自分の命を最後まで生かし切る――人の力を引き出し、人生と組織を花開かせる株式会社コンジーニアル
株式会社コンジーニアル 代表取締役 音村 真凛氏
株式会社コンジーニアルは、人財育成や創業支援、企業研修などを通じて、人が本来持つ力を発揮し、行動につなげるための支援を行っています。客室乗務員や看護師、看護師長を経て起業した音村真凛氏に、これまでの歩みや事業への想い、今後の展望について伺いました。
人が持つ力を引き出し、行動につなげる
――現在、特に力を入れて取り組まれている活動について教えてください。
現在、株式会社コンジーニアルでは、人財育成、創業支援、健康づくりを軸に活動しています。個人への起業支援やコーチングをはじめ、企業向けの接遇マナー研修、リーダー育成、会社顧問など、さまざまな形で人と組織に関わってきました。
大切にしているのは、知識を伝えて「分かった」で終わるのではなく、その人が一歩を踏み出し、自分の力を生かせるところまで支援することです。目指す場所へのルートや必要な行動を一緒に考え、人生や仕事を前へ進めるお手伝いをしたいと思っています。
また、会社の事業とは別に、所属する団体が無償で提供する学びの場で、私個人がボランティアとして運営全体の采配を担当しています。受講期限を設けず、第1期から第4期まで420名を超える女性達が学ばれています。
――その活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
私のもとには、いくつもの起業講座などで多額のお金や時間を使っても成果につながらず、経済的に困窮されている方々が相談に来られていました。
「本当に助けたい方ほど、こちらから手を差し伸べにくくなっている」と感じ、私にできることはないかと考えていたんです。
その頃、私が学ばせていただいている方に相談したところ、「僕が本当の商売について教えるから、困っている人を集めたらいい」と声をかけていただき、このプロジェクトが始まりました。
現在はビジネスだけでなく、お金、人間関係、仕事、人生全般について学べる場となっています。参加者から寄せられる質問を整理し、毎月のZoomなどを通して学べる環境を整えることが私の主な役割です。
客室乗務員、看護師を経て見つけた起業という道
――これまでのキャリアについて教えてください。
幼い頃から「自立した女性になりたい」という想いがあり、短大卒業後は航空会社に入社し、客室乗務員として5年間勤務しました。その後、「長く働き続けるために専門性を身につけたい」と看護学校へ進み、31歳で正看護師になりました。
看護師として働き始めてからも学びたい気持ちは強く、フルタイムで勤務しながら大学の経営学部へ3年次編入し、2年間で卒業しました。その後、看護師として経験を重ねるなかで、新たに開院するクリニックの看護師長として声をかけていただいたんです。
管理職もクリニックの立ち上げも初めての経験でしたが、内装業者探しから電子カルテの導入、スタッフ教育、周辺病院への挨拶まで、必要なことを考えながら一つずつ取り組みました。もともと、何かをやると決めたら夢中になるタイプなので、「どうしたら実現できるだろう」と考えながら動くことに、大きなやりがいを感じていました。
一方で、仕事にのめり込むあまり、食事や睡眠がおろそかになり、心身ともに限界を迎えてしまいました。志半ばで退職することになり、その後、社会復帰するまでには1年半ほどの休養が必要でした。
――起業を意識するようになったのは、その頃でしょうか。
はい。社会との関わりを断つ期間に、「人はなんで生きているんだろう」「私はこれからどう生きていけばいいんだろう」と考えました。
看護師として復帰後も、自分の力を存分に発揮するには、自分で人生を切り拓く道もあるのではないかと思うようになり、2019年にコーチングで起業しました。当初は看護師とのパラレルキャリアです。
かつての自分のように悶々としている方が、関わることで変化していく姿に大きな喜びを感じ、夢中になって取り組みました。
個別支援から実践講座へ。成果の先で感じた違和感
――起業後は、どのような形で事業を広げていったのでしょうか。
当初は個別契約が中心で、目標達成、恋愛、英語、起業支援など、その方の悩みや目標に合わせて支援していました。
転機となったのが、コロナ禍をきっかけにFacebookでの集客を本格的に学んだことです。一度の企画募集で340名以上が集まり、運営していたFacebookグループには600名を超える方々が参加してくださいました。
そこで、個別支援で培ってきた経験をもとに、SNS集客やセールス、ビジネスマインドなどを身につけていただき、3か月で成果につなげる実践型の講座を第0期から第10期まで開催しました。 受講生には高額商品を販売できるようになった方や、月商100万円を超える方もいました。
――第10期で講座を終了されたのはなぜですか。
皆さんが花開いていく姿を見ることが本当に嬉しく、夢中で取り組んでいました。しかし、頑張るほど売上が上がる一方で、自分の時間がなくなり、食事や睡眠を後回しにすることが増えていったんです。
