職員を大切にする経営で、子どもと保護者に選ばれる保育園へ

職員を大切にする経営で、子どもと保護者に選ばれる保育園へ

株式会社バンビーノ 代表 鈴木 圭子氏

株式会社バンビーノは、東京都足立区で認証保育所、認可保育園、学童保育を運営しています。始まりは、1999年に開設した定員12人の小規模な民間保育室でした。子どもたちが楽しく過ごし、保護者が安心して仕事に専念できる環境を目指して、丁寧な保育を積み重ねています。現在は51人の職員が在籍し、働きやすい職場づくりを経営の中心に据えています。

一人ひとりに寄り添い、安心を届ける保育

――現在の事業内容を教えてください。

当社は、東京都の認証保育所と認可保育園、学童保育を運営しています。大切にしているのは、子どもたちが「今日も楽しかった」と思える1日を過ごすことです。保護者の方にも「ここに預けてよかった」と感じていただき、安心して仕事に専念できる環境を整えています。

保護者の方とは日頃から話し合い、一人ひとりのお子さんに合った保育を行うよう心がけています。給食は園内で調理し、できるだけ国産の食材を使用しています。おやつも可能な限り手作りにするなど、毎日の食事も大切にしてきました。

――園の強みをどのように捉えていますか。

立地に恵まれていることも特徴の1つですが、それ以上に、優しく人柄のよい保育士に支えられてきたことが大きな強みです。保護者の方から紹介していただくことも多く、職員が子どもや保護者に丁寧に向き合う姿勢が、園への信頼につながっていると感じます。

子育て支援の経験から始まった保育事業

――保育事業を始めたきっかけを教えてください。

1999年当時、私は子育てアドバイザーとしてボランティア活動をしていました。その頃、足立区が民間保育室を立ち上げる人を募集しており、未来の宝物である子どもたちの保育に関わりたいと思い、応募しました。

私自身は保育士資格を持っていませんでしたが、働く職員が有資格者であれば運営できる制度でした。当時の足立区には待機児童が約1,000人おり、小規模な民間保育室が次々につくられていました。駅に近い場所を見つけ、条件を整えた上で、1999年11月1日に定員12人の保育室を開設しました。

――事業の拡大に向けて、どのような経験をしましたか。

私は主婦から事業を始めたため、区が実施していた女性起業支援の講座に参加し、経営を学びました。保育室は2000年1月に定員が埋まり、同年4月から区の補助金の対象になりました。

開設から10年目の2009年には、東京都認証保育所へ移行しました。条件に合う場所を探すのは難しく、土地の購入や建物の建設では娘の家族にも協力してもらいました。その後、株式会社バンビーノを設立しました。

職員を大切にし、本音を話せる組織へ

――経営で大切にしていることは何ですか。

私は、職員を大切にすることが何より重要だと考えています。私1人が力を尽くしても、保育の仕事は成り立ちません。職員の配置には余裕を持たせ、ライフステージに合わせて働ける環境を整えてきました。こうした取り組みにより、足立区と東京都からワークライフバランスの認定を受けています。

保育事業は補助金に支えられている部分が大きいため、予算を立て、有効に使うことが欠かせません。私は企業規模や利益の拡大よりも、働く人が納得できる給与を受け取り、気持ちよく働ける経営を重視しています。補助金が増えたときは、できる限り職員に還元してきました。

保育室時代の定員12人も、認証保育所へ移行してからの定員24人も、欠けることなく運営してきました。保護者の方からの紹介や評判に支えられ、安定した運営につながったと感じています。地域交流など、取り組みに応じて受けられる補助金も職員の協力を得ながら活用し、待遇の向上へつなげてきました。

――職員とのコミュニケーションで意識していることを教えてください。

園内で職員と会ったときは、私から「ありがとうございます」「お疲れさまです」と声をかけています。個人面談も重視しており、普段は表に出にくい悩みや不満を聞く機会にしています。

私自身も以前は消極的で、言いたいことを言えない性格でした。そのため、自分から話すことが難しい職員には、こちらから声をかけています。園長や主任も上から指示するのではなく、職員と同じ目線で子どもたちに接し、必要なことは優しく伝える関係を大切にしています。

研修会への参加や、学んだ内容の職員会議での共有も積極的に行っています。現在は51人の職員が在籍していますが、人間関係を理由に辞める人はほとんどいません。開設以来26年間働いている職員や、新卒で入職して20年以上勤務する職員もいます。

採用では経験だけでなく、明るく挨拶ができる人柄を重視しています。職員一人ひとりの性格や特徴を理解し、それぞれのよさを活かせる雰囲気をつくることも、経営者の役割だと考えています。

少子化の先を見据え、保育の魅力を磨く

――今後、どのような保育に挑戦したいですか。

少子化の影響で、足立区でも定員に満たない保育園が出てきています。立地だけに頼らず、保護者の方から本当によい保育園だと感じていただける内容をつくることが重要です。

英語教室や絵画、工作、リトミックなど、子どもたちが楽しみながら学び、体を動かせる機会を充実させたいと考えています。また、発達に不安のあるお子さんや保護者が、園に通いながら相談できる場所や支援につながれる環境もつくりたいです。

保護者への伝え方を含め、保育士一人ひとりの育成にも力を入れます。必要なことを伝える際も、相手の立場に立って言葉を選び、職員が自信を持って保護者と向き合えるよう支えていきます。

人への優しさと学びが、経営を支える

――仕事で大切にしている価値観を教えてください。

私は幼い頃から、両親に「人にはよくしなさい」と教えられて育ちました。人には優しく、自分には厳しくという考え方が、現在の仕事にもつながっています。必要なことを伝える場合も、すぐに強い言葉を使うのではなく、どのように伝えれば理解してもらえるかを考えます。

――リフレッシュ方法を教えてください。

休日もボランティア活動を続けています。近場へ買い物に出かけるほか、好きなアーティストである「Mrs. GREEN APPLE」のイベントへ、娘や孫と3世代で行くこともあります。最近は、孫が使っていたピアノを弾くことも楽しみの1つです。

とはいえ、経営者として、仕事のことが頭から離れることはほとんどありません。自分自身の健康を管理しながら、働く人が「ここで働いてよかった」、保護者が「ここに預けてよかった」と思える園であり続けたいです。これからも職員を大切にし、一人ひとりの子どもに寄り添う保育を積み重ねていきます。

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