バレーボールを通じて、子どもが自立へ進む環境をつくる

一般社団法人SELECT京都 代表 西又 啓太氏

一般社団法人SELECT京都は、中学生世代を対象としたバレーボールクラブを運営しています。学校の部活動が地域移行へと進み、活動時間の短縮や指導者不足によって、十分に競技へ取り組めない子どもが増える中、「もっとバレーボールをしたい」という思いに応える環境づくりを進めてきました。代表の西又啓太氏は、普段は私立学校の職員として働きながら、クラブ運営と指導に携わっています。今回は、団体設立の背景や子どもたちへの思い、指導者が継続して関われるスポーツ環境のあり方について伺いました。

地域移行を支えるクラブづくり

――現在の活動内容と、団体を立ち上げた背景について教えてください。

中学生世代のバレーボールクラブを設立し、運営しています。現在は男子のクラブチームを中心に活動し、女子については普及活動の一つとしてスクール形式で運営しています。男子は学校の部活動との併用を行わず、女子は併用できる形です。部活動だけでは物足りない、もっとバレーボールに取り組みたいという子どもたちが集まっています。

今は学校の部活動が地域移行へ動いており、先生の働き方改革も進んでいます。活動時間が短くなったり、土日に十分な活動ができなかったり、学校によっては男子バレーボール部そのものがなくなったりしています。私自身もバレーボールをしながら育ってきたので、同じような経験を今の中学生にもしてもらいたいと思いました。学校で十分な時間が取れないのであれば、クラブチームをつくり、子どもたちにとってプラスになる環境を用意したいと考えたことが始まりです。

以前から地域のクラブチームはありましたが、保護者が主体となって運営するケースも多く、継続性や透明性に課題を感じていました。運営が続かなかったり、保護者同士の意見の違いが生じたりすることもあります。そこで法人として独立させ、会計を見える化し、外部に対して健全な運営を示せる形を整えました。スポンサーを募るうえでも、信頼してもらえる組織であることが必要だと考えています。

子どもの成長を判断軸に

――これまでの歩みと、組織運営で大切にしていることを教えてください。

普段は京都にある私立学校で職員としてフルタイムで働いています。そこで長くバレーボール部の指導にも携わってきました。現在の活動は副業という形ですが、学校での仕事と並行しながら、一般社団法人の運営を続けています。

組織はコーチを含めて10名弱です。中心となって動いているのが5名ほどで、それに加えてスポットで関わるコーチが5名ほどいます。練習には必ず指導者がつき、日々の指導を行っています。技術だけでなく、教育的な部分も重視しています。今の時代は伝え方が難しい場面もありますが、教えなければならないことは、しっかりと伝えることが必要です。バレーボールを通じて、人として成長してほしいと考えています。

――経営・運営において「これだけは譲れない」という思いはありますか。

子どもの成長を第一に考えることです。何かを決めるときも、子どもにとってどうなのかを一番の判断基準にしています。そのためにはお金も必要ですし、運営の仕組みも考えなければなりません。ただ、どれだけ組織が大きくなっても、この基準だけは外したくありません。

中学生という時期をどう過ごすかは、その後の成長にもつながります。大人が熱い思いを持って子どもに接し、将来自立できる人を育てていくことが大切だと思っています。

指導の価値が循環する環境へ

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

新たな取り組みとして、ママさんバレーや小学生チームなど、指導者不足に悩むチームへコーチを有償で派遣する活動を始めています。また、現在は中学生が中心ですが、将来的には大人のチームと連携し、バレーボールの縦のつながりを広げたいと考えています。

チームを強くすることはもちろんですが、指導者が継続して活動できる仕組みを広げていきたいです。バレーボール界では、指導者がボランティアで子どもを教えるケースが多くあります。しかし、今の世代では、自分の時間を使って無償で指導を続けようとする人が少なくなっています。当法人ではコーチに謝礼を支払い、専門的な指導に対して対価が生まれる形をつくっています。

保護者の中には、部活動と同じように、スポーツは無料で教えてもらえるものだという感覚も残っています。ただ、技術を教え、教育にも関わるスポーツクラブは、一つの習い事として捉えられるべきだと思います。

――今、課題として捉えていることはありますか。

活動場所の確保です。京都府内では体育館が少なく、学校の体育館も地域のさまざまな団体が利用しています。場所を確保できれば、取り組みをさらに加速させることができます。

スポンサーも年々増えているものの公募ではきてもらえていません。それもシニアチームとの連携を進め、お金がうまく回るようになれば、より可能性が広がるのではないかと考えています。

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

休日はほとんどなく、家族との時間もあるため、休めるのは2カ月に一度ほどです。

それでも、子どもがスポーツを続けられ、指導者も正当に評価される環境をつくるために、今できることを一つずつ形にしていきます。

――最後に、これだけは伝えたいという思いはありますか?

今後は、スポーツクラブが一つの習い事として認識されるようになればと思っております。指導に対してお金を支払うことが当たり前になれば、指導者も増え、より良い指導が広がっていくはずです。地域移行が進む中で、持続可能なクラブ運営のモデルケースになりたいと考えています。

中学生というとても多感な思春期の時期をどう過ごすかは大切です。その時に教わった先生は、私の人生を振り返っても非常に印象深く残っています。この時期をしっかりと生きることで良い大人になると思います。そうすればきっと日本も強くなると思うんです。

子どもの成長を第一に、将来自立できる人を育てられる環境を目指して、これからも取り組みを進めていきたいです。

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