そこで、「この働き方をクライアントにも同じように歩ませてしまっているのではないか」と感じました。
成果は大切ですが、時間や健康を犠牲にし続けていては、本当の意味で人生が豊かになったとは言えないのではないか。看護師としてさまざまな方の最期を見てきた経験もあり、「人を支援する」ことへの考え方が変わっていきました。
――現在の企業研修や人財育成の事業は、どのように始まったのでしょうか。
起業4年目に法人化し、経営者の方々とのご縁が増えました。その中で、経営塾で一緒に学んでいた医師から、クリニックでの接遇マナー研修やリーダー育成を依頼されたことがきっかけです。
CA時代の接遇やコミュニケーション、看護師としての医療現場での経験、管理職や起業後の個人支援。それまで別々に見えていた経験が、すべて「人が持つ力を引き出す」という現在の仕事につながりました。
――一緒に働く人に求めることはありますか。
仕事を始める理由は、生活やお金のためでもいいと思っています。ただ、働く中で「誰かに喜んでもらえた」「自分の仕事が役に立った」ということにも喜びを感じられる人と一緒に働きたいですね。
能力やスキルだけではなく、「目の前の相手のために何ができるだろう」と考えられる在り方を大切にしています。
――コミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
1つは、相手が言葉にしていないことまで汲み取ること。もう1つは、相手が心を開いてくださるような「在り方」で接することです。
客室乗務員や看護師として働く中で、困っていても自分から声をかけることには勇気が必要だと感じてきました。そのため、声をかけやすい雰囲気をつくり、言葉だけではなく、そのときの状況や本当に望んでいることまで捉えるようにしています。
相手の立場に立って少し先まで想像することを続けてきたことが、今の仕事にも生きていると思います。
AI時代だからこそ、人にしかできないことを大切に
――AIの活用については、どのように考えていますか。
現在、私自身もAIを学び、日々の業務や事業に取り入れています。
無償活動では、420名を超える方々から寄せられる質問や相談を読み、本当に聞きたいことを整理する作業に多くの時間がかかっていました。そこでAIを活用したところ、大幅に効率化できました。
ただ、AIそのものが目的ではありません。AIに任せられる仕事は任せることで、人は「人にしかできないこと」「本当に大切なこと」に、より多くの時間を使えると思っています。
相手の変化に気づき、気持ちを想像し、信頼関係を築く。その人の可能性を信じて背中を押す。AIが進化する時代だからこそ、こうした力はさらに大切になると考えています。
――今後、どのようなことに取り組んでいきたいですか。
これからは株式会社コンジーニアルとしての事業も、改めてしっかり育てていきたいと考えています。
これまで培ってきた人財育成、創業支援、企業研修、健康づくりにAIの活用も掛け合わせながら、「その人が持っている力を、どうすればもっと生かせるだろう」という視点で、個人や組織に関わっていきたいです。
大切にしているテーマの一つが「美しく生きる」ことです。見た目だけではなく、健康や人への配慮、言葉、自分に与えられた能力、そして命を何に使うのかまで含めたものだと考えています。
大きな成功や「いくら稼ぐ」といったことだけではなく、自分にできることで誰かの役に立ち、「ありがとう」と言ってもらえる。その経験が次の行動につながっていく。人財育成や創業支援を通じて、そんな循環を広げていくことが今の目標です。
成長と挑戦を止めない
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
習い始めて1年になるピアノです。弾き始めると何時間も続けてしまうほどハマっています。ストリートピアノで演奏し、通りかかった方の心が和らいだり、元気になったりする時間を届けることが目標の一つです。
ミュージカル鑑賞や自然に触れることも好きです。ボランティアで荒れたガーデンを蘇らせるお手伝いをした際には、大地からパワーをもらうような感覚があり、畑仕事にも興味を持つようになりました。
――最後に、読者の方へ伝えたいことをお願いします。
年齢や経済状況などを理由に、何かを諦める必要はないと思っています。ゆっくり過ごす人生も素敵です。せっかく今ここにある命の時間を、本当に大切にしたいものへ使い、最期のその瞬間まで美しく生き切ってほしいと思います。
私自身、仕事に夢中になりすぎて心身を壊したことも、起業後に自分の時間や健康を後回しにしたこともあります。だから、「できている人」として何かを教えたいわけではありません。私自身もこれから学び、迷い、挑戦する姿を見せていきたいです。
見た目だけではなく、心や在り方、健康、命の使い方まで含めて美しく生きる。「もう歳だから」「私なんてどうせ……」と可能性を閉じるのではなく、今日からできる1つを始めてみる。そんな人が1人でも増えたら嬉しいです。