株式会社インサイト37 代表取締役 森脇将太氏
日常の快適さを大きく左右する「匂い」と「肌触り」。これらを同時に解決する革新的な素材を開発し、アパレルや生活資材の分野に展開しているのが株式会社インサイト37です。森脇氏が目指すのは、利益追求だけではなく「愛を中心に据えた経営」。唯一無二の発明を武器に市場へ挑む姿勢と、今後のビジョンについて伺いました。
独自の発明で生活を豊かにする製品開発
――現在の事業内容と特徴を教えてください。
弊社には二つの柱があります。一つは、化粧品の保湿成分を繊維に練り込み、洗濯しても効果が持続する「キルビオ液」シリーズです。インナーに使うことで、美容液のような肌触りを実現し、乾燥対策に新たな価値を提供します。
もう一つは、便臭・生理臭・ワキ臭といった「三大不快臭」を消す素材の開発です。従来品では難しかった課題を克服し、学術的データに基づく世界トップレベルの性能を誇ります。
――どのような形で市場展開されていますか。
当初はBtoBを想定していましたが、特性を正しく伝える難しさから、まずはBtoC販売に注力しています。オンラインやSNSで使用者の声を集め、開発や営業に反映。将来的には、車椅子や自動車シート、医療用カーテンや寝具など、生活資材への展開も視野に入れています。
起業の背景と「愛を中心に据える」経営哲学
――起業の経緯を教えてください。
アパレル業界で長く働き、大量生産と価格競争の最前線を経験しました。世界中で工場を探し続けるうちに「この先に未来はない」と感じ、世の中にない価値を生む商材を模索し、独立を決意しました。
――大切にしている価値観は何でしょうか。
「愛をファーストに置くこと」です。利益だけを追求すると、人を出し抜く発想に陥りがちです。お客様が喜び、仲間と気持ちよく協働できる環境こそが事業を長く続ける力になると考えています。
――印象的な出来事を教えてください。
美容液未配合のインナー販売を中止した際、翌年に「この商品がないと冬を越せない」と30件以上の問い合わせが直接寄せられました。生活を支える実感を得た瞬間であり、今も経営の原動力になっています。
一人から始める組織とパートナーシップ
――現在の組織体制について教えてください。
社員はまだいません。カメラマンやライター、SNSコンテンツ制作などを業務委託で依頼しながら事業を進めています。人数は少なくても、理念や目的に共感し、一緒に広げたいと思ってくれる方と関わることを大切にしています。
――どのような人材と仕事をしたいですか。
実績だけでなく、オリジナリティを持ってアイデアを形にできる人です。私自身もファッション業界で「自分らしさ」を常に求められてきました。だからこそ、一緒に働く人にも自分のカラーを出し、積極的に意見を提案してくれる姿勢を求めています。
人となりを支える影響と趣味
――尊敬する人物を挙げるとすれば。
スティーブ・ジョブズです。存在しなかった製品を世に送り出し、同時にユーモアや人間味も失わなかった姿勢に共感しています。日本では孫正義氏にも学ぶところがありますが、やはり「ゼロから価値を創る」という点でジョブズからの影響が最も大きいです。
――プライベートの趣味について教えてください。
7年以上続けているのがヒップホップダンスです。週に2〜3回はスクールに通い、汗をかきながら音楽に身を任せています。うまさを競うよりも「楽しむ」ことが目的で、仲間と踊る時間は心を解放してくれる大切な時間です。体を動かすことでストレスがリセットされ、仕事に新しい発想を取り入れる柔軟さにもつながっています。ダンスから学んだ「リズム感」や「一歩踏み出す勇気」は、経営の姿勢とも共鳴しています。
市場拡大に向けた課題と展望
――今後の課題をどう見ていますか。
属しているコミュニティでは知名度が上がってきていますが、一般市場ではまだ認知が不足しています。その突破口になるのがSNS。特にショート動画は感覚的に価値を伝えられる手段として欠かせません。心に響く動画を継続的に発信し、ファン層を拡大していきたいと考えています。
――今後の展望をお聞かせください。
まずはBtoCのフィードバックを武器にBtoBへ展開し、病院・福祉・自動車といった分野へ広げたいです。ゆくゆくは「インサイト37の素材といえば匂いや乾燥の悩みを解決する」と認知されるブランドに育てたい。そして理念にある「愛を中心とした経営」を実践し、社会に役立つ循環型の事業モデルを築きたいと考えています。

