株式会社村山製材所 取締役 村山将人氏
滋賀県東近江市に拠点を構える村山製材所は、祖父の代から50年以上の歴史を持つ企業です。かつては製材業を中心に事業を展開していましたが、時代の変化に合わせて不動産や新築・リフォーム、空き家管理などへと領域を広げてきました。地域の課題に真摯に向き合い、住まいに関するあらゆる相談に応える存在として進化を続けています。今回は、同社の取締役である村山氏に、事業の歩みと未来への思いを伺いました。
目次
製材所から不動産・建築へ——時代に合わせた事業転換
――現在の事業内容と、その特徴について教えてください。
当社は祖父の代から製材業を営んできましたが、プレカット工法の普及により全国的に縮小しています。その中で私は2023年に家業へ戻り、不動産、新築・リフォーム、空き家管理の三本柱へと再編しました。土地探しから施工・引き渡しまでワンストップで対応し、リノベ不動産に加盟して中古物件のリノベーション提案にも力を入れています。
特に力を入れているのが空き家管理です。旧愛東エリアは人口減少で空き家が増えています。管理を入口に信頼を築き、売却や活用へとつなげ、地域に新しい価値を生み出したいと考えています。
家業を継ぐ決意と外部で培った10年の学び
――経営者になられた経緯や、家業を継ぐ決断をしたきっかけを教えてください。
幼い頃から製材所は身近な存在で、将来は継ぐものだと思っていました。ただ、製材業が厳しい状況となり、父の勧めで外部の工務店や建設会社で10年間修業しました。2023年に父が退く決断をした時、『ここで途絶えさせるのはもったいない』と感じ、これまでの経験を活かして再生に取り組みました。
――お客様との関わりで特に印象に残っていることはありますか。
新築はゼロからの期待値が高い一方、リフォームは長年の不便を解消する感動が大きい。お客様の『ありがとう』の質が異なり、そこにやりがいを感じます。
協力業者と築く信頼のネットワークと組織の未来
――現在の組織体制と、協力業者さんとの関わりについて教えてください。
現在は家族経営で、職人は協力業者さんに依頼しています。長年の付き合いがあるので安心して任せられますし、地域に対する思いも共有できています。将来は社員大工や設計士を雇い入れ、事業をさらに広げたいと考えています。
――協力業者さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。
難しいリフォームで細かな要望に応えてくれた大工さんに助けられたことがあります。お客様の感謝の言葉を皆で分かち合えた瞬間は、強い達成感を覚えました。
空き家を資産に変える地域貢献型の新たな挑戦
――今後の事業展開や挑戦したいことについてお聞かせください。
今後は、不動産事業の強化と空き家問題への取り組みを深めていきたいです。空き家を『負の遺産』ではなく『新しい資産』に変える提案を積極的に行いたい。地域イベントも継続し、住民の方々に事業を知っていただく機会を増やしています。
――業界の動向をどのように捉えていますか。
建設業界は人口減少や職人不足など課題が多いですが、リノベーション需要や空き家活用には大きな可能性があります。都会のやり方を真似するのではなく、この地域に合った独自のモデルを築き、やがて他の地域でも参考にされる存在になれれば嬉しいです。
ご縁と感謝を力に——次世代へつなぐ経営の想い
――経営において大切にしている価値観や信条について教えてください。
大切にしているのは『ご縁』です。お客様や協力業者さんとの出会いが今の会社を支えています。感謝を忘れずに日々取り組むことが何より大切だと思います。
――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。
プライベートでは子どもたちと過ごす時間が一番のリフレッシュです。スポーツを一緒に楽しんだり、イベントを手伝ってもらったりする中で、自然と家業に触れる機会も増えています。いつかこの経験が未来へとつながっていくと信じています。
私の目標は、村山製材所を『地域のお住まいのよろず相談所』としてさらに発展させ、愛東エリアに活気を取り戻すことです。これからも地域に根差し、次の世代に希望をつなげられるよう挑戦を続けていきたいと考えています。