「買う」が当たり前の時代を変える――地域でモノを活かし合う新しい暮らしを目指して
株式会社Re tool 代表取締役 櫻井 映輔氏
「買わないと使えない」という常識を変え、地域に眠るモノを有効活用することで、より豊かな暮らしを実現したい。そんな思いから生まれたのが、株式会社Re toolの個人間レンタルサービスです。購入するには高価で置き場所にも困るモノを、必要なときだけ地域で借りられる仕組みを提供し、暮らしの選択肢を広げています。今回は、サービス誕生の背景や経営に対する考え方、今後の展望について、代表取締役の櫻井映輔氏に伺いました。
目次
地域に眠るモノを活かし、新しい暮らしのスタイルをつくる
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社では、個人間でモノを貸し借りができるサービスを展開しています。イメージとしては、フリマサービスのレンタル版です。購入すると高価なものや、普段は使わない大型の道具などを必要な期間だけ借りられるため、利用者はコストを抑えられます。一方で、貸し手にとっては使っていない設備や道具を資産として活用できることが大きな特徴です。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
個人間で貸し借りする仕組みだからこそ、多様なニーズに応えられることです。ホームセンターなどでは取り扱いのない専門的な工具や、個人ならではのセット商品なども借りることができます。
また、近隣や同じマンション内で貸し借りができれば移動の負担も少なくなります。これまで一家に一台必要だったものを、地域で一台共有するという新しい価値観を広げていきたいと考えています。
――会社の理念やビジョンについて教えてください。
私自身、会社員時代に物価は上がる一方で給料はなかなか上がらない現実を感じていました。だからこそ、今あるモノを有効活用して生活コストを抑える仕組みが必要だと思ったんです。
静岡県内では農家の方が多く、オフシーズンには使われていない機械や設備がたくさんあります。その一方で、都市部では収納スペースが限られ、高価な道具を所有することが難しい人もいます。その両者をつなげることで、多くの人の暮らしを便利にできるのではないかと考え、このサービスを立ち上げました。
「まず行動する」ことが未来を切り拓く
――経営者になられた経緯を教えてください。
地域課題を目の当たりにしたことがきっかけです。当初は自社で高圧洗浄機などを保有して貸し出していましたが、予約が増えたことで農家の方から機材を借りる機会がありました。その際、「オフシーズンだからもっと貸していいよ」と言っていただき、「これは自分だけではなく、プラットフォームとして提供できるのではないか」と考えたことが事業化の始まりです。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
「今あるものを有効活用して暮らしをアップデートする」という考えを軸にしています。そして、もう一つ大切にしているのが、トライ&エラーです。
新しい挑戦に正解はありません。誰かが成功した方法も、その人だからうまくいった可能性があります。だからこそ、自分で試し、改善を繰り返しながら前に進むことを大切にしています。課題は行動した先で初めて見えてくるものなので、まずは一歩踏み出すことを意識しています。
フラットな組織だからこそ、新しい発想が生まれる
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在は業務委託メンバーを中心とした少人数体制で運営しています。スタートアップでは経営者の考えだけで進めてしまいがちですが、サービスの基盤づくりは自分自身で責任を持って進め、その後は全員が対等な立場で意見を出し合える環境を大切にしています。
――どのような人と一緒に働きたいですか。
売上だけではなく、「時代を変えたい」という志を持っている人です。前例のないサービスだからこそ、自走できる人と一緒に挑戦していきたいと思っています。良い意見だけでなく、厳しい意見も遠慮なく伝えてもらえる関係性を目指しています。
全国へ広げ、「借りる」が当たり前の社会へ
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
現在は静岡県を中心にサービスを展開していますが、将来的には全国へ広げていきたいと考えています。
目指しているのは、「一家に一台」ではなく「地域に一台」という社会です。高圧洗浄機や脚立、台車、ラミネーター、季節用品など、普段は使わないけれど必要な時だけ借りられる環境が当たり前になれば、暮らしはもっと豊かになります。
一方で、急激な拡大は考えていません。まずは静岡でサービスを磨き、より使いやすいアプリへ改善を重ねることが現在の大きな課題です。以前、テレビで紹介された際にはアクセスが集中してサーバーが停止する経験もありました。その反省を生かし、誰でも直感的に使えるサービスづくりを進めています。
全国展開を見据えながら、利用者の声を積極的に取り入れ、より良いサービスへと進化させていきたいと考えています。「ここは改善したほうがいい」という率直な意見も歓迎し、多くの人とともに、新しいレンタル文化を育てていくことを目指しています。
挑戦を楽しみ、自分自身を成長させ続ける
――これだけは譲れない信条などがあれば教えてください。
現在もヘリコプターの操縦士として働いていますが、パイロットを目指してアメリカへ渡った経験が、今の考え方につながっています。
現地で出会った人から「今日が一番若い日だから挑戦は今すぐしたほうがいい」と言われた言葉は、今でも忘れられません。挑戦には勇気が必要ですが、行動しなかった後悔は長く残ります。だからこそ、思い立ったらまず行動することを大切にしています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
夢を追っている時間は本当に楽しくてしょうがないので休みは取っていません。ただ朝は10キロのランニングや合間の時間で筋力トレーニングは欠かしません。体力や自信がつくことで物事への向き合い方も前向きになり、困難を乗り越える力につながっていると感じています。