依頼者とともに解決へ向き合う、自由と信頼を大切にしたスタイル
ANESYS法律事務所 弁護士 井澤 わかな氏
井澤氏は、弁護士として個人の依頼者を中心に相談・依頼を受けながら、アロマ関連の複数資格やCFP資格も活かし、金融経済教育などにも関わっています。相談から依頼対応まで、自ら行う一人事務所で、依頼者との距離を近く保っていることも特徴です。依頼者本人に「自分ごと」として問題に向き合ってもらうことを大切にする井澤氏に、仕事で大切にしていることや、事務所を持つことにした理由、これから取り組んでいきたいことなどについて伺いました。
目次
依頼者との距離を近く保つ、個人中心の業務
――現在の事業内容について教えてください。
私は弁護士として仕事をしています。業務内容そのものは、俗に町弁と言われる分類に属すると思います。中でも圧倒的に個人の方からの相談・依頼が多い状況です。
もともとパラリーガルとして事務方の仕事を長く経験していたこともあり、依頼者とのやり取りや事務作業も自分で行うこじんまりとしたスタイルで業務を行っています。
一度に多くの案件を抱える形ではなく、事務スタッフを介さず直接やり取りしているため、依頼者にとって待たされるストレスが少ない点は特徴の1つだと思います。すぐに返事ができないときも、いつまでに折り返すかを一度お伝えするように心がけています。
――法律以外の知識も相談対応に活かしていますか。
はい。私はアロマ系の資格を複数持っていますし、CFP資格も20年ほど前から保有しています。現在は、J-FLEC認定講師などの金融経済教育の活動にも関わっているところです。
福祉住環境コーディネーターやシックハウス診断士など、生活に関係する分野の知識もあるので、仮に法律相談から外れる話でも、一定の方向性をお示しできる場合があります。別の分野も含めてどのような道筋があるかを示せる範囲が広い点は、自分の特徴だと思っています。
「解決してもらう」のではなく、自分ごととして向き合う
――仕事をする上で大切にしている考え方を教えてください。
弁護士のホームページでは、「力になります」「解決して差し上げます」といった打ち出し方が多いように感じます。私の打ち出し方はちょっと違うかなと思っています。
もちろん、私が対応したほうがよいことは対応しますし、必要なことはきちんと行う方針です。ただ、私がその場で解決しても、根っこが解決していなければ、違う形で別の問題が起こることもあると考えています。ですから、できるだけ自分ごととして関わって頂ける方と、ご縁を繋ぎたいと考えています。
すべて任せて解決してもらおうという方は、おそらく私とは合いません。私は、一緒に協力しながら解決していく形を大事にしています。
――ご自身で事務所を持つことを選んだ理由は何ですか。
弁護士登録をした後は、できるだけ早く自分の事務所という形にしようと思っていました。
というのも、アロマ関係や金融経済教育など、いわゆる法律事務と直接の関係があるとは言えない分野を同時に扱いたいと考えており、そのためには誰にも遠慮せず、自分がやりたいことを自分のやりたいようにできる自分の事務所、という形態に魅力を感じていたためです。
経営判断も、誰かに頼って相談するというより、自分自身に問うて正しいと思えるか、自分の感覚として受け入れられるかで決めています。納得できればやる、そうでなければやらないという判断が多いですね。
信頼を軸に、必要な専門家とは柔軟に連携する
――ほかの専門家とはどのように関わっていますか。
基本的には一人で仕事をしていますが、依頼者がすでに税理士などの専門家に依頼している場合は、その方と連携する形をとります。反対に、専門家を紹介してほしいと言われた場合には、自分の知り合いに相談することもあります。
そのときに大切なのは信頼で、依頼者に紹介する以上、自分が信頼できる専門家の先生方であることが大前提です。一方で、紹介先の専門家の先生方にご迷惑をかけることはない、と私が思える依頼者でなければ、紹介を控えることもあります。
その場合は無理に紹介せず、探し方をお伝えする形です。
――今後、人を採用する考えはありますか。
現時点では採用は考えていません。専門家の先生方との連携と同じく、もし誰かと一緒に働くのであれば、経歴や能力以上に、信頼できる相手かどうかが大きなポイントになると思っています。
ただ、今の私は自由であることを最優先しています。人を増やすことで自由が制限されるのであれば、今のままでよいという考えです。
事業拡大よりも、自分の経験や知識を発信する
――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
依頼を増やす方向で事業を大きくしたいという気持ちは、今のところあまりありません。発信をするとすれば、Instagramや音声配信などを使って、アロマ関係で健康のことや、自分の年齢前後の方が考えていく、おひとりさまの終活について発信したいと思っています。
年齢の近い知り合いの方が突然亡くなられたと聞いて驚いたこともありましたので、仕事の依頼を増やすためではなく、自分の考えをまとめつつ、緩い繋がりが出来ればという気持ちでもあります。
自分自身も終活を考える年代に入ってきましたし、突然死した場合のマニュアルも途中までは作っています。終活においては正解は一つではなく、FP、福祉住環境、アロマと健康、弁護士の知見も全てが活かせるため、残りの人生のリアルタイムな、自らの人生と同時進行のテーマだと感じています。
――仕事のなかで、見直したいと感じていることはありますか。
私は、長く訴訟を続けるより、できれば示談などでスピーディーに解決し、依頼者が早く次の段階へ進める方途を基本的に好んでいます。
ただ、相手があることですし、依頼者の納得も必要なので、思うように行かないこともあります。最近は長く続いている案件もあります。
そこに自分の要因がないかは、あらためて精査したいところです。時代の流れに合わせて、改善できるところがないかも、併せて考えていきたいと思っています。
自由を守り、自分が力を使いたい相手と向き合う
――仕事で譲れないことは何ですか。
こじんまりと仕事をしているからこそ、金額が大きく売り上げになる案件でも、自分の感覚としてお手伝いしたくないと思う事案は、無理に受けずに済むところがあります。
特に、自分以外の人に全ての問題を任せて、お金を払えば完全に解決してもらえるというようなスタンスの方に、私は力をあまり使いたいと思いません。
それを引き受けるのが弁護士の役割だという考え方もあると思いますし、それが正論だとも思います。ただ、私はせっかく自営で自由にやっているので、自分がやりたくないことは無理にやらないという方針で続けてきました。それをよしとしてくださる方と仕事をしていきたいと考えています。
――どのようにリフレッシュしていますか。
自営業なので、土日が必ず休みという働き方ではありません。土日に作業をして、平日に休むこともあります。
植物を育てるのが好きで、小さな植物を増やしたり、季節に合わせて飾る小物をつくったりします。映画を見ることも好きです。
――これから経営を始める方に伝えたいことはありますか。
今は小さな一歩から始められますし、副業を認める企業も増えてきています。給与という安定した収入もありながら、副業などを通じて少し経営に触れてみることもできる、非常にラッキーな時代だと思います。
経営においては、発信も必要になると思いますが、それもとても簡単になりました。以前はメディアに載せるにも大きなお金が必要でしたし、発信できる媒体も限られていた印象ですが、今は色んな媒体が個人でも簡単に利用出来て有難い環境です。
これから新しく始める方には、ちょっとした形でよいので、まずは勤務という形ではない、経営という形に参入してみていただければと思っています。