スマホのお困りごとを、まるごと解決。暮らしの安心へ――世代をつなぐ「スマサポPlus+」の挑戦
株式会社美馬 代表取締役 美馬 択氏
株式会社美馬は、スマートフォンの使い方に悩む人を支援する「スマホまるごとサポートプラス」を展開しています。オンライン勉強会や個別サポートに加え、暮らしに役立つ情報を提供し、特に50代以上の利用者に寄り添いながら、生活の課題解決をサポート。本記事では、代表取締役の美馬択氏に、事業を立ち上げた背景やサービスへの想い、今後の展望について伺いました。
目次
スマホに不安を感じる大人世代を支える、新しい形のデジタル生活サポートコミュニティ
――現在、特に力を入れている事業について教えてください。
現在、力を入れているのが「スマホまるごとサポートプラス」、略して「スマサポPlus+」です。スマホについて困ったことがあれば、操作や活用方法を気軽に相談できるサービスです。
会員の多くは50代以上の方ですが、年齢がおいくつであってもご利用可能です。スマホの基本操作が分からない方から、アプリの設定やスマホの活用方法を詳しく学びたい方まで、幅広い相談に対応しています。
スマホのサポートを中心に、美容、健康、医療、相続など、その年代の方々が必要とするサービスを取りそろえ、生活全体を豊かにするプラットフォームにしていきたいと考えています。
――利用者からは、どのような相談がありますか。
いくつか事例をご紹介します。
ある利用者の方からは、「孫が家に遊びに来ても、スマホでゲームばかりしていて、なかなかコミュニケーションが取れない」というご相談がありました。そこで、お孫さんが遊んでいるゲームの操作方法をサポートしたところ、同じゲームを一緒に楽しめるようになり、会話のきっかけも増えたと大変喜んでいただけました。
また、娘さんと同じ機種を購入したものの、忙しい娘さんにはなかなか質問できず、分からないことがあっても遠慮してしまうという方もいらっしゃいました。しかし、スマサポPlus+を利用するようになり、「気兼ねなく相談できる場所ができて、本当に助かっている。」とお話しくださっています。
このほかにも、「身近にスマホについて相談できる相手がいない」「一度教わったことを忘れてしまい、何度も聞くのが申し訳ない」といった声を多くいただきます。スマサポPlus+では、分からないことを何度でも気兼ねなく相談できるため、安心して利用していただいています。
利用者の声から、新たなコンテンツを生み出す
――スマホ以外には、どのようなサービスを提供していますか。
現在は、美容・健康・医療分野のコンテンツを提供しています。化粧品やスキンケア、ヘアケアに関する情報も発信しています。
医療分野では、クリニックと提携し会員向けに腸内フローラや認知症に関する検査のモニター企画も実施しました。相続についても、外部企業との連携を進めています。
今後のコンテンツは、運営側だけで決めるのではなく、利用者の声をもとに増やしていく方針です。
――現在の集客方法と、今後の広げ方を教えてください。
これまでは、スマホ操作に不安を感じている層が集まるコミュニティなどに声をかけ、無料のスマホ勉強会を開催してきました。そこでサービスを知っていただき、興味を持った方に入会していただく流れです。実際に約3カ月取り組んだところ、会員が徐々に増えていきました。
今後はオンラインを含むさまざまな方法で、認知拡大に取り組みます。また、自社のアプリやサービスを利用してほしいものの、その前段階で利用者がつまずいてしまう企業やコミュニティとも連携したいと考えています。アプリを入れる前に、基本操作や端末の容量不足、クラウドの設定などで止まってしまう方は少なくありません。そうした部分を私たちが担うことで、企業側の負担も軽減できると思っています。
元警察官として、困っている人の役に立つ
――この事業を始めた背景を教えてください。
私はもともと、警察官でした。警察官時代に培ったのは、公務として当然ですが犯罪に立ち向かう姿勢です。その後は、大手通信会社が提供する法人向けサポートサービスの事務局でマネージャーを務め、通信サービスの運営や利用者支援に携わりました。
その中でも、「使い方が分からないけれど、家族には何度も聞きづらい」「突然表示された画面が詐欺なのか判断できない」「便利に使いたいが、何から覚えればよいのか分からない」といった声が数多くありました。
