「食べられる人を増やしたい」――クレープの可能性を広げる井島氏の店づくり

株式会社強美 代表取締役 井島 渚氏

オートミールや米粉、豆乳ホイップクリームなどを使ったクレープ店「NagiCrepe」を運営する株式会社強美。代表の井島氏は、学生時代のキッチンカーを皮切りに、現在は店舗経営のほか卸やレクチャーにも取り組んでいます。本記事では、現在のクレープが生まれた背景や人材への考え方、経営課題、今後の展望を伺いました。

「美味しくヘルシーに」を形にしたクレープづくり

――事業内容とクレープの特徴を教えてください。

当社はクレープ店の経営を中心に、クレープの卸や製造販売、レクチャー事業などを行っています。

クレープのコンセプトは「美味しくヘルシーに」です。卵・小麦・乳成分を使わず、ヴィーガン認証も取得しています。ヴィーガンの方や、アレルギーのあるお子さんを持つ方にも来店いただいています。

ただし、同じ製造所で卵・乳・小麦を含む食品も扱うため、完全なアレルギー対応ではありません。重度の方には、ご自身での判断をお願いしています。

「アレルギー対応だから美味しくない」と思われるものにはしたくありません。ヘルシーでありながら、きちんとクレープとして美味しく、最後まで胃もたれしにくいものを目指しています。

――現在のクレープは、どのように生まれたのでしょうか?

きっかけは、私自身が生クリームなどで胃もたれしやすかったことです。自分でも最後まで美味しく食べられる、ヘルシーで罪悪感の少ないクレープを作れないかと考えました。

試作を重ね、米粉などを使えば、卵や小麦、牛乳なしでも美味しく作れると分かりました。そこで、せっかくなら「みんなで食べるときに、誰かだけ食べられない」という状況を減らしたいと思うようになりました。

以前の店舗でヘルシーな商品を出すと、それを目当てに遠方から来る方が増えたんです。喜んでもらえる深さが違うと感じ、今の方向に軸を定めました。

学生時代のキッチンカーから始まった、クレープと歩むキャリア

――クレープ店を始めたきっかけを教えてください。

もともと、いつかカフェやパン屋さんのような自分のお店を持ちたいという夢がありました。大学生の頃、アルバイトで貯めた資金もあり、学生でも始められる方法を調べたんです。

そこでキッチンカーなら自分にもできそうだと思い、お菓子の中でもキッチンカーに合うクレープを選びました。大学生のときに車両を購入し、クレープ屋を始めたのが最初です。

当時は今のようなヘルシークレープではなく、ごく一般的なクレープを販売していました。

――学生時代、なぜアルバイトに多くの時間を使っていたのでしょうか?

将来の夢のために働いていたというより、単純に働くことが好きでした。高校生の頃から、部活よりアルバイトに時間を使うことが多かったです。

お菓子を作って人にあげることも好きで、クラス中に配ることもありました。飲食店でも、自分が作ったものをお客様が「美味しい」と喜んでくださり、自分も対価をいただける。そのやり取りがとても好きだったんです。

――新卒で会社員を経験し、その後独立した経緯を教えてください。

「卒業後は絶対に起業する」と決めていたわけではありません。新卒という機会を経験してみたいと思い、飲食店向けのサービスを扱う会社に入りました。

ちょうどキッチンカーのプラットフォーム部門ができるタイミングで、企画や営業に携わりました。自分がお店を持つという夢につながる仕事でもあり、やりたいことを実現している人を支えるサービスそのものに魅力を感じていたんです。

一方で、自分のお店を持ちたいという気持ちは残っていました。そのため新卒1年目で独立し、個人事業主としてクレープ店を始めました。

店の顔を任せるからこそ、人間性と素直さを大切にする

――どのような人と一緒に働きたいですか?

今はアルバイトスタッフが5、6人います。採用で重視しているのは、悪意がなく、物事を素直に受け取れる人かどうかです。

言葉の裏を読みすぎたり、発言を邪推したりすると、コミュニケーションに時間がかかります。クレープ店では、スタッフ一人ひとりがお客様と直接接する店の顔です。

だからこそ、人間性がきちんとしていて、人生を一生懸命生きている人と一緒に働きたいと思っています。

――店舗展開に向けて、どのような人材を求めていますか?

現在は、今いるスタッフの中から店長を育てています。今後は店舗を増やしていきたいと考えているため、新しいお店で店長をやりたい方や、当社のクレープのコンセプトに共感してくれる方とはぜひ一緒に働きたいです。

私は19歳頃からクレープを焼き続け、7、8年ほどこの事業に関わってきました。その経験を生かし、レクチャーや開業相談などにも取り組んでいます。 

クレープという商材の可能性や、私たちがやっていることを面白いと感じてくれる方がいれば、一度お話ししてみたいですね。

強みの裏側にある、製造と組織づくりの難しさ

――現在の経営課題を教えてください。

飲食店なので、天候や世の中の流れによって売上が大きく左右される点は課題です。1店舗だけではなく、少しずつ店舗を増やすことで安定させたいと考えています。

もう一つは、商品の特徴そのものが運営上の難しさにつながっていることです。当社では米粉やオートミール、豆乳など少し特殊な材料を使うため、作る技術が難しく、仕入れ先も多岐にわたります。

発注や製造など、まだ私にしかできないことが多い状態です。スタッフに少しずつ教えていますが、ヘルシークレープならではの難しさがあります。

――卸事業を広げるうえで意識していることは何ですか?

卸は安定した売上につながるため、広げたい気持ちはあるものの、現状の店舗は大きくないため、営業や卸だけを増やすと現場が回らなくなる可能性があります。

そのため、攻めと守りのバランスを取ることを大切にしています。製造や管理体制を整えながら、無理のない形で卸も伸ばしていきたいです。

今は店長の育成や戦略、教育、総務・労務に加え、私自身もプレイヤーとして現場に入っています。スタッフが頑張ってくれているおかげで少しずつ現場を離れられるようになってきたので、これからさらに任せられる体制をつくっていきたいですね。

それぞれの街に合ったクレープ店をつくり、楽しみ方を広げていく

――1年後、会社をどのような状態にしたいですか?

1年後には、もう1店舗増やしたいと考えています。ただ店舗数を増やすだけではなく、そこで働くスタッフがしっかり仕事をできる状態までつくることが理想です。

――クレープを通じて、どのような未来を描いていますか?

M&Aや上場など、明確な出口を今の段階で決めているわけではありません。私はクレープという商材が本当に好きなので、クレープを通じて、お客様やスタッフを含めた多くの人を笑顔にしたいと思っています。

大きな一つのブランドを一気に広げるというより、それぞれの街に合い、その街で求められるクレープ屋をつくっていけたらいいですね。

また、店舗で出来たてを食べるだけではなく、手土産や持ち帰り、卸など、もっといろいろな場面でクレープを楽しめる形も考えていきたいです。当社のクレープは美味しいと自信を持っているので、それをさまざまな場所へ広げていきたいと思っています。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。