複雑なバックオフィスを解きほぐし、企業の健全な経営を支える
株式会社KNOTTY 代表取締役 市川 さやか氏
株式会社KNOTTYは、バックオフィス全般の業務支援を行う会社として、2026年3月に設立されました。業務改善やDX化に加え、「バックオフィスの先生」「バックオフィスの顧問」といったサービスを展開しています。
本記事では代表の市川さやか氏にお話を伺い、会社を立ち上げた背景、実務経験を生かした支援への思い、今後の展望について伺いました。
企業の土台を内側から整える
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社は、企業のバックオフィスを整え、現場が回る状態をつくる支援を行っています。中心となるのは業務改善やDX化ですが、サービスとして「バックオフィスの先生」と「バックオフィスの顧問」も展開しています。
「バックオフィスの先生」は、小規模事業者や中小企業で、前任者の退職などによって経験の浅い方が担当になった際に、経理などの業務を教えるサービスです。社内で教育することが難しい場合に、外部の教育担当者として支援します。
「バックオフィスの顧問」は、長期的な支援を前提に、定期的にお話を伺いながら、制度改正に伴う会計処理や労務上の注意点などをサポートするものです。急な退職によって一時的な人手が必要になった場合や、担当者の教育が必要になった場合にも対応しています。
――会社を設立した目的やビジョンを教えてください。
バックオフィスは直接利益を生み出す部署ではないため、企業の中で改善が後回しにされやすいと感じています。しかし、バックオフィスが整っているからこそ、会社は健全に経営できると思っています。その土台づくりを支えることが、当社の目指すところです。
特に小規模事業者や中小企業では、バックオフィスに大きな費用をかけにくく、一人で複数の業務を抱えている方も少なくありません。私自身も、一人で業務を担当し、「これで合っているのだろうか」と不安を感じた経験があります。同じような思いを抱える方を支えたいと考え、会社を設立しました。
15年の実務を支援の力へ
――経営の道に進んだきっかけを教えてください。
もともと、自分で何かをしたいという思いはありました。ただ、シングルマザーとして子育てをしていたため、当時は会社員として働く方が安定していると考えていました。その後、さまざまな副業に取り組む中で、自分が長く経験してきたバックオフィス支援を仕事にするのが一番良いのではないかと思うようになり、個人事業主となりました。
当初はオンライン上で仕事を受けることが中心でしたが、地域貢献として、地元企業への支援も広げたいと考えるようになりました。特に継続的な伴走支援に力を入れていきたいという気持ちが強くなり、企業との長期的な取引を考えると法人の方が良いのではないかと思い、会社を設立しました。
――会社員時代の経験は、現在の仕事にどう生きていますか。
会社員時代には、さまざまな立場や考え方の人と仕事をしてきました。同じ出来事でも、担当者と責任ある立場の人では見ている部分が異なります。自分の考えだけで判断せず、相手の立場から考える大切さを学びました。
また、会社のシステムを大きく変更した際、実務経験のないコンサルティング会社が導入を進めたことで、細かな部分は現場の担当者が対応しなければならず、大きな負担になった経験があります。当社では助言だけで終わらず、実際に手を動かしながら業務改善やDX化を進められることが強みです。約15年間、主に経理の実務に携わってきた経験を生かし、現場の悩みに寄り添いたいと考えています。
対話から本当の課題を見つける
――仕事で関わる方とのコミュニケーションで、大切にしていることは何ですか。
相手の話をよく聞くことです。こちらから次々に提案するのではなく、まずはお話を聞き、その中から悩みや困り事が出てくるのを待つようにしています。バックオフィス支援では、経理だけでなく、採用や労務など会社の内部に深く関わります。取引先が何に困っているのかを理解できなければ、本当に必要なサポートはできません。会社の内側を知る仕事だからこそ、信頼関係を築けるかどうかを大切にしています。自分自身が力になりたいと思える企業と仕事をしていきたいです。
――もし、今後人材採用をする中で「この人と一緒に働きたい」という理想の人物像はありますか?
自分自身で考えて働ける方ですね。聞くよりも考える、まず調べるということができることが理想です。私自身がそうしてきたということもありますが、自分で調べたことは記憶に残りやすいですし、仮にイレギュラーなことがあった際にも対応できると思います。後輩へ指導する時もやり方を教えるだけの教育では、初めてのことや咄嗟の対応ができなくなります。自分で考える、やる、という人が成長できるのではないかと思います。
地域とともに事業を育てる
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
設立したばかりなので、今はすべてが挑戦です。まずは事業を安定させながら、地元である静岡県内の企業とのつながりを深め、取引先を増やしていきたいと考えています。現在はオンライン上の仕事が中心です。地元企業との取引は、もともとの知り合いから相談を受け、自分から支援できることを伝えたことがきっかけでした。今後は地元の経営者と交流できる場にも積極的に参加し、会社の存在を知ってもらいたいです。
また、「バックオフィスの先生」としての教育支援を伸ばしたいと考えています。経理のシステムは便利になり、以前より作業しやすくなりました。一方、システムが処理してくれる分、通常とは異なる事態が起きたときに対応できない場面もあります。手作業を経験してきた自分の知識が、今後さらに役立つと考えています。
会社を大きくすることよりも、自分が一から百まで責任を持てる仕事をしたいと思っています。会社員時代は担当する一部分しか見えず、限られた範囲でしか責任を持てませんでした。今はすべてが自分の責任になるからこそ、そこに経営のやりがいを感じています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
休みの日はNetflixを見たり、本を読んだりして過ごすことが多いです。また、外で食事をして、おいしいものを楽しむようにしています。以前は旅行も好きでしたが、現在はまとまった休みを取りにくいため、時間ができたらまた出かけたいです。
――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
これからフリーランスや個人事業主として仕事を始めたい方には、まず「やる」と決めることが大切だと伝えたいです。できるかどうかで悩むより、やると決めてから実現する方法を考える方が早いと思っています。私自身もまだ経営の入り口に立ったばかりですが、実務経験を生かしながら、地域の企業を内側から支えられる存在を目指していきます。