住宅・不動産業界の「担当者ガチャ」をなくす。外部マーケティング責任者としての挑戦
株式会社Monokrome 代表 小池 智史氏
中小企業のマーケティングを支援し、住宅・不動産業界を中心にクライアントの事業成長を支えている小池氏。Web施策を軸に、SNS運用、広告、ホームページやLPの制作までを包括的に担っています。自社の成長を優先して顧客を増やすのではなく、まずは目の前のクライアントに成果を出してもらう。その姿勢の背景には、これまでのキャリアで培った経験と、マーケティング業界に対する問題意識があります。
目次
住宅・不動産業界のマーケティングを包括的に支援
――現在の事業内容について教えてください。
当社は、中小企業を対象にマーケティング支援を行っています。主なクライアントは年商数億円規模で、社内に専任のマーケティング担当者を置いていない企業です。外部のマーケティング責任者や設計者のような立場で、事業全体を見ながら必要な施策を考えています。
マーケティング全般を扱っていますが、中心となるのはWeb領域です。SNS運用、リスティング広告やディスプレイ広告、ホームページやLPの制作などを包括的に支援しています。
――どのような業界のクライアントが多いのでしょうか。
現在は、住宅・不動産業界のクライアントが約8割5分を占めています。前職で得た知見を活かし、地域の工務店、新築やリフォームを扱う企業、小規模な事業者などを支援しています。
住宅・不動産業界に関する知見に加え、SNS、広告、制作といった複数の領域を横断して見られることも強みです。特定の施策だけではなく、マーケティング全体を見渡しながら設計できる点に、当社の役割があると考えています。
自分の判断で仕事を進めるために選んだ独立
――経営者を目指したきっかけを教えてください。
私は社会人になった頃から、個人の力で仕事ができるようになりたいと考えていたのです。前職ではWebマーケティングに携わり、組織だけではなく、自分自身に知識や経験が蓄積される環境で働いていました。
仕事を通じて、やりたいことに必要な力は身につけられたと思います。一方で、仕事量に対して収入が追いつかないと感じることや、経営方針に納得できない場面もありました。それならば、自分で取り組んだほうが早いと考え、独立を決めました。
学生時代には部活動でキャプテンを務めるなど、人をまとめる立場になることが多くありました。人に決められたとおりに動くよりも、自分で考えて進めたいという気持ちも、経営の道を選んだ理由の1つです。
――経営において、もっとも大切にしていることは何ですか。
私が大切にしているのは、自分が立てた目標にクライアントを巻き込まないことです。自社が売り上げ10億円や100億円を目指すからといって、体制が整っていない状態で顧客を増やせば、どこかに無理が生じます。
その結果、十分な支援を受けられないクライアントが出てしまいます。事業を成長させること自体を否定するつもりはありませんが、犠牲を出してまで規模を大きくしたいとは考えていません。
まずクライアントに成果を出してもらい、その結果として当社への依頼や受注額が増えていく。その順番を守ることが、私の経営における方針です。
属人性を受け入れ、信頼できるチームをつくる
――現在の組織体制について教えてください。
当社には正社員がおらず、業務委託のメンバーと仕事をしています。継続的に依頼している中心メンバーは5人ほどです。マーケターやクリエイターなど、それぞれの専門性を持った人とチームを組んでいます。
現在の課題は、私と同じようにマーケティング全体を理解し、クライアントの事業に深く入って仕事を進められる人材を増やすことです。
ライターやデザイナーのように担当領域が明確であれば、その分野を教育することで、任せられる範囲を広げられます。しかし、複数の施策を理解し、全体を見ながら判断する役割を短期間で育てることは難しいのが現状です。
私は、この仕事から属人性を完全に排除することは難しいと考えています。そのため、仕組みだけで均一化するのではなく、優秀な人に適切な報酬を支払い、信頼できるチームを少しずつ広げていく方針です。
――「担当者ガチャ」をなくしたいと考える理由を教えてください。
マーケティング業界は、担当者による力量の差が大きい業界です。契約時にはわからなくても、実際に支援が始まると、経験の浅い担当者がついていたというケースがあります。
成果が出ない状態が続き、2年後や3年後に解約するクライアントもいます。特に地方の経営者にとって、契約前に相手の実力を見極めることは簡単ではありません。
支援する側の品質を高めるとともに、発注する側のマーケティングリテラシーを高めることも必要です。良い支援者を正しく選べる環境が広がれば、業界全体の改善につながると考えています。
スポーツで体を動かし、仕事から頭を切り替える
――仕事以外では、どのようにリフレッシュしていますか。
私は学生時代からスポーツに取り組んできました。現在も友人とテニスやサッカーをすることがあります。
特定の選手やクラブチームを追いかけているわけではありません。ただ、日本代表の試合には思い入れがあります。体を動かす時間が、仕事から頭を切り替える機会になっていますね。
クライアントの成果を積み重ね、業界の第一人者へ
――今後、事業をどのように成長させたいと考えていますか。
現時点では、新しい事業への転換や大きな方向転換は考えていません。まずは、現在お付き合いしているクライアントに成果を出してもらい、満足した状態で継続していただくことが最優先です。
3年後の売り上げについて明確な目標を置いているわけではありませんが、現在の3〜5倍ほどになっていれば望ましいと思います。ただし、その数字を達成するために、無理に顧客を増やすつもりはありません。
――将来的には、どのような存在を目指していますか。
私は、100人や1,000人を抱える企業にしたい、上場して名前を残したいとは考えていません。AIもさらに発達していくなかで、社員数やオフィスの大きさを目標にする必要はないと思っています。
目指しているのは、住宅・不動産業界のWebマーケティングにおける第一人者のような存在です。まずクライアントが成果を出し、次に私が潤う。その力で、身近な人が困らないようにしたり、新しい挑戦を支えたりできる状態をつくりたいです。
良い商品やサービスが、マーケティングの力によって自然に広がる。その流れを1つずつの支援によって加速させながら、これからも目の前のクライアントに向き合っていきます。