「泳ぐ」から「考える」へ――一人ひとりの可能性を育むスイサポの水泳指導

スイサポ 代表 齋藤 謙虎氏

水泳の個人レッスンを軸に、大学水泳部でのトレーナー活動や、フィットネスクラブ・スイミングスクールとの連携など、多角的に事業を展開する「スイサポ」。単なる競技力の向上にとどまらず、お客様一人ひとりが自ら考え、成長できる力を育むことを大切にしながら指導を行っています。今回は代表の齋藤謙虎氏に、事業の強みや経営者として大切にしている価値観、そして今後の展望についてお話を伺いました。

一人ひとりの「できる」を引き出す、個別型の水泳指導

――現在の事業内容について教えてください。

現在は、BtoC向けの水泳個人レッスンを中心に展開しています。それに加えて、私自身が大学水泳部でトレーナーとして選手のコンディショニングや強化を担っているほか、大手フィットネスクラブやスイミングスクールでのコーチ業務や業務提携など、BtoBの取り組みも進めています。個人のお客様と法人の双方にアプローチし、それぞれの現場で得た知見を相互に活かせる点がスイサポの大きな強みです。

――他社にはない強みや理念についてお聞かせください。

水泳指導の業界では、元選手の競技実績や感覚に頼った「技術偏重」のサービスか、あるいは「楽しさや安心、自己肯定感」といった感情面ばかりを打ち出すサービスのどちらかに偏りがちです。

スイサポではそのどちらか一方に偏るのではなく、これらの両立を大切にしています。

理論面においては、私自身が大学水泳部の現場で培ってきたコンディショニングや強化の知見・実績をベースに、論理的で再現性のある指導プログラムを組織として構築しています。

一方で感情面においては、単にレッスン内で楽しませるにとどまらず、行政や地域を巻き込んだイベントの企画・運営などを通して、水泳という体験そのものの価値を高める取り組みを行っています。

「大学現場で通用する確かな理論」と「社会や地域に根ざした体験価値(感情訴求)」の双方を兼ね備えていることがスイサポの強みです。

また、私たちが最も大切にしているのは「お客様自身が自ら考え、情報を取捨選択して練習できるようになること」です。情報があふれる現代だからこそ、指示待ちになるのではなく、「今の自分に必要な課題は何か」を主体的に判断し、解決していく力を水泳を通じて身につけていただきたいと考えています。

コロナ禍を転機に見つめ直した、自分らしい働き方

――経営の道へ進まれたきっかけを教えてください。

大きな転機になったのはコロナ禍です。対面での現場や仕事が立ち行かなくなったことで、たまたまご縁のあった幼児体育のベンチャー企業へ飛び込みました。そこで初めて本格的な事業マーケティングに触れ、単に「現場で指導する」だけでなく「価値をどう届けて事業を伸ばすか」という経営的な視点を学んだことが、大きな転換期となりました。

その後、結婚して子どもが生まれたことも、自身の働き方を根本から見直す理由になりました。家族との時間を大切にしたい一方で、自分の可処分時間は独身時代の5分の2ほどに激減し、「圧倒的に時間が足りない」という現実に行き当たりました。

限られた時間の中で家族を支え、自らのキャリアも妥協せずに築いていくにはどうすればいいか――。

行き着いた答えが、個人の労働時間だけに頼るのではなく、ベンチャーで培ったマーケティングの知見を活かして事業を仕組み化することでした。そうして2024年より「スイサポ」としてチーム体制やWeb集客の基盤を整え、現在の組織的な事業モデルへとシフトさせてきました。

――経営で最も大切にしていることは何でしょうか。

自分自身が現場で下積みや試行錯誤を重ねてきたからこそ、「現場で頑張る指導者が正当に評価され、やりがいと対価を得られる環境を作りたい」という想いが強くあります。

また、お客様に対しても、スイサポのレッスンを通じて「できた」という成功体験を得て、自分自身の力で前に進む自信を掴んでいただきたい。関わるスタッフもお客様も、それぞれの可能性を最大限に発揮できる場を提供し続けることが、私の経営の軸になっています。

自分が苦労したからこそ、同じような思いをする人を少しでも減らしたいという気持ちが、経営の軸になっています。

コーチが力を発揮できる環境を、水泳業界に

――現在抱えている課題について教えてください。

一番の課題はリソース不足です。現在は個人事業として活動しているため、実績を積み重ねながら、どのように営業を進めて契約につなげていくかを模索しています。個人事業から次のステージへ進むための体制づくりについても、まだ試行錯誤を続けている段階です。

これまで法人営業を経験してこなかったこともあり、一人のフリーランスからどのように事業を発展させていくのか、今後の進め方を考えながら取り組んでいます。

――組織づくりや採用についてはどのように考えていますか。

今後成長していく上で、最も力を入れていきたいのは採用です。水泳業界では、正社員として働いていても待遇面を理由に退職したり、独立を選んだりする方が少なくありません。一方で、独立したあとも業務量に対して十分な報酬を得られず、苦労している方も多いのが現状です。

だからこそ、実力のあるコーチやトレーナーが正当に評価され、安心して力を発揮できる場をつくりたいと思っています。そうした人材が活躍できるようになれば、お客様へ提供できる価値も、さらに高めていけるのではないかと感じています。

人とサービスの可能性を広げる、次なる挑戦

――今後取り組んでいきたいことを教えてください。

将来的には法人化を進め、大手スイミングスクールやフィットネスクラブへ人材を派遣する事業を展開していきたいです。法人化については時期を決めているわけではなく、人材や事業の準備が整ったタイミングで進められればと思っています。

また、正社員として迎えたいと考えている人材もすでにおり、その方が動けるタイミングや、事業として形になってきた段階で、新たなステージへ進んでいきたいですね。

――新たな事業構想についてもお聞かせください。

今後はスポーツトレーナーの分野にも力を入れていきたいです。競技経験や専門スキルを持ちながらも集客に課題を抱えるトレーナーの方々と業務委託契約を結び、その方々と競技力向上を目指す方々をつなぐ仕組みをつくっていきたいですね。

あわせて、オンラインによるトレーニングコンテンツの販売にも取り組む予定です。対象はマスターズスイマーや大学・高校のアスリートで、競技力向上を目指す方々へコンテンツを提供していきます。

こうした取り組みを通じて、水泳に関わる人たちがより活躍できる環境を広げていければと思っています。

水泳と家族との時間が、次の一歩を支える

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

休日は体を動かすことが多く、水泳はもちろん、スポーツジムでトレーニングをすることもあります。水泳や運動は仕事だけでなく、普段の生活のなかにも自然と取り入れているものです。体を動かすことで気持ちを切り替える時間にもなっています。

また、娘と一緒に過ごす時間も、私にとって大切なリフレッシュの1つです。運動で心身を整えることと、家族との時間を過ごすこと。そのどちらも、私にとって欠かせない時間ですね。

こうした時間を大切にしながら、一人でも多くの方が水泳を通じて成長し、自分で考えながら前に進めるような環境をこれからもつくっていきたいですね。

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