国境を越える買い物を、もっと身近に――AIで新しい当たり前を創る株式会社SAZOの挑戦
株式会社SAZO 代表取締役 ギル・マロ氏
海外の商品を購入する際には、言語の壁や通関手続き、送料など、多くのハードルがあります。株式会社SAZOは、そうした課題をAIの力で解決し、誰もが国内で買い物をするような感覚で海外の商品を購入できる世界の実現を目指しています。今回は、創業の経緯や事業の特徴、経営に対する考え方、そして今後の展望について伺いました。
AIで越境ECの常識を変える
――現在取り組まれている事業の特徴や強みについて教えてください。
当社は、海外の商品を国内で買い物をするような感覚で購入できる、越境ECサービスを提供しています。これまで海外通販では、購入方法を調べたり、通関手続きを行ったり、後から送料を支払ったりと、多くの手間が発生していました。そうした複雑な工程をすべてAIがサポートし、利用者は手軽に海外の商品を購入できます。
仕入国での価格交渉などもAIが担い、中古品から新品まで幅広い商品を取り扱えることも特徴です。仕入国にある商品であれば購入できる仕組みを構築し、越境ECをより身近なものにしています。
――会社の理念やビジョンについて教えてください。
私たちが掲げるミッションは「SAZOを通じて世界をつなぎ、技術で国境を越える」です。住んでいる国に関係なく、世界中の商品や趣味に出会える未来を目指しています。
「世界中から何でも買えることが当たり前」という新しい常識をつくることで、人と国との距離を縮め、より豊かな暮らしにつながる社会を実現したいと考えています。
起業への挑戦と、経営判断の軸
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともとは数学や科学、プログラミングが好きな理系の学生でした。韓国で育ち、日本へ国費留学で来た後も、自らプロダクトを制作し、広告収益を得る経験を重ねてきました。
大学では起業部に所属し、海外から商品を購入する際に感じていた不便さを解決したいという思いから、AIやアルゴリズムを活用したサービスを考案しました。そのアイデアがビジネスコンテストで評価されたことをきっかけに起業を決意します。
留学生として起業するためには、ビザの取得や資本金、日本人従業員の採用など、多くの条件をクリアする必要がありました。さまざまな支援を受けながら一つひとつ課題を乗り越え、2023年10月に会社を立ち上げました。
――経営判断で大切にしている考え方を教えてください。
大きな方向性を定めた上で、その実現に必要な仮説を一つずつ検証していくことを重視しています。課題を定義し、実験を設計し、結果を分析しながら次の意思決定につなげるという考え方です。
経営には正解が一つあるわけではありません。それぞれの選択肢にはトレードオフがあります。その中で全体の方向性に対して最も効果が大きい選択を積み重ね、仮説が外れた場合でも学びにつながるような意思決定を大切にしています。
多国籍チームだからこそ、仕組みで支える組織づくり
――社内のコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
当社にはさまざまな国籍や言語を持つメンバーが在籍しています。そのため、コミュニケーションの円滑化のため、文書記録の徹底化を行っています。
さらに、AIが情報を活用しやすいように、会議以外の日常会話の内容もできる限り文書化しています。誰でも情報を共有できる環境を整えることで、言語の違いを超えた組織運営を目指しています。
――採用で一緒に働きたいと感じるのはどのような人ですか。
AIが多くの実務を担う時代だからこそ、「問題解決思考」を持つ人を重視しています。本質的な課題を見極め、正しい方向から解決に取り組める人と一緒に働きたいと考えています。
また、AIを活用するには、人が学び続ける姿勢も欠かせません。分からないことをそのままにせず、自ら調べ、AIと対話しながら理解を深められる人が、これからの時代には必要だと考えています。
グローバル化とAI時代への挑戦
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
現在は、よりグローバルな組織づくりを進めています。さまざまな国や文化的背景を持つ人材が集まることで、グローバルかつ現地最適化されたプロダクト開発につながると考えています。
そのため、社内資料の英語化や朝礼の英語化など、組織全体のグローバル化にも取り組んでいます。
――現在感じている課題について教えてください。
AIの進化によって翻訳精度は大きく向上していますが、口頭での多言語コミュニケーションにはまだ改善の余地があります。一方で、すべてを人が対応するにはコストがかかるため、AIと人間の役割分担をどのように設計するかが重要な課題です。
時代が大きく変化する中で、変わるものと変わらない本質を見極めること、そして将来誰でも実現できるものを一から開発する「車輪の再発明」を避けることを意識しながら、事業を前に進めていきたいと考えています。
学び続けることが未来を切り開く
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
休日は実務から少し離れ、学ぶ時間を大切にしています。AIを正しく理解するために経済学や数学を学び直したり、AIの基礎理論を勉強したりしています。
また、海外の業界関係者による英語のポッドキャストを聴き、知識の習得と語学学習を同時に進めています。変化の激しい時代だからこそ、学び続けることが未来を切り開く力になると考えています。