけではなく、実際に事業として形にし、売上や利益につなげるところまで経験できる点も差別化につながっていると考えています。

さまざまな経験が現在の事業につながった

――経営者になられたきっかけを教えてください。

工業高校卒業後は地元の工場へ就職し、機械の修理などの仕事から社会人生活をスタートしました。その後、お客様先での対応やマーケティングなどさまざまな仕事を経験し、幅広い領域に携わる機会がありました。

以前から自分で事業を立ち上げて成長させたいという想いは持っていましたが、大きな転機になったのはAIの進化です。AIを活用すれば一人でもできることが大きく広がると感じ、「今が独立するタイミングだ」と考えました。

独立後はお客様の課題を解決することを積み重ねる中で法人化へと進みました。特別な理念から始まったというよりも、お客様と自社の目の前の困りごとを解決し続けた結果が現在に繋がっていると感じています。

AIと事業づくりで描く今後のビジョン

――今後の展望について教えてください。

まずは現在開発している「FitDesign AI」を少人数で軌道に乗せ、事業として成長させていきたいです。

将来的には、上場企業の新規事業立ち上げ支援にも取り組んでいきたいと思っています。また、現在は個人事業の延長線上にある組織ですが、今後はミッションやビジョン、バリューを整え、一緒に働く仲間を迎えられる会社にしていきたいです。

さらに、日本各地には魅力がありながら十分に知られていない事業や、後継者不足に悩む企業が数多くあります。そうした地域の事業をAIやマーケティングの力と組み合わせながら新たな価値として発信し、日本国内だけでなく海外にも広げられる仕組みづくりに挑戦したいと考えています。

子どもたちに誇れる事業をつくることも、自身の大きな目標の一つです。身近な人を幸せにしながら、社会にも価値を提供できる事業を育てていきたいです。

――現在向き合っている課題はありますか。

現在最も課題に感じているのは経理に関する領域です。法人化によって税務や会計、経営管理など、専門的な知識が必要になる場面が増えました。

現時点ではAIを活用し自作した経理AIエージェントを活用することで対応していますが、今後事業が拡大していく中では、それだけでは対応しきれない場面も出てくると考えています。事業を並行して立ち上げていくからこそ、数字や経営管理の体制づくりは今後の重要な課題だと考えています。

家族との時間が新たな挑戦の原動力

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

休日は家族と一緒に動物園や水族館へ出かけることが多く、家族との時間が何よりのリフレッシュになっています。

独立してからは働き方の自由度も高まり家族と過ごす時間が確保しやすくなりました。仕事を効率化することで、大切な人との時間にもきちんと向き合える働き方を実現していきたいと考えています。

AIが進化する時代だからこそ、人にしか生み出せない価値もあると感じています。人の気持ちを深く理解することや、本質的な課題を引き出すコミュニケーションは、人だからこそ担える重要な役割と感じております。AIと人、それぞれの強みを活かしながら、これからも新たな価値を生み出す挑戦を続けていきたいと考えています。

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