速く読むだけではなく、学びを成果につなげる――「即読」で心と時間にゆとりを生み出す
株式会社ManaBeラボ 代表取締役 浦地 純也氏
株式会社ManaBeラボは、本を短時間で読み、その要点をまとめてアウトプットする「速読」のコンテンツを、セミナーや動画などを通じて主に個人向けに提供しています。代表の浦地純也氏は、高校教師として多忙な日々を送る中で速読と出会い、自身の働き方が大きく変化した経験から、その価値をより多くの人に届けたいと経営の道へ進みました。現在は独自の速読法「GSR」の普及に加え、デジタル環境に対応した新たな速読の開発にも取り組んでいます。事業に込めた思いや経営で大切にしていること、今後の展望について伺いました。
目次
「読む」から「使う」までを重視する独自の速読法
――現在の事業内容と、その特徴について教えてください。
本を1冊10分で読み、要点をまとめてアウトプットする「速読」のコンテンツを、セミナーや動画という形で販売しています。主なお客様は個人の方で、法人向けはご依頼をいただいた際に対応しています。
従来の速読法は、速いスピードでインプットする感覚を得られても、その内容を誰かに伝えたり、仕事に応用したり、紙に書き出したりといったアウトプットまでつなげることが難しく、挫折する方も多かったんです。
私たちは、本を短時間で読むこと自体をゴールにはしていません。読んだ内容をビジネスや仕事に生かしてもらいたいという思いがあるので、読んだ後にアウトプットするところまでを特に重視しています。
――独自に開発された「GSR」とは、どのような手法なのでしょうか。
GSRは「ジェネラティブ・スピード・リーディング」のことで、読書や速読をするときの「集中状態」を重要視しています。
単に頭の中を空っぽにするのではなく、創造性やひらめきを発揮するための集中状態をつくり、その状態を速読に取り入れているんです。
以前、私が携わっていた速読では習得まで1〜2年ほどかかっていましたが、当社では6週間という期間で身につける形で提供しています。
高校教師から経営の道へ――原点にある「時間」の価値
――会社の理念には、どのような思いが込められていますか。
「心と時間にゆとりを持ち、本当にやりたいことに命を使う世界を作る」という理念を掲げています。
以前、高校教師として働いていた頃は、朝7時に学校へ行き、夜12時まで働き、土日も部活動があるような生活でした。その中でも本を読んで知識を得て、子どもたちの満足度を高めようと頑張っていましたが、忙しさによって心の余裕がなくなっていったんです。
そんなときに速読と出会い、1年間で残業時間を約1,400時間減らすことができました。生まれた時間を勉強やリフレッシュに使えるようになり、「時間にゆとりがあることで、こんなにも自由になれるんだ」と実感したんですね。時間に圧迫されて心の余裕を失っている方の役に立ちたい。それが今の理念につながっています。
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
教師時代に速読と出会い、自分自身に大きな変化があったことがきっかけです。私は物理の教員でしたが、物理を教えること以上に、人の成長に携わりたいという気持ちがありました。「自分にもこんなことができるんだ」と感じてもらえるような能力開発に関わりたかったんです。
経営者になりたいというより、自分が価値を感じた速読を広めたいという思いのほうが強かったですね。
理念を判断軸に、お客様のために10割まで詰める
――経営判断で大切にしている軸はありますか。
一番の基準は、自分たちの理念に合ったことができているかどうかです。事業や取り組みを判断するときも、「心と時間にゆとりを持ち、本当にやりたいことに命を使う世界を作る」という理念につながっているかを考えています。
また、お客様のためになることに対して妥協しないことも大切にしています。仕事をしていると「これぐらいでいいだろう」という気持ちはどうしても生まれるものですよね。そこで6割、7割で終えるのではなく、いかに10割まで詰められるか。その姿勢は譲りたくありません。
――仕事上のコミュニケーションで意識していることは何でしょうか。
講師としては、表面的な質問だけにとらわれないことを意識しています。たとえば「本を速く読むにはどうすればいいですか」と聞かれても、小説なのかビジネス書なのか、何のために読みたいのかによって答えは変わります。
その人が本当に何を求めているのか、どんな悩みを抱えているのか。本質的な部分まで聞いたうえでアドバイスすることを心がけています。
仕事をお願いする方とのコミュニケーションでは、感謝を伝えることも大事ですね。文章のやり取りでも「ありがとうございます」「よろしくお願いします」と一言添える。小さなことですが、そうした当たり前の言葉をきちんと伝えるようにしています。
デジタル速読の普及へ、学び方そのものを広げていく
――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
直近では、全国に約150店舗あるパソコン教室と連携し、「デジタル速読」の開発に取り組んでいます。本だけではなく、メールやWeb記事、PDFの企画書など、デジタル上の文章を速く読むためのものです。今後は企業も含めて展開し、さらに普及させていきたいと考えています。
また、今年からYouTubeも始めました。速読はまだ一部の人にしか知られていないものだと感じていますが、文章を読む機会は非常に多いですよね。動画で学ぶ場合にも、速読で培う要素には学習の質を高めるうえで役立つものがあると考えています。より多くの方にとって身近なものにしていきたいですね。
家族との時間を確保し、限られた時間で成果を出す
――休日はどのようにリフレッシュされていますか。
妻と6歳の息子と一緒に、自然に触れて過ごすことが多いですね。夏にはブルーベリー狩りや釣り堀へ行ったり、カブトムシを見に行ったりしています。家族で自然のある場所へ出かける時間が楽しく、リフレッシュにもなっています。
週に1回は確実に休みを取るようにしていて、旅行に行く時間もつくっています。起業して最初の5年ほどは非常に忙しく、そうした余裕はありませんでした。ただ、子どもが生まれてから意識して時間を空けるようにすると、むしろ生産性が上がり、会社の業績も良くなったんです。今は先に休みをスケジュールへ入れ、限られた時間の中でいかに仕事をするかを考えています。
――これから経営を始めたい方へ、メッセージをお願いします。
経営者や個人事業主になると自由になれるというイメージを持っている方もいると思います。実際、自分で選べるという意味では自由です。ただ、最初はマーケティングも営業もコンテンツ提供も自分でやる必要があり、「こんなにやることがあるんだ」と私自身も驚きました。
自由を得るためには、それだけの責任も必要になります。でも、その責任を引き受ける覚悟がある方にとって、経営はものすごく楽しく、生きがいにもなる仕事です。私もその道を歩んできた一人として、これから挑戦する皆さんと一緒に進んでいきたいですね。
心と時間にゆとりを持ち、本当にやりたいことに命を使える世界を目指して、これからも「速読」の可能性を広げていきます。