スマホは、今や電話や連絡のためだけのものではありません。行政手続き、銀行、買い物、病院の予約、防災情報など、日常生活のさまざまな場面で必要とされる、社会インフラに近い存在になっています。一方で、操作に不安を抱える方に対する継続的な支援は、まだ十分ではないと感じました。
警察官として培った「困っている人を守る視点」と、通信業界で得た「利用者を支える仕組みづくりの経験」。これらを生かせば、単にスマホの操作を教えるだけではなく、利用者が安心してデジタル社会を生きていくための支援ができるのではないかと考えたことが、事業を始めたきっかけです。
現在は、スマホの操作支援を通じて、詐欺やトラブルの予防につながる情報を提供し、年齢にかかわらず誰もが安心してデジタル社会に参加できる環境をつくることを目指しています。
――元警察官としての経験は、現在の事業にどう生きていますか。
警察官を辞めた今でも、「困っている人の力になりたい」という思いは変わっていません。
現在は、スマホが生活に欠かせないものになった一方で、その使い方や危険性を十分に理解していないことが、詐欺やトラブルに巻き込まれる原因にもなっています。実際に、詐欺の手口は年々巧妙になっており、普段から使っているスマートフォンを通じて、誰もが被害に遭う可能性がある時代です。
だからこそ、スマホの操作方法を教えるだけではなく、危険な連絡の見分け方や個人情報の守り方なども含め、利用者のスマホリテラシー向上を支援していく必要があると感じています。
もちろん、私たちが捜査をしたり、法律上の判断をしたりするわけではありません。しかし、利用者から相談を受けた際に、「その連絡は危険かもしれません」「一人で判断せず、警察や弁護士に相談したほうがよいと思います」と伝えることはできます。被害に遭ってからではなく、少しでも不安を感じた段階で、気軽に相談できる身近な存在でありたいと考えています。
また、年齢を重ねるにつれて、スマホについて相談できる相手が身近にいなくなる方も少なくありません。
だからこそ、スマホについて気軽に相談できるだけでなく、同じ悩みを持つ人同士がつながれるコミュニティをつくりたいと考えました。
スマホをきっかけに横のつながりが生まれ、孤独や孤立の軽減にもつながれば、利用者本人だけでなく、そのご家族の負担や不安も軽減できます。元警察官として培った「被害を未然に防ぐ」という視点を生かしながら、誰もが安心してスマホを使い、困ったときには一人で抱え込まずに相談できる環境を広げていきたいと思っています。
全国47都道府県に「駆け込み寺」をつくる
――今後の展望を教えてください。
将来的には、47都道府県に支部をつくりたいと考えています。スマホの遠隔サポートには限界があり、対面でなければ解決できない問題もあるからです。オンラインとオフラインを両立させ、それぞれの地域で気軽に相談できる「駆け込み寺」のような場所をつくりたいですね。
地域のクリニックや病院などと連携しながら、年配の方を幅広く支える拠点にしていく構想です。一度に全国展開することは難しいため、まずは主要都市などから始め、会員数や紹介の広がりを見ながら展開していきます。
また、支部では学生などの若い世代にも関わってもらいたいと考えています。年配の方にとって、同世代との横のつながりは大切ですが、新しい世代と出会う機会は多くありません。スマホのサポートを通じて若者と交流し、これまで培ってきた知識や経験を次の世代に伝えられる場にもしたいと思っています。
――仕事をする上で大切にしていることは何でしょうか。
私が最も大切にしているのは、私が人や会社に対してどのような困りごとを解決できるのかを常に考えることです。
事業を大きくすることよりも、困っている方の声に耳を傾け、必要とされる仕組みをつくることを大切にしています。誰かが抱えている不安や不便を解消し、「相談してよかった」「このサービスがあって助かった」と感じていただけることが、私自身のやりがいや幸福にもつながっています。
これからも、利益だけを目的にするのではなく、人や社会が抱える課題に向き合い、仕事を通じて一人でも多くの方の力になれる事業をつくり続けたいと考えています。