社会インフラを支える技術と対話力――アズウェルが目指す、自治体・官公庁分野のメーカーへの道
アズウェル株式会社 代表取締役 鷹羽 浩介氏
アズウェル株式会社は、自治体や官公庁に関わるソフトウェア開発をはじめ、システムの設計、運用、保守までを一気通貫で手がけています。生活に欠かせない社会インフラを支える責任を担いながら、技術力だけでなく、現場での対話力やコミットメントを大切にしてきました。
今後は、自治体・官公庁分野に特化したメーカーとなり、自社の製品を全国へ届けることを目指しています。代表取締役の鷹羽浩介氏に、起業の背景や組織づくり、今後の展望について伺いました。
社会インフラを一気通貫で支える
――現在の事業内容や、御社ならではの強みを教えてください。
当社では、ソフトウェア開発を主軸に、システムの設計から運用、保守まで幅広く対応しています。一連の工程を一気通貫で手がけられることが、事業上の特徴です。
主なお客様は自治体や官公庁です。非常にニッチな分野ではありますが、私たちが携わっているのは、人々の生活に欠かせない社会インフラの一部です。その重要な領域を支えていることに、会社としての自負を持っています。
また、現場に近い立場で仕事をしているため、技術だけでなく、お客様や関係者との会話力、最後まで仕事をやり切るコミット力も必要です。コミュニケーションに長けたメンバーが活躍できる環境をつくっていることも、当社の強みだと考えています。
――社名や理念には、どのような思いが込められていますか。
「アズウェル」という社名は、「as well as」という言葉から取っています。「あれもこれも」と欲張りに考え、目の前の仕事だけでなく、未来にも目を向けようという思いを込めました。
今の仕事をこなすだけではなく、自分自身の価値や、これからどうなりたいのかを考えることが大切です。社員全員が同じ方向に向かって仕事をしていけるように、現在は社内教育のあり方を見直し、理念や指針、方針についても改めて整えているところです。
逆境をきっかけに選んだ起業の道
――会社を立ち上げた経緯をお聞かせください。
前職を退職したのは2012年4月末で、その後、約5カ月間フリーランスとして働き、同年10月に会社を設立しました。もともとは転職するつもりもなく、前職には終身雇用に近い意識で勤めていました。
しかし、景気が悪化した時期に社内の仕事の負担が偏るようになり、私自身、月100時間を超える残業を長期間続けていました。多いときには月180時間近く働いていましたが、待遇は改善されませんでした。
さらに、自分が取り組んでいた自治体関係の仕事や、その進め方を否定されたことも大きな転機になりました。このまま会社に残っていても状況は変わらないと感じ、起業という選択肢を考えるようになったのです。
周囲からは、景気が厳しい状況での起業を反対されました。ただ、仕事を通じて周囲から頼られていたこともあり、自分の経験を生かして挑戦してみようと決断しました。その選択が、現在につながっています。
――経営判断をする際に大切にしている軸は何でしょうか。
大切にしているのは、自分を信じることです。もちろん、何かを決める前には慎重に考えます。いわば石橋を叩くように、さまざまな可能性を検討したうえで判断しています。
そのうえで、「この方向に進もう」「こうすれば状況が変わるのではないか」と、自分で決め、周囲を巻き込んでいくことを意識しています。経営をしていると、誰かが自分を評価してくれるとは限りません。まずは自分自身が自分を認め、信じることが必要だと考えています。
互いを認め、挑戦できる組織をつくる
――社内のコミュニケーションで意識していることを教えてください。
社員が増えるにつれて、さまざまな性格や価値観を持つ人が組織に加わります。以前は私が採用のすべてに関わり、最終的な判断をしていました。しかし、それでは採用に関する責任が私一人に集中してしまいます。
現在は、現場のメンバーが「この人と一緒に働きたい」と感じた方を採用できるよう、採用の判断を任せています。その結果、以前よりも社内のコミュニケーションやチームワークが向上してきたと感じています。
また、社員と会社の方針や考え方を共有するため、ランチ会など、直接話せる場を増やそうとしています。全社員が集まる決起会も行いながら、お互いを認め合い、共存できる関係を築いていきたいです。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
自分自身に意識を向け、自分の言動に責任を持てる人です。無理に新しいことへ挑むのではなくても、少しずつ前に進み、自分の役割を果たせる方と働きたいと考えています。
同時に、「チャレンジする姿勢」も大切です。ただ自分の考えを一方的に主張するのではなく、会社で仕事をする中で、お互いの価値観を共有しながら挑戦できることが重要です。自分の責任を果たしつつ、周囲と同じ方向を向ける方に加わっていただきたいと思っています。
自治体・官公庁分野のメーカーを目指して
――今後、取り組んでいきたい挑戦を教えてください。
現在は、自治体や官公庁に関わる社会インフラの仕事を幅広く手がけています。今後は、この分野に特化したメーカーになることを目指しています。
メーカーとして自社の製品をつくり、それを全国へ届けられる会社にしていきたいです。その実現に向けて、現在はさまざまな方とコミュニケーションを取りながら、少しずつ準備を進めています。
――今後の課題をどのように捉えていますか。
組織運営においては、会議のあり方が課題の一つです。単なる報告の場になってしまうと、会議に対してネガティブな印象を持つ社員も出てきます。本来、会議は新しい考えや可能性が生まれ、参加者がワクワクできる場であるべきです。
社長から何かを言われることを負担に感じるのではなく、物事を前向きに捉え、ポジティブに表現できる組織をつくりたいと考えています。
事業面では、品質の向上に加えて、「おもてなし」や「思いやり」も重要です。人を敬う気持ちを持ち、相手の状況を理解して行動できれば、会社として新たな可能性が見えてくると思います。
心身を整え、人と向き合う時間
――休日はどのようにリフレッシュしていますか。
土曜日や日曜日の朝には、1時間ほど散歩をしながら神社仏閣を訪れています。1週間を無事に過ごせたことへのお礼参りをし、ご先祖に挨拶することが習慣です。
家族と過ごす時間も大切にしています。最近は成人した長女と飲みに行くこともあり、以前とは異なる関係で話せることに面白さを感じています。妻とも意識して時間をつくるようにしています。
仕事では携帯電話やパソコンに触れる時間が長いため、デジタルデトックスも心がけています。本を読んだり、人の話を聞きに行ったりするほか、好きなガンダムのプラモデルを作ることもあります。筋力トレーニングを続け、体調管理にも取り組んでいます。