転職を「人生の目的地」を考えるきっかけに――人とのつながりから広げる経営と、100人の社長輩出への挑戦
supernova合同会社 代表 草分 拓弥氏
supernova合同会社は、求職者一人ひとりの人生そのものに向き合う総合転職サービスを展開しています。求職者の約9割がリファラルによる紹介で集まっており、転職をゴールとするのではなく、「これからどこへ向かいたいのか」まで一緒に考えることを大切にしています。もともとお笑い芸人として活動し、人とのつながりを広げるなかで経営の道へ進んだ草分拓弥氏。現在の事業の特徴や経営で大切にしている価値観、組織づくり、そして今後の挑戦について伺いました。
目次
転職は「乗り物を変えること」――その先の目的地まで考える支援
――現在の事業内容について教えてください。
当社は総合転職サービスを展開しており、求職者の約9割がリファラルで集まっています。背景には、セレクトショップ(別法人)やイベントを通じて生まれたコミュニティがあります。
転職だけでなく、「これから人生をどうしていきたいのか」が定まっていない方も多いため、招待制の講演会などを通じて、その先の生き方まで考える機会をつくっています。
――一般的な転職サービスとの違いはどこにありますか。
転職は、旅行に例えると「乗り物を変えること」だと思っています。目的地が決まっていなければ、ただ乗り物を変えるだけになってしまいます。
だからこそ、転職して終わりではなく、その人がどこへ向かいたいのかまで支援しています。転職した方から新たな紹介につながることも多く、口コミで人の輪が広がっていることが当社の強みです。
お笑い芸人から経営者へ――原点にある「人とのつながり」
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
18歳から20歳まで、お笑い芸人として活動していました。当時、ライブ後にお客様と飲みに行き、「反省会」としてネタの感想を聞いていたんです。
そこから人の輪が広がり、経営者の方とも出会うようになりました。資本主義の仕組みなどを教えていただくなかで、「経営者になってみよう」と考えたことがきっかけです。
――社名の「supernova」には、どのような思いを込めていますか。
BUMP OF CHICKENの楽曲「supernova」から取っています。楽曲を通じて、今あるものの大切さや、失って初めて気づくありがたみを強く感じました。
身近な人や環境を当たり前と思わず、「今を大切にする」という思いを社名に込めています。
内にも外にも同じ顔で向き合う――経営判断の軸
――経営判断で大切にしている価値観は何でしょうか。
一番の判断基準は、今つながっている人たちが喜ぶかどうかです。それはお客様だけではなく、一緒に働く仲間、お取引先も含まれます。
経営を教えていただいた師匠のような方から、「外部顧客と内部顧客に同じ顔をしているか」と言われたことがあります。社外では感じが良いのに、社内では冷たいという状態では長続きしない。外側に見せる顔と内側に見せる顔を同じにすることは、今でも強く意識しています。
――仕事や経営を通じて成し遂げたいことはありますか。
自分の会社を大きくすることはもちろんですが、「社長を増やしたい」という思いがあります。過去に、私との出会いをきっかけに会社員を辞め、社長になった方から「出会えてよかった」と言っていただいたことがあり、その言葉は今でも心に残っています。
現在、私をきっかけに社長になった人は20人ほどいます。これを100人にしたいと思っています。従業員として抱え込むのではなく、独立したい人には独立できる余地をつくりたい。いつか「100人の法人社長」で集まり、何か面白いことができたらと考えています。
やりたい仕事は譲り、やりたくない仕事には価値をつける
――組織運営で意識していることを教えてください。
自分がやりたいことは、だいたい他の人もやりたいことだと思うので、人に譲るようにしています。一方で、自分がやりたくないことは、他の人もやりたくないことが多い。だからまず自分がやり、価値をつけて、やりたい人が現れたら譲ります。それがリーダーの役割ではないかと考えています。
コミュニケーションについては、8割くらいふざけているかもしれません(笑)。ただ、周囲には真面目に支えてくれるメンバーもいるので、バランスが取れていると思います。
――一緒に働きたいのはどのような人ですか。
仕事が好きな人ですね。また、組織では適材適所が大切だと思っています。苦手なことをずっとさせても、自信を失ってしまうだけです。それぞれが得意なことを発揮できる場所に配置することを意識しています。
現在の従業員は4人で、これまで求人を出したことはありません。今後も従業員を大きく増やすというより、業務委託など、多様な形で関わる人を増やしていきたいと考えています。
属人化を乗り越え、収入が上がる転職サービスへ
――今後の展望について教えてください。
人材事業では、「きちんと収入が上がっていく転職サービス」を目指しています。転職した方の収入を上げていくことを大切にしながら、来年は売上を1.25倍にすることを目標にしています。
一方で、現在の課題は属人化です。優秀なメンバーがいるからこそ、その人に仕事が偏ってしまい、「そのやり方を他の人も再現できるのか」という問題が出てきています。今後は、一人ができていることを仕組みに落とし込み、誰もができる状態にしていく必要があります。
そのために、「今できている人も最初からできたわけではない」ということを伝えながら、次のポジションを担う人たちを育てています。誰にでもできるようになる可能性があると理解してもらうことも、教育の一つだと考えています。
自分が学び続け、次の経営者を生み出す
――会社の成長に向けて、特に投資していることはありますか。
一番は自分自身への投資です。マネジメントやリーダーシップ、自分に一貫性があるかを見つめ直す研修などに参加し、年間で300万円ほど使っています。
日々の仕事では目の前の業務を優先しがちですが、会社の方向性やメンバーへの権限移譲、自分自身が模範になれているかを考えることも重要です。研修を通じて、会社や自分を広い視野で見直すようにしています。
また、読書も大きな自己投資です。高卒であることへのコンプレックスから、「大学に行っている人より本を読もう」と考え、多くの本を読んできました。読書によって特に変わったのは自分の言葉です。良い言葉に触れることで、思考も変わっていくと感じています。
経営では、過去の経験だけで人や物事を決めつけず、できる限りあるがままを見ることも大切にしています。自分自身が学び続けながら会社を成長させ、新しい経営者が生まれるきっかけもつくっていきたいです。