花になるよりも、花を咲かせる土として――地域と社会を支える株式会社夢現の挑戦
株式会社夢現 代表取締役 田子森 建太氏
広告・Web制作をはじめ、教育、福祉と3つの事業を展開する株式会社夢現。地域の店舗や子どもたち、障害のある方々を支えながら、「誰もが自分らしく働き、生きていける力を身につけられる社会」の実現を目指しています。その原点には、阪神・淡路大震災で地域の人々に支えられた経験がありました。本記事では、事業への想いや経営哲学、今後の展望について伺いました。
地域の夢を現実にする3つの事業
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社では大きく3つの事業を展開しています。
一つ目はクリエイティブ事業です。広告制作やWeb制作、グラフィックデザイン、チラシ制作など、お客様の集客につながる制作物の企画・制作を行っています。店舗や企業がより多くのお客様と出会えるよう、販促活動を支援しています。
二つ目は教育事業です。子ども向けのプログラミング教室の運営に加え、全国の公立小学校へプログラミング教材を提供しています。また、教員向けの研修やOJT、学校へ講師を派遣して実際に授業を行う出前授業なども実施しています。子どもたちがこれからの時代に必要なITスキルに触れられる環境づくりに取り組んでいます。
三つ目は福祉事業です。就労継続支援B型や就労移行支援を通じて、障害のある方がパソコンを活用した仕事に取り組めるよう支援しています。プログラミングやパソコンスキルを身につけることで、在宅を含む、働ける力を育てることを目的としています。
――会社として大切にしている理念を教えてください。
私たちが大切にしている言葉は「花になるよりも花を咲かせる土として」です。
会社そのものが目立つ存在になることよりも、お客様や地域のお店、子どもたち、障害のある方々が輝けるよう支えることが私たちの役割だと考えています。どうすればお客様が成長できるのか、どうすれば地域が元気になるのかを第一に考え、そのために必要な知識や技術を学び、サービスとして提供し続けることを大切にしています。
原点は阪神・淡路大震災で受けた地域の支え
――経営者になられた経緯を教えてください。
私の原点は阪神・淡路大震災です。
当時は中学生で受験を控えていましたが、自宅は全壊し、体育館での避難生活を経験しました。そのような状況の中、地元のお店の方々が、自分たちも被災しているにもかかわらず、支援物資を届けてくださいました。その支えがあったからこそ、私たちは前を向いて生活することができました。
いつか自分が大人になったら、今度は地域へ恩返しをしたい。その思いから、地域のお店が発展できるよう集客を支援する仕事を選び、「夢を現実にする」という想いを込めて株式会社夢現を立ち上げました。
高校卒業後は完全歩合制の営業会社で飛び込み営業を経験し、その後、個人事業として仕事を請け負うようになりました。長く屋号で活動した後、2011年に法人化し、現在に至ります。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
何よりも、お客様に喜んでいただくことです。
会社を大きくすることだけが目的ではありません。お客様の売上が伸び、お客様が成功すれば、自然と私たちにも次の仕事が生まれます。その積み重ねが結果として会社の成長につながると考えています。
「まず与えること Givers」を意識し、お客様の成功を支える存在であり続けることが、経営の軸になっています。
人を育て、社会に貢献できる組織を目指して
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在は約12名の体制で事業を運営しています。
今後はそれぞれの事業部に責任者を育て、次の世代へしっかり引き継ぐ組織づくりを進めていきたいと考えています。一人に依存するのではなく、それぞれの事業が自立して成長できる体制を整えることが目標です。
――社会に対してどのような価値を届けたいと考えていますか。
パソコンやプログラミングなどのスキルは、どこにいても働ける力になると考えています。
実際にコロナ禍では、社員全員が在宅勤務へ切り替えることができ、誰一人解雇することなく雇用を維持できました。また、結婚や出産を経験した社員も、在宅勤務へ移行しながら働き続けた後に、通勤勤務へと復職しています。
障害のある方や育児・介護などさまざまな事情を抱える方でも、スキルがあれば働き続けることができます。だからこそ、子どもたちや障害のある方へ知識や技術を伝え、将来の選択肢を広げるお手伝いをしていきたいと思っています。
AI活用と新事業「ポスナビ」で新たな価値を創出
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
クリエイティブ事業ではAIの活用をさらに進めていきたいと考えています。また、教育事業や福祉事業では、これまで培ってきたデザインやパソコン活用のノウハウを、地域や社会へさらに還元していきたいと思っています。
加えて、新たな挑戦として「ポスナビ」というサービスを立ち上げています。
これはポスティングに特化したスキマバイトのマッチングサービスです。配布スタッフ、チラシを配布したい店舗、クリエイターの三者をつなぐ仕組みとなっており、それぞれが抱える課題を解決できるサービスを目指しています。
少ない枚数からポスティングを依頼できることや、GPSを活用した配布状況のリアルタイム確認など、安心して利用できる仕組みも整えています。今後は認知拡大を進めながら、この新事業を大きく育てていきたいと考えています。
また、その運営についてもAIを積極的に活用し、広告運用や顧客対応などを効率化することで、小規模でも高い生産性を実現できる組織づくりに挑戦しています。
健康づくりが仕事への活力につながる
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
休日は格闘技や登山、料理を楽しんでいます。
20代は合気道、30代は空手、現在はキックボクシングに取り組んでおり、試合にも出場しています。経営者にとって体力は欠かせないため、健康維持と精神力を養う目的で続けています。
また、普段はデジタルの世界で仕事をしているため、休日には自然の中で過ごす時間も大切にしています。月に一度ほど山へ登り、富士山にも毎年登っています。さらに、自炊も日課で、お弁当も自分で作るなど、健康管理を意識した生活を続けています。
これからも地域や社会に貢献しながら、一人ひとりが自分らしく働ける環境づくりを支え、「花を咲かせる土」として新たな価値を生み出し続けていきます。