「ジャストフィット」で実装まで伴走する――会計×IT×英語で支える内部統制・内部監査の現場力
コントロールソリューションズ株式会社 代表取締役社長 佐々野 未知 氏
コントロールソリューションズ株式会社は、内部統制・コンプライアンス、内部監査・リスクマネジメント、会計アドバイザリー、ITソリューションを軸に、企業の成長を足元から支える支援を行っています。特徴的なのは、「スタンダード」を一律に当てはめるのではなく、企業の規模や人員、組織の実情に合わせて“実装できる内部統制”を一緒につくり上げていく姿勢です。今回の取材では、代表の佐々野氏に、事業の強み、コミュニケーションの考え方、組織づくり、そして今後の挑戦について伺いました。
目次
「スタンダード」を押し付けない。会社ごとに最適解をつくる内部統制支援
――御社の特徴ついて教えてください。
一言で言うと「ジャストフィット」です。内部統制の構築を大手のコンサルタントが進める場合、ある程度ひな形や指導内容が決まっていることが多いと思います。ただ、会社の事情によってやり方は全然変わってきます。例えば100人いる会社と20人の会社では違いますし、同じ20人でもメンバーの特性によっても違う。
本来、内部統制は人に依存しない形が理想ですが、実際には「誰がやるか」でリスクは変わります。ミスが多い人であれば、より丁寧にチェックが必要ですし、ミスが少ない人であれば、全部任せきりにはできないけれど軽めでもいい。その“程度”も含めて、会社ごとに組み立て方を工夫しないといけません。
だから私たちは「上場会社のスタンダードだから、これを渡して終わり」にはしません。スタンダードは理解しつつ、「あなたの会社ならこうかもしれません」と意見交換をしながら、どこを残し、どこを変えるかを決めていく。専門用語で言えば、内部統制を“実装レベル”までお付き合いしている、クライアントと並走している、ということです。
――現場レベルでの支援も多いのでしょうか。
そうですね。マネジメント層からすると見えにくい部分もあるかもしれませんが、内部統制を実際に回す各プロセスの責任者の方々と一緒に、実装を考えます。やってみて「うまくいかないから変えたい」となれば、そこも相談に乗って見直す。会社が“実装できる”状態になるまでサポートしていくのが、当社の強みだと思っています。
監査法人の「言いたいこと」を翻訳する。会計×IT×英語の組み合わせ
――同業他社と比べたときの「強み」はどこにありますか。
伴走すること以外にも、「会計」と「IT」と「英語」の3つをカバーできる点です。この3つのどれかで引っかかる会社は多いと思います。
例えば、親会社から英語で要請が来ているけれど対応できない。内部統制の中でITの領域に対応したいのに社内にIT人材がいない。会計も同じで、社内に十分な人材がいない。そうした悩みを持つクライアントに対して、3分野の組み合わせで支援できるのが強みです。
また、監査法人出身者もいるので、「監査法人側としては本当はこう言いたいんだけど、会社の人には伝わっていない」という場面が分かります。会社側が言われたことを額面どおりに受け止めてしまうケースがあるんです。
そこで‟通訳”が重要になってきます。「こう言っているけど、こう対応すれば向こうも納得しますよ」とか、会社側の理解がズレていれば「それをやってくれと言っているわけではなく、こういう意図なんです」と整理する。そうした細かなサポートも含めて、現場を前に進めています。
“できると言う人”と“話さない人”。現場とのコミュニケーションで気をつけること
――クライアントとのコミュニケーションで重視していることはありますか。
外部の専門家という立場なので、現場の反応は本当にいろいろです。大きく言うとタイプが2つあって、タイプ1は「こうしてください」と言うと、できるかできないか考えずに「やります」と答える人。このタイプは多いですけど、こちらとしては本当にできるのか注意しています。
タイプ2は、警戒して話してくれない人です。「これを言うと自分の評価が下がる」と心配して、情報を出さない方もいます。その場合は、話しても不利益になることは絶対にない、ということを何らかの形で伝えて、信頼してもらう必要があります。
――マネジメント層への報告の仕方にも工夫があるのでしょうか。
そこも気をつけています。現場の人がやれていなかった、誰々ができなかった、という個人攻撃にならないようにしています。会社は成長過程で、最初はできていないことが多い。だからこそ私たちが存在していて、少しずつできるようになるためのサポートをしています。
「一緒に会社の成長を目指していきましょう」というメッセージを伝えることを大事にしています。
「目的」と「完成物」をセットで伝える。組織を迷走させない任せ方
