株式会社Cameen 代表取締役 西村 温裕氏
高校を卒業し、大学入学直前にその足でビジネスの世界に飛び込んだ西村温裕氏。2020年に創業したCameenは、ウェブコンサルティングから食のマッチングサービスまで幅広く事業を展開しています。
社名に込められた「人を温める」という想いと、「試す」ことを恐れない挑戦の精神。若き経営者が描く未来像と、その根底にある信念を伺いました。
人を「温める」事業を軸に広がる取り組み
――現在の事業内容と特徴についてお聞かせください。
現在は「スクール運営サポート事業」「Webコンサルティング」「オンライン大学受験塾」「食のマッチングサービス」の4つを展開しています。特に力を入れているのは前者2つで、セールスファネル構築やLP制作代行、自社AIツール開発など、集客から販売まで一気通貫で支援しています。
コロナ禍以降は、スポーツインストラクターや学習塾の先生などが動画コンテンツやオンライン講座を立ち上げる支援をしてきました。社名の由来である「暖炉」のようにお客様を温めること、そして「止まらず試す」という理念を根底に据えています。
高校卒業と同時に起業 挑戦の原点と地元農家への想い
――起業された経緯を教えてください。
父が経営に携わっていたこともあり、高校卒業時には「とにかく起業したい」と考えていました。最初は小さなオンライン事業から始めましたが、コロナ禍で販路を失った地元農家を見て「食のマッチングサービス」を構想し、法人化を決意しました。
――キャリアの中で印象に残る出来事はありますか。
高校卒業直後の1カ月間に、商品開発から販売の仕組みまでを7日間で作り上げた経験は忘れられません。徹夜続きでしたが、あの時に培った基盤が今に活きています。さらに、お客様のサポートを徹底したことで、事業全体が大きく好転した瞬間も印象に残っています。
顧客との信頼を築くために大切にしていること
――組織や顧客との関わりで大切にしていることは何ですか。
よく「即レスが重要」と言われますが、それ以上に「一度で本質的に理解すること」を重視しています。
相手の意図を正確に捉えた上で返答する方が、結果的に効率的で信頼関係を築けると考えています。単に「はい」と返すだけでは、後から確認や修正が必要になり、むしろ相手の時間を奪ってしまいます。一度のやり取りで本質に迫る姿勢こそが、顧客から「任せられる」と思っていただける最大のポイントです。
そのためにも、常に背景や目的を丁寧に読み解き、相手の立場に立ったコミュニケーションを意識しています。
AIを分身に育てる未来への挑戦
――今後の事業展開について教えてください。
無理に社員を増やすのではなく、AIを「社員レベル」にまで育成し、事業のパートナーとすることを目指しています。特にライティングやコンテンツ制作をAIに担わせることで生産性を高め、私は顧客サポートに集中します。
また、オンラインで培った知見を地元企業に還元し、将来的には海外展開も視野に入れています。AIはあくまで「包丁」であり、大切なのはそれをどう使いこなし、価値ある成果を届けるかです。人間ならではの言葉や世界観を加えることが、これからの時代の鍵になると思います。
経営を支える哲学とリフレッシュ方法
――経営の信条や影響を受けた人物はいますか。
阪急グループ創業者・小林一三氏からは「試行錯誤の精神」を学びました。また、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のジョルノ・ジョバァーナの強い精神力にも影響を受けています。どんな逆境でも折れない姿勢は、経営者としての私の指針です。
――リフレッシュ方法を教えてください。
散歩や無計画なドライブが好きです。兵庫から鹿児島まで15時間運転したこともあります。外に出て頭を空っぽにすることで、新しい発想や活力が湧いてきます。
――最後に、長期的なビジョンをお聞かせください。
私の夢は「生きている間ずっと会社を経営し続けること」です。技術や社会が大きく変化しても、挑戦を止めなければ未来は必ず拓けると信じています。人を温める事業を続けながら、次の世代に挑戦する勇気を伝えていくことが、私の経営者としての使命だと思っています。