“派手ではないが、確実に需要があるもの”を追求する――Boringが描くAI時代の事業戦略
合同会社Boring 代表 斉藤 麻亜久氏
合同会社Boringは、AIを活用したシステム開発を軸に、Webメディア自動構築システムやeSIMのプラットフォームの開発など、複数の事業を展開する企業です。2025年5月の創業ながら、それぞれ異なる専門性を持つ3名の代表社員が強みを持ち寄り、AI時代に求められるサービスを次々と形にしています。本記事では、代表社員のお一人である斉藤麻亜久氏に、現在取り組んでいる事業や創業の背景、今後の展望などについて伺いました。
AIを活用した3つの事業を展開
――現在の事業内容について教えてください。
現在は、大きく3つの事業を柱として展開しています。
1つ目は、AIを活用したシステム開発です。AIエージェントの開発や受託開発を中心に、自社内で利用しているシステムにもAIを積極的に取り入れています。現在は受託開発やAI導入のコンサルティングが中心ですが、AI技術を最大限に活用した開発体制を強みとし、企業ごとのニーズに応じたソリューションを提供しています。
2つ目は、Webメディア自動構築システムの提供です。Slack上で記事制作を指示するだけで、複数のAIが連携し、SEOを考慮したコンテンツの生成からWordPressへの公開までを一気通貫で実行する仕組みを構築しています。この事業については、顧客への提供に加え、自社メディアの運営にも同システムを活用することで、実運用を通じて継続的な改善を行っているのが特徴です。
そして3つ目の事業は、「Coral eSIM」という海外旅行者向けのeSIM販売プラットフォームです。データ1GBの利用毎に1円を海を守る活動に寄付するというコンセプトであり、現在はWeb、モバイルアプリにてサービス提供を行っています。また、スウェーデンの宿泊システムを提供する企業へサービスを提供しており、海外展開も進めています。
――御社ならではの強みはどういった点にありますか。
代表社員3名それぞれが異なる専門性を持っている点です。
開発を担当するメンバーに加え、自社メディアで200万PV規模まで成長させた経験や、上場企業でSEO責任者を務めた経験を持つメンバーが在籍しています。それぞれの知見を組み合わせることで、システム開発だけではなく、実用性の高いサービスづくりを実現しています。
“派手ではないが、確実に需要があるもの”をつくるために
――会社設立の経緯を教えてください。
創業は2025年5月ですが、3名で事業活動を始めたのはそれ以前からです。当時はAIが急速に普及し始めた時期であり、最新技術を追い求めるだけではなく、AIを活用し、確かなニーズに応えるサービスを継続的に創出していくことを目指していました。
社名の「Boring」にも、その想いを込めています。華やかさや話題性を追求するのではなく、目立たなくても確かな需要があり、現実社会に具体的な影響を与えられるサービスを提供していきたいという考えから名づけました。
Webメディア自動構築システムについても、メンバーが別の会社で得た着想を持ち寄り、「派手さはなくても、確実な需要が見込める」と判断したことが開発のきっかけとなっています。
――代表社員の皆様が出会われたきっかけは何でしたか。
会社設立前に、3名で同じプロジェクトへ参画したことがきっかけです。約2年間にわたり、同じプロジェクトに携わりました。プロジェクト終了後も3名の関係性は継続し、「再び一緒に事業に取り組みたい」という共通の想いから、会社設立へと至りました。
業務上の連携にとどまらず、日頃から対面でのコミュニケーションを重ねてきたことが、現在の強固なチーム体制の基盤となっています。
戦略と実行力が生み出す新たな事業創出
――旅行領域へ取り組まれたのはなぜですか。
Webメディア事業とeSIM事業を連携させる事業戦略を描いているためです。実際に、自社で活用しているWebメディア自動構築システムを用いて旅行関連メディアを複数展開し、そこで獲得したユーザーをeSIMプラットフォームへ送客する仕組みを構築しています。
また、メンバー全員が旅行好きであり、自分たち自身が利用したいと思えるサービスを提供したいという想いも、事業を推進する原動力となっています。
eSIM事業は、メンバーの一人が海外旅行中に「eSIM」という言葉を目にしたことから着想を得ました。市場規模や競合環境、収益性などを多角的に調査し、十分な事業性が見込めると判断したことから、本格的な事業化へと進めています。
――アイデアを形にできる理由は何でしょうか。
3名それぞれの役割と専門領域が明確に分かれていることが、大きな理由です。1人が経営全般を担い、もう1人がSEO・マーケティングを担当、そして私はシステム開発を担当しており、それぞれが専門性を活かせる役割分担を築いているため、新たなアイデアが生まれても、企画から開発、事業化までを一貫して進められます。
現在も、新しいアイデアが生まれれば、まずは小規模にプロトタイプを開発し、市場の反応を検証しています。その結果、十分な需要が見込めると判断したものを本格的な開発へ移行するのが当社の基本的な進め方です。
AIを軸に変化へ柔軟に対応する
――最後に、今後の展望についてお聞かせください。
まず直近1年間は、Webメディア自動構築システムの機能向上と完成度の強化を最優先に取り組んでいきます。そしてその先の3年間では、eSIMプラットフォームへの流入拡大を図り、事業基盤のさらなる成長を目指します。Webメディアを起点とした集客基盤を構築し、その導線をeSIM事業へとつなげる戦略を着実に推進していく方針です。
一方で、5年後、10年後の具体的な事業像は、現時点で固定していません。AIの進化は非常に速く、市場環境も大きく変化していくため、その時々のニーズや技術動向を捉えながら、柔軟に事業を展開していくことが重要だと考えているためです。
AIをどのように活用し、社会に求められる価値を創出していくか――その視点を大切にしながら、今後も確かな価値を提供できる事業に取り組んでまいります。