現場で汗をかき、価値をつくり込む――インドネシアと自動車産業を軸に歩むAPスターコンサルティングの経営
株式会社APスターコンサルティング 代表 藤井 真治氏
株式会社APスターコンサルティングは、インドネシアを中心とした東南アジアへの事業展開を支援するコンサルティング会社です。自動車産業を中心に、インドネシア市場で培った知見と実務経験を活かし、企業の海外展開を支援しています。本記事では、代表の藤井真治氏に、事業の特徴や強み、今後の展望などについて伺いました。
インドネシアと自動車産業を軸に、現場で伴走する
――現在の事業内容について教えてください。
当社の主な事業は、インドネシアを中心としたアジア進出企業への戦略コンサルティングです。現在はインドネシアと日本をベースに活動しており、一年の多くをインドネシアで過ごしています。
経理や法務など、特定の機能に特化した専門コンサルティングではありません。企業がどのようなパートナーと組むべきか、日本と現地市場では何が違うのか、今後どの方向に事業を拡大していくのか、といった経営や事業全体に関わるテーマを扱っています。
――他社との違いや強みは、どのような点にありますか。
大手コンサルティング会社のように、大規模な調査報告書を作成して終わるのではなく、現場に入り、汗をかきながら一緒に取り組むことを大切にしています。戦略を提示するだけではなく、クライアントに理解していただき、実際の行動につなげるところまで支援することが当社の役割です。
対象地域はインドネシアを中心とした東南アジアで、産業分野では自動車関連を得意としています。自動車産業の上流から下流まで、ものづくりや部品、販売、マーケティング、ディーラーマネジメント、サービス、バリューチェーン、コネクテッドカーに至るまで、幅広く対応できます。
ただ、自動車関連以外についても相談は可能です。特に、インドネシアという国の事情を理解していることは、業種を問わず活かせるポイントだと考えています。
海外の現場で培った経験を、自らの仕事に変える
――インドネシアを中心に活動されている理由を教えてください。
会社員時代にインドネシアへ二度駐在し、現地の事業運営に深く関わってきた経験があるためです。インドネシアでは現場に入り込み、泥だらけになりながら仕事をしてきました。その経験と人脈を、現在の事業の土台にしています。
中国事業を担当した経験や香港での駐在経験もあり、中国系の方々とのつながりもあります。そうしたアジア圏での経験を踏まえたうえで、実際に暮らし、仕事をしてきたインドネシアを活動の中心に据えました。
自動車産業についても、もともとはマーケティング領域から始まりましたが、長く仕事を続ける中で、徐々に対応できる範囲が広がっていきました。現在は、インドネシアを中心とした地域性と、自動車産業全体をカバーする知見の両面から支援できることが強みとなっています。
――経営の道に進まれたきっかけについても教えてください。
57歳で会社を早期退職し、一人でコンサルティング会社を立ち上げました。55歳で役職定年を迎え、そのまま会社員として働き続ける道もありましたが、もう少し刺激があり、自分の力を発揮できる生き方を選びたいと考えたことがきっかけです。
退職に伴う特別な補償があったわけではなく、自分の意思で会社を辞めて起業しました。当時は周囲から無謀と言われることもありましたが、まだ体力もあり、これまでの経験を活かせると考え、踏み出しました。
また、東南アジアが好きで、この地域で自分にできることを続けたいという想いもありました。会社を大きくすることが目的ではなく、自分が納得できる仕事をしながら、人生をより面白くするための選択だったと思います。
会社を拡大するより、知識と価値をつくり込む
――現在、幅広い仕事に取り組まれているそうですね。
現在は複数のクライアントを支援するほか、調査やテーマ別のレポート執筆、大学での授業にも取り組んでいます。レポートについては、毎月3,000字から5,000字程度の原稿を、表なども添付しながら作成しています。
大学では、自動車産業をテーマに英語で教える予定です。インドネシアをはじめとした留学生に対して、自動車産業の現状だけでなく、これまでの歴史も含めて体系的に伝えていきたいと考えています。
教えるというより、まずは分かりやすく伝え、理解してもらう段階です。学生の表情や反応を見ながら、内容を簡単にしたり、伝え方を変えたりする必要があります。また、世代の異なる人たちと話すことで、私自身が教えられることもあると期待しています。
――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
会社を大きくしたり、売上を大幅に伸ばしたりすることは、現在の目的ではありません。一人会社ですから、会社の将来というより、私自身が今後どうしたいかを大切にしています。
新たな挑戦として、大学で教えることを通じて、これまでの経験や知識を整理し、もう一段高い視点から考えられるようになりたいです。自分のなかにある知識や経験を体系化し、若い世代に伝えながら、自分自身の視点も更新していく過程自体を楽しめればと思っています。
もともと製造業界にいたこともあるせいか、最近は私の仕事も「つくり込んでいく仕事」だと感じています。ものをつくるのではなく、仕事や知識、価値をつくり込んでいく――これまでの経験をそのまま残すのではなく、相手に伝わり、行動につながる形へと磨いていきたいです。
年齢を重ねたからこそ、会社を大きくすることだけにとらわれず、自分なりの仕事や学びを楽しめるようになりました。インドネシアと自動車産業の現場で培った経験を活かしながら、これからも現場に立ち、価値をつくり込む仕事を続けてまいります。