――社員のモチベーションを高めるために、取り組んでいることはありますか。
本人のできることをよく見て、その一歩先の仕事を与えることが必要だと思っています。新しいこと、できていないことができるようになっていけば成長できるので、そういった機会を与えることを意識しています。
――社内コミュニケーションで特に重視していることは何でしょうか。
この仕事はコミュニケーションが全てです。こちらはこういうつもりで言ったのに、相手には違うつもりで受け取られている、ということはよくあります。なので、齟齬をクリアにすることには、いつも気をつけています。
――印象に残っている、社員とのエピソードを教えてください。
気をつけていても齟齬は常に存在します。だから私は「完成させるべきもの」と「それをやる目的」を必ず伝えるようにしています。まず、何のためにこの作業をやるのか。目的がわかっていないと迷走します。
そして、完成物が見えていないと、みんな迷うんです。何を作ったらいいのか。例えばエクセルファイルなら「ここにこういう情報を入れていく」といったようなところまで細かく伝えます。
最近も、内部監査のプログラムとチェックリストを作るプロジェクトが進んでいたのですが、チームの意思が統一できていない気がして、メンバーを集めて「どんなものを作ろうとしているのか」「どんな成果物ができるのか」提出してもらいました。すると、チーム内の2人が見ている方向が違っていて、違うものを作っていた。
そこで「監査プログラムはこういう目的で作るから、こういうことが書かれていなきゃいけない」「チェックリストはこういう目的だから、こういうことが必要」と整理して、参考にすべき資料も示して見直してもらいました。期日が来て出来上がったものを見て、修正が必要な状態になる前に気づけてよかったと思います。もちろん、途中で気づいて言うのでは遅いのですが、プロジェクトごとに指摘して、気づいてもらう“トレーニング”を重ねています。
形式的な内部統制ではなく、実効性で会社を伸ばす。業界の底上げへの想い
――仕事をする上での夢や目標を教えてください。
内部統制の制度が始まって、もう18年くらいになります。当時は「内部統制」という言葉自体を誰も知らなかったけど、今は認知されて、会社の中に部署ができるなど業界自体は育ってきました。
ただ、まだまだ各社がバラバラにやっていて、内部監査やJ-SOX(内部統制報告制度)自体の底上げができていないと感じています。形式的なチェックに終わってしまっているため、もっと実効性がある内部監査・内部統制が会社の中で機能するようにしていきたいんです。
ダブルチェックしましたよ、という“アリバイ作り”では意味がありません。中身を見て「間違えている」と指摘できるようにならないといけないし、もし無駄なことならやめればいい。必要のない内部統制は要りません。
実効性があるものを企業の中に構築していくことが、会社の成長や利益につながると思っています。そのためには、誰かがチェックして、「形ばっかりで中身を見ていないですよね」と言ってあげなきゃいけない。「このチェックはもういらない」「ここは不足しているからもっと必要だ」と、ちゃんと言ってあげる。それが内部監査部門に求められているのに、まだできていないと感じます。だからこそ業界の底上げをして、会社の成長を実現していきたいです。
リフレッシュはボイトレとライブ。家庭では受験サポートにも向き合う
――プライベートの趣味やリフレッシュ方法はありますか。
仕事の合間にボイストレーニングに通っていて、年に1、2回ライブに出ています。ジャンルはJポップで、皆さんが知っているような流行った歌を歌う感じです。「愛を込めて花束を」とか歌うのが大好きです。自分の声の限界や、良い音を出せるように、頑張っています。
あと子どもがいて、高校受験と大学受験を控えています。子どもをサポートして、自分の趣味を最大限やる、という感じですね。
いま強く取り組むのは「シニア層の活用」と「AIの活用」
――最後に、特に伝えておきたい取り組みがあれば教えてください。
大きく2つ取り組んでいます。1つはシニア層の活用です。シニアの方に、今までの経験をもっと生かして活躍していただきたい。まだ試験的な取り組みでもあるので、これからどれぐらい進めていけるかは課題もありますが、強く取り組んでいます。
もう1つはAIの活用です。内部監査を人間が目で見てやっているのは、時代遅れになっていきます。AIを入れて、いかに効率的に問題を見つけるかを考えていかなきゃいけない。コンサルの仕事も、なくなるものは出てくるかもしれないけど、新しい仕事、新しいアドバイスも生まれてきます。AIを活用することで、クライアントがもっと伸びる。例えば、安いコストで実現できるようになる。そこを推進したいと思っています。