遺伝子検査で一人ひとりの体質を知り、健康づくりとスポーツを支える
株式会社レイクビー 代表取締役 山根 翼氏
株式会社レイクビーは、遺伝子検査キットを開発・販売しています。ダイエットやスポーツなど、目的別の検査を全国のジムやサロンなどを通じて提供しているのが特徴です。代表の山根氏は、企業勤務を経て兄と起業し、事業売却後に健康分野へ転身しました。独自のスタイルで大手企業との差別化を図る山根氏に、創業時の苦労や経営方針、今後の展望を伺いました。
目次
目的に特化した遺伝子検査で、自分に合った健康づくりを支援
――現在の事業内容について教えてください。
当社のメイン事業は、遺伝子検査キットの開発・販売です。全国のジムや整骨院、エステサロン、スポーツチームなどに提供しています。生まれ持った体質の傾向を知り、日々の生活に活かしていただくための検査です。
特に人気があるのは、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関する傾向を調べるものであり、食事やダイエットの参考にしていただいています。
スポーツ分野では、短距離・長距離への適性、けがや疲労回復の傾向などを調べる検査が中心です。睡眠に特化した検査や、疾患のリスクに関する検査も一部扱っています。
――同業他社との違いや強みはどこにありますか。
がんなどの疾患リスクに関する遺伝子検査が注目されやすいなか、当社ではダイエット、スポーツ、睡眠などに特化した検査を用意しているのです。知りたいことに絞って調べられる点が強みだと考えています。
また、一般消費者向けのネット通販はほとんど行っていません。ジムやサロンなどの提携先でしか購入できない商品として販売しています。
施設側もお客様に提案しやすく、利益につなげやすい仕組みです。販売方法で大手企業との差別化を図り、現在は全国約1,000店舗に導入していただいています。
企業勤務から経営者へ、行動を重ねて切り開いた創業の道
――経営者になったきっかけを教えてください。
学生時代は陸上競技に取り組み、体やスポーツに関心がありました。ただ、起業は全く考えていなかったのです。
大学卒業後は企業に勤め、5年目ごろに兄から起業に誘われました。兄とともに、現在とは異なる業界で約2年半経営に携わり、その後、企業を売却したという経緯です。
経営では自分たちで考え、判断して行動します。成功したときの喜びは企業勤務とは段違いで、経営の面白さを実感したのです。次は自分の好きな分野に挑戦しようと考え、スポーツや健康への関心から遺伝子検査事業を始めました。
――創業当初、特に苦労したことは何ですか。
知識も営業先もない状態からのスタートでした。他社に話を聞き、半年ほど準備して検査を提供できる体制を整えたのです。
近隣のジムや整骨院に1件ずつ電話をかけ、DMも送り続けました。反応があれば滋賀県から東京や大阪まで会いに行くことも少なくありませんでした。こうして導入先が1店舗、2店舗と増え、10店舗ほどになってようやく売り上げが生まれました。
2020年1月に事業を始めましたが、約2か月後にはコロナ禍が始まったのです。取引先のジムが休業するなか、とにかく動き続けました。一方、PCR検査などで自分で検体を採ることが身近になり、遺伝子検査への抵抗感が下がったとも感じています。
――経営で大切にしている考え方はありますか。
経営では、失敗を恐れず、小さくても思いついたことを試すのが基本です。考えるだけでは需要があるのかわかりません。少しでも動けば、次に進むべきかが見えてきます。
遠い将来の大きな目標は、あえて決めすぎないようにしているのです。1つの目標に引っ張られると、それが正しいのか判断しづらくなります。目の前の課題や、そのとき興味を持ったことに集中したいですね。
固定費を抑えた柔軟な組織と、迅速な対応で築く信頼関係
――現在の組織体制について教えてください。
役員は私と兄、妻の3人です。従業員は雇わず、営業やデザインなどは業務委託の方にお願いしています。継続的に動いてくださる方は10人ほどです。
固定費が増えると、新しいことに挑戦しづらくなります。だからこそ支出を固定化させず、変動費を中心に運営する方針です。
――一緒に働く方々とのコミュニケーションで重視していることは何ですか。
LINEでの連絡には、基本的に数十秒で返信しています。顔を合わせる機会が少ないからこそ、すぐに返すことは重要だと思っているからです。
仮に答えが出ない場合でも、まずは何らかの返答をします。相手の安心感につながり、私の仕事への熱量も伝わると考えているため、取引先にも同じように対応しています。
健康経営とジュニアアスリート支援に向けた新たな挑戦
――今後、特に力を入れていきたい事業領域を教えてください。
力を入れたい分野は2つあります。1つは、企業の福利厚生や健康経営です。これまではジムやサロンなどを中心に展開してきました。これからは遺伝子検査への関心が薄い方にも届けていきたいと考えています。
一般企業向けの営業ノウハウはまだ十分ではありません。企業と接点を持つ事業者との連携を検討しています。
――スポーツ分野では、どのような展開を考えていますか。
もう1つは、ジュニアアスリートの分野です。ワールドカップ出場経験のあるサッカー選手やメジャーリーガー、陸上のトップ選手にも検査を受けていただいてきました。
これからは、世界で活躍したい子どもたちや保護者の方にも活用していただきたいです。遺伝的な体質の傾向が、食事や栄養、運動を考える1つの指標になります。
だからこそ、子どもの体が大きくなりにくいなど、悩む保護者の方に、この検査について知っていただきたいと思っています。
――事業の成長に向けて、現在もっとも重視していることは何ですか。
もっとも費用をかけているのは、検査キットの開発や検査精度、解析レポートの品質向上です。遺伝子は基本的に一生変わらないため、どの検査をどこで受けるかは重要な選択になります。
品質への投資は惜しまない方針です。一方、広告やブランディングへの投資は慎重に考えています。中途半端な投資では効果が出にくく、かけすぎれば経営のバランスを崩しかねないからです。必要なところに資金を使っていきたいですね。
毎朝のランニングで感じる、努力の積み重ねと健康の大切さ
――仕事以外では、どのような時間を大切にしていますか。
今も市民ランナーとして、ほぼ毎日走っています。朝5時から7時ごろが自分の時間で、昨年は365日のうち360日走りました。マラソン大会にも出場しています。
経営と違い、ランニングでは目標タイムや走行距離など、努力が数字で見えるんです。体は疲れますが、心が満たされ、リフレッシュできます。
――ランニングの経験は、現在の事業にも活かされていますか。
走っているからこそ、食事やトレーニングに関心が高まるのです。自分の遺伝的な体質を踏まえた取り組みを、お客様に具体的にお伝えできます。
ある意味、自分の体で試しているような感覚です。趣味のランニングと事業は、私のなかでつながっています。これからも健康やスポーツのパフォーマンス向上に役立つ検査を、より多くの方へ届けたいですね。