贈り物に思いを包み、人と人をつなぐ――美空間コーディネート協会が描く「包む文化」の未来

美空間コーディネート協会 代表 四本 嘉奈子氏

美空間コーディネート協会は、ラッピングやディスプレイを通じて、生活空間に彩りを加える活動を展開しています。大切にしているのは、単に見た目を美しく整えることではありません。贈る人の思いを包み、人と人の心をつなぐこと。その考えを軸に、専門技術を学ぶ講座やオリジナル商品の提供、空間装飾などに取り組んでいます。今回は、代表の四本嘉奈子氏に、事業の特徴やこれまでの歩み、経営で大切にしていること、そして次世代へつなぎたい「包む文化」について伺いました。

「思いを包む」ことから生まれる美しい空間

――協会の理念や、活動に込めている思いを教えてください。

当協会では、「生活空間に贈り物で彩りを加える」「専門性を高めて新しいことに挑戦していく」「ご縁とおもてなしと感謝の気持ちを大切にする」という3つの理念を掲げています。

私にとって空間を美しく彩るということは、単に色や装飾をきれいにすることではありません。その人の思いを包み、心をつなぐことだと考えています。贈り物や装飾を通して、人と人の空間をつなぐ協会でありたいという思いで活動しています。

――現在の事業内容と、その特徴について教えてください。

現在は大きく3つに分かれています。一つは、インテリアとして楽しんでいただける商品づくりやECショップでの販売。二つ目は、ラッピングやディスプレイを専門的に学んでいただく事業。そして三つ目が、ご依頼をいただいて私たちが実際にラッピングやディスプレイを行う事業です。

講座では、空き箱や造花ではなく、提携しているお菓子や食器、花など、できるだけ本物に触れて学んでもらうことを大切にしています。実際の仕事では、本物の商品を扱うからです。また、販売する商品もほぼオリジナルで、他にはないものを目指して開発しています。

福祉の現場で気づいた「見せ方」の力

――現在の道に進まれたきっかけを教えてください。

もともと、この仕事を目指していたわけではありません。農業高校を卒業した後、農業の経験を生かしたいと思い、障害者福祉施設で働き始めました。そこで、利用者の方々が一生懸命つくった商品を販売する中で、「障害者の方が作っているから買ってください」という売り方に悔しさを感じたんです。

商品そのものを大きく変えることは利用者の方にとって負担になります。それなら、見せ方を変えることで付加価値をつけられないかと考え、東京へラッピングを学びに行きました。実際に花や寄せ植えをラッピングすると、商品そのものは同じでも価値が高まりました。さらに並べ方を変えることで、お客様の目線や売上も変わることを知り、ディスプレイの力にも興味を持つようになりました。

その後、花や結婚式に関わる仕事なども経験し、再び福祉施設でギフト製作を担当しました。出産を機に退職しましたが、子育てをしながらラッピングを教える機会は続いていました。そんな中で生まれたのが「ジェエルカクテル®️ハーバリウム」です。二層になった珍しさと、ラッピングまで含めて贈れることを評価していただき、注文が増えていきました。

変化を受け入れ、価値をつくり直す

――経営判断をする際に大切にしていることはありますか。

大きな転機の一つはコロナ禍でした。結婚式や人が集まる場がなくなり、それまで予定していた仕事もできなくなりました。そこで苦手だったオンライン講座やECショップに挑戦し、動画販売も始めました。直接会うことを大事にしてきましたが、時代に合わせて届け方を変える必要があると考えたからです。

もう一つは、ラッピングが「過剰包装」と言われるようになったことです。そこで、捨てられてしまうなら、捨てられないラッピングにすればいいと考えました。繰り返し使える蜜蝋ラップを包装に使ったり、包装紙をブックカバーなどに再利用する方法を伝えたりしています。

――仕事で妥協しない部分はどこでしょうか。

つくるものについては妥協したくありません。できるだけ自分が思い描く形と、お客様が求めている色やイメージに近づけることを大切にしています。予算が決まっている場合も、その範囲の中で何ができるかを考えます。

もう一つ決めているのは、後ろを振り向かないことです。立ち止まることはあっても、過去を振り返るだけでは前には進めません。常に前を向いて進んでいきたいと思っています。

信頼と挑戦を大切にする協会づくり

――協会の皆さんとのコミュニケーションで意識していることを教えてください。

現在、受講してくださったメンバーは全国に約280名います。誰かを雇用しているわけではなく、必要に応じて動画や写真など、それぞれの分野が得意な方にスポットでお願いしています。

コミュニケーションでは、メールだけで終わらせず、できるだけ電話でも話すようにしています。文字だけでは気持ちが十分に伝わらないことがあるからです。「よろしくお願いします」「今日はありがとうございました」といった基本的な言葉も大切にしています。この仕事は信頼関係があってこそ成り立つものだと思っています。

――将来、一緒に活動する方に求めることは何でしょうか。

まず、新しいことに挑戦できる人です。「ここまででいい」と考えるのではなく、自分から新しいことへ挑戦していける人と一緒に活動したいと思っています。そして、おもてなしや感謝の気持ちを持っていることも大切です。

次世代へ「包む文化」と技術をつないでいく

――現在感じている課題はありますか。

私自身が表に出て、協会の考えや活動をもっと伝えていく必要があると感じています。協会の名前だけが自然に広がっていくわけではありません。私が発信することで、メンバーの仕事につながることもあります。

また、遠方で仕事を広げるためには、各地域で活動できる人材を増やすことも必要です。ラッピングや装飾は、技術だけでなく一人ひとりの感性も大きく関わります。受講してくださる方が各地で増え、それぞれの得意なデザインを生かしながら仕事を担える状態をつくっていきたいです。

人との出会いを大切に、前を向いて進む

――休日はどのようにリフレッシュされていますか。

子どもが3人いるので、主人と子どもたちと5人で出かける時間を大切にしています。仕事のことを思いついても、家族と過ごしている時にはできるだけ口に出さないようにしています。

また、私は話すことで頭の中を整理するタイプなので、主人に自分の思いや、「こういうことをしようと思っているけれど、どう思う?」と相談して聞いてもらうこともリフレッシュになっています。

――これから事業を始める方や、仕事に悩んでいる方へ伝えたいことはありますか。

ラッピングやディスプレイだけで独り立ちするのは難しいと思われることもあります。それでも私は、周りの人に恵まれ、支えてもらえたからこそ続けてこられました。

どのような事業でも、周りで支えてくれる人がいれば進んでいけるのではないかと思っています。人との出会いやつながり、周りにいる方々は宝物です。これから事業を始める方も、今悩んでいる方も、そうした人とのつながりを大切にしながら仕事を続けていただけたらと思います。

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