人との出会いが人生を変える――恩をつなぎ、人を支える株式会社ハンズの挑戦
株式会社ハンズ 代表取締役 三浦 愛弥氏
ホテルや結婚式場、飲食店を中心とした有料職業紹介事業を展開する株式会社ハンズ。2026年4月に代表へ就任した三浦愛弥氏は、自身が人生を変える出会いを経験したからこそ、「人を大切にする会社」であり続けたいという強い思いを持っています。紹介して終わりではなく、働く人が安心して活躍できる環境づくりを大切にする同社の取り組みや、経営への思いについて伺いました。
目次
紹介して終わりではない、人に寄り添う職業紹介
――現在の事業内容と、他社にはない強みについて教えてください。
当社は有料職業紹介事業を行っており、現在はホテルや結婚式場、飲食店への人材紹介を中心に取り組んでいます。ただ、職業紹介という業種なので、今後は他の業種にも広げていけると考えています。
特徴は、紹介したら終わりではないことです。一般的な職業紹介では、就業先を紹介した後は企業と求職者に任せるケースも多く、近年ではハラスメント対策の厳格化により減りましたが、紹介先の企業で求職者が不当に扱われることも少なくありませんでした。
しかし当社では、紹介先の企業と契約を結び、当社の社員が派遣スタッフとして現場に常駐したり、代表である私自身も現場の状況には常に気を配っています。
働く人にとっては、困った時に相談できる存在が現場にいるという安心感があります。仕事を始めた後も寄り添いながら支えられることが、当社ならではの強みだと思っています。
人生を変えてくれた会社への恩を、次の世代へ
――会社の理念や、代表就任に至るまでの経緯を教えてください。
私は高校生の頃、将来何をしたいのか分からず悩んでいました。その時に今の会社からアルバイトを紹介してもらい、そこで出会った方々とのご縁が人生を大きく変えてくれました。
高校卒業後、当社の社員は現場の責任者を務めなければいけないので、私はそのためにフリーターとして現場での経験を積んでいましたが、挫折をして一度会社を離れました。
その後、前任の社長から直接声を掛けてもらいました。当時、アルバイトは100人以上いましたが、その中の一人だった私を気に掛け、「一緒に頑張らないか」と言っていただけたことが本当にうれしかったんです。
入社後も前任の社長には何度も助けてもらいました。その恩は今でも忘れていません。
その後、コロナ禍でホテルや結婚式場の仕事がなくなり、会社は大きな危機を迎えました。売上がほぼゼロという状況が続き、会社を畳むことも考えられていましたが、私はどうしても会社をなくしたくありませんでした。
「僕一人でも続けます」という思いを伝えたところ、前任の社長も「会社を引き継げるよう一緒に頑張ろう」と支えてくださいました。その積み重ねがあり、今年4月から代表を務めています。
私自身、人生を変えてくれる人との出会いがありました。だからこそ、今度は私が誰かにとってそういう存在になりたいと思っています。
会社の理念は「職業紹介を通じて、社会に踊り場を広げる」
ここでいう踊り場とは階段の踊り場のことです。私たちは、一人ひとり人生という階段を上っていると考えています。その道の途中では、失敗して立ち止まることもあれば、夢や目標に向かって新たな一歩を踏み出したいとき、休みながら自分のペースで働きたいときもあります。そんなとき、階段の踊り場のように、一度立ち止まっても安心して力を蓄え、再び前を向いて歩み出せる場所でありたい。そして、職業紹介を通じて、その一歩を支えられる会社であり続けたいと考えています。
「会社の理念に合っているか」が経営判断の軸
――経営判断で大切にしている価値観を教えてください。
経営判断をする時は、会社の理念に合っているかを最も大切な基準にしています。
私はお金だけを目的に経営しているわけではありません。会社の理念にあるように、会員の皆さんにどんな良い影響を与えられるか、そのことを第一に考えています。従業員や会員の皆さんを大切にすることが、結果として会社の成長につながると信じています。そのため、どのような場面でも理念に立ち返り、人を大切にする経営を続けていきたいと考えています。
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在は事務員一人と私、そして登録して働いていただいている会員の皆さんが中心です。事務員には家庭や生活を第一に考えてもらえるよう、自分のペースで仕事ができる環境づくりを意識しています。
また、今は責任者として私自身が現場へ出ることも多くあります。学生の会員さんとも積極的にコミュニケーションを取り、困っていることはないか、より働きやすくするために何ができるかを常に考えています。
――採用時に重視していることは何でしょうか。
第一印象はとても大切にしています。特に表情を見ることが多いですね。
笑顔だけでなく、相手の目を見て話ができるか、自信を持って向き合えているかなど、表情から伝わるものを大事にしています。表情が豊かで、前向きな姿勢が感じられる人とは、一緒に働きたいと思います。
より多くの選択肢を届け、人としても成長できる会社へ
――今後取り組みたいことについて教えてください。
これまではホテルや結婚式場などサービス業が中心でしたが、中には「この仕事は向いていない」と感じる方もいます。
そうした方にも別の選択肢を提供できるよう、今後はさまざまな業種の職業紹介にも取り組んでいきたいと考えています。より多くの人に合った仕事を紹介できれば、さらに多くの人の役に立てる会社になれるはずです。
また、働いてくれている皆さんへ、私自身の思いや考え方をもっと伝えていきたいとも考えています。
仕事がどれだけできるようになっても、人への思いやりを忘れてほしくありません。初めて現場に来た人に対しても、自分が初心者だった頃を思い出し、謙虚な気持ちで接してほしい。そのような思いやりと謙虚さを持った人が一人でも多く増え、お互いを支え合える職場をつくっていきたいと願っています。
――現在の課題について教えてください。
飲食業界全体が物価高や最低賃金の上昇などで厳しい状況にあります。また、人手不足で思うように営業ができない企業やお店もたくさんあると思います。ホテルや結婚式場が元気にならなければ、当社の仕事にも影響します。
だからこそ、企業が本当に求めている人材を紹介し、現場で活躍できる人を育てることが重要だと考えています。
サービス業は技術だけではなく、お客様の心に寄り添う気持ちがとても大切です。ホテルや結婚式場を利用されるお客様にとって、その日は特別な一日です。そのことを理解し、人への感謝や思いやりを持って働ける人材を育てていきたいと思っています。
人を大切にすることが、経営の原点
――経営の中で譲れない思いを教えてください。
一番大切にしているのは、「人を大切にすること」です。
私は、前社長に拾っていただき、多くのことを支えていただいたからこそ、今の自分があります。社長という立場を引き継いだだけではなく、前社長が大切にしてきた思いや会社の理念も受け継いでいます。だからこそ、「人を大切にする」という考え方と会社の理念だけは、これから先も決して変えることはありません。
当社の仕事は、人がいて初めて成り立つ仕事です。だからこそ、利益だけを追い求めるのではなく、一人ひとりと真摯に向き合い、人を第一に考える経営をこれからも続けていきたいと思っています。
――最後に、休日の過ごし方について教えてください。
会社は土日祝日が休みですが、私は現場へ出ることも多くあります。それでも苦には感じていません。
野球や格闘技、サッカー観戦が好きなので、時間がある時はそうした趣味を楽しみます。身体が疲れた時はしっかり休みますが、現場で皆さんと一緒に働く時間そのものが楽しいと感じています。