中山間地域から最先端へ―ドローンとAIで地域課題と人材育成に挑む

KENZ PROJECT 代表 鈴木 健司氏

ドローンスクールの運営や各種請負業務、動画制作、AI導入支援、AIエージェントアプリ開発を手がけているKENZ PROJECT。人口減少が進む地域を盛り上げ、これからの時代を担う人材を育てたいという思いから、ドローンやAIといった最先端技術を地域に根づかせようとしています。製造業で約27年間働いた後、自ら事業を始めた鈴木氏に、現在の取り組みや事業に対する考え、今後の展望を伺いました。

ドローンとAIを軸に、地域で必要とされる事業を展開

――現在の事業内容について教えてください。

私は、大きく分けてドローン、動画撮影制作、AIの3つの分野に取り組んでいます。ドローン事業で行っていることは、スクールの運営に加え、点検、測量、撮影、農薬散布、物流などの請負業務です。動画制作では、一般的な企業PVや採用動画のほか、VR撮影や生成AIを活用した動画制作にも対応しています。

AI分野では、企業への導入支援や教育、AI顧問としてのコンサルティングを行ってきました。最近では、コンサルだけでなくアプリ開発にも取り組み、FDEとして企業様の課題に伴走して取り組んでいます。今後は、この分野を事業の主軸の1つにしていきたいと考えています。

――事業を通じて実現したいことは何ですか。

私は、浜松市の中山間地域が抱える課題に向き合い、地域を盛り上げられる人材を育てたいと考えています。少子高齢化や人口減少が進むなかで、地域の暮らしや働き方をより良くするには、新しい技術を扱える人が必要です。

そのため、ドローンスクールやAI事業では、技術や知識を提供するだけでなく、地域や仕事のなかで活用できる人を増やしたいと思っています。

中山間地域に拠点を置きながら、ドローンやAIなどの最先端分野に取り組む。「田舎なのに最先端」という点も、私の事業の特徴です。

製造業での約27年を経て、自ら事業を始める

――事業を始めたきっかけを教えてください。

以前は製造業で約27年間働いていました。ただ、そのまま定年まで勤め続けるのではなく、自分で何かを始めたいという思いがありました。それが、事業を始めたきっかけです。

最初は動画制作から始め、その後、ドローンに力を入れるようになりました。現在もドローンは事業の大きな柱ですが、数年前からAIにも触れ始め、AI導入支援やアプリ開発へと領域を広げています。時代や市場の動きを見ながら、取り組む事業を少しずつ変化させてきました。

――事業上の判断で大切にしていることはありますか。

地元で最先端分野に取り組んでいる事業者は、まだ多くありません。すぐに大きな利益につながる分野ばかりではなく、現在は踏ん張りどころだと感じることもあります。

それでも、やめるという選択肢はありません。取り組みを続けることで、時代が少しずつ追いついてくると考えているからです。

とはいえ、特定の経営哲学や決まった型に強くこだわっているわけではありません。状況や相手に応じて柔軟に考え、その都度、必要な判断をすることを大切にしています。

スクール卒業後も学びを支え、実務経験につなげる

――現在はどのような体制で事業を運営していますか。

常勤の従業員は置かず、基本的には私一人で事業を運営しています。ただし、業務の内容や規模に応じて、ドローンスクールの卒業生に業務委託やアルバイトの形で参加してもらっています。

現在、一緒に仕事をしている卒業生は5、6人ほどです。スクールは2~5日間の講習で終わりますが、それだけでプロとして仕事ができるようになるわけではありません。そのため、月に2回ほどドローン練習会を開き、卒業後も技術を磨ける機会を設けています。

一定の技術を身につけた人には、実際の仕事にも同行してもらい、現場経験を積んでもらっています。

――一緒に働きたいのは、どのような人ですか。

自分で考えて動ける人です。指示を待つのではなく、状況を見ながら必要なことを判断し、実行できる人と一緒に仕事をしたいと考えています。卒業生と仕事をする際も、単に作業をお願いするのではなく、実務を通じて経験を積んでもらうことを重視しています。

スクールで教えて終わるのではなく、卒業後も練習の機会を設け、実際の仕事につなげていくことが、私の事業の運営スタイルです。

中小企業がAIを活用するための入口をつくる

――AI分野では、今後どのようなことに挑戦したいですか。

これまでは、ClaudeやGeminiなどの使い方を伝えたり、企業のAI導入を支援したりするAI顧問の仕事が中心でした。今後は、FDEとして企業様の課題をヒアリングから入り、AIを活用したアプリを自ら開発し、中小企業の業務効率化に伴走してより具体的に進めていきたいと考えています。

中小企業の多くは、AIを使えば便利になると感じていても、何から始めればよいのかわからず、最初の一歩を踏み出せていません。私は、その入口を示し、実際に使える形にするところまで支援したいと思っています。アプリ開発と導入支援の両方に取り組み、企業のAI活用を加速させていきたいです。

――ドローン事業では、どのような展望を描いていますか。

ドローンでは、物資を運ぶ物流分野にも力を入れています。浜松で進められているドローン航路の取り組みにおいて、行政や地元の大手物流企業と連携し、すでに医薬品を運ぶ事業に関わっています。

私自身も、操縦者として中心的に参加しています。ドローン物流は、国内でも取り組む事業者がまだ多くない分野です。簡単に利益が出る事業ではありませんが、中山間地域の物流に活用できる技術だと考えています。

これまで積み重ねてきた経験を活かし、ドローン物流の取り組みをさらに前へ進めていきたいです。

映画と新しい技術への関心を深めることを大切にする

――仕事を離れた時間は、どのように過ごしていますか。

休日は不定期ですが、映画が好きなので、NetflixやAmazonプライムで作品を観たり、映画館に足を運んだりしています。映画館で観たい作品があれば、実際に映画館へ行きます。邦画を観ることが多いですが、洋画ではアメコミの実写系や恐竜系の作品も好きです。

ドローンやAIに関しては、もともと興味を持って取り組んできたことが仕事になっています。そのため、仕事と趣味を明確に分けている感覚はあまりありません。

決まった休日を設けるというよりも、映画を観る時間をつくりながら気分を切り替えています。

これからも関心のある技術を学び、それを実際の仕事や地域の課題解決につなげていきたいと考えています。中山間地域にいながら最先端の取り組みを続け、ドローンとAIの活用をさらに広げていきたいです。

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