人生に寄り添うプライベート治療という選択――ACUが大切にする「聴力」の考え方
鍼灸・マッサージ治療院ACU 代表 吉田 康治氏
鍼灸・マッサージ治療院ACUは、プライベート性を重視した治療スタイルを軸に、一人ひとりの人生や日常に深く向き合う治療院です。開業から11年目を迎え、昨年10月には同じマンション内でフロアを移し、より広い空間へと移転しました。量をこなす流れ作業ではなく、「その人をとことん見る」ことを大切にする姿勢は、開業当初から変わっていません。本記事では、代表の吉田康治氏に、事業への想いやこれまでの歩み、今後の展望について伺いました。
目次
人生の話から始まる治療というかたち
――現在取り組まれている事業内容や特徴について教えてください。
うちの治療院は、完全にパーソナルというか、プライベートなサービスを基本にしています。来てくださる方は、健康意識が高く、ご自身で調べて選んで来られる方が多いですね。その分、リピートして通っていただけるケースが多いと感じています。
治療の場では、身体の話だけではなく、普段の生活や人生の話をよくします。その中で、その人の今の状態に合った身体の整え方を一緒に考えていく。イメージとしては、「家に遊びに来てもらう」ような感覚に近いかもしれません。
――事業を始められた当初の想いについても教えてください。
19歳のとき、立命館大学の公務研究科で選手をしていました。ただ、自分は選手として突出して強いわけではなく、このチームで別の形で貢献できないかと考えたんです。そこで、当時はまだ珍しかった学生トレーナーとして関わり始めました。
怪我をせずにチャレンジできた、結果はどうであれ挑戦の場に立てた、そういう瞬間を支えることにやりがいを感じ、自分の居場所を見出した感覚がありました。そこから鍼灸・マッサージの資格を取得し、治療の道に進みました。
勤務していた治療院では、どうしても流れ作業的になり、一人ひとりを十分に見られていないと感じることが多かったですね。だからこそ、いずれはマンションの一室で、遊びに来るような感覚で通ってもらえる場所をつくりたいと思っていました。
経営というより「自分の責任で選ぶ」働き方
――経営の道に進まれた背景を教えてください。
経営といっても個人事業主なので、大きなことをしている意識はありません。ただ、自分の責任で、自分のやりたいことを仕事として選べるのは大きいですね。
会社に属していると、どうしても落としどころを考えなければならない場面があります。自分でやれば、その判断をすべて自分で引き受けられる。それに、やりたいことを仕事にできるから「自分の判断で完結できる自己責任感」という感覚もあります。
――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。
まずは戦略を優先することと、「これは自分でないといけない仕事かどうか」を常に考えています。例えば、毎日通院が必要なケースであれば、保険診療の接骨院のほうが適している場合もあります。その場合は、その方の最善の治療院をご紹介する場合もあります。
治療院、講師業、トレーナー業の三本柱で活動していますが、共通しているのは「ここは自分でなければ見られないか」という視点です。その人にとって本当に必要な役割を選ぶことを大切にしています。
プロ野球選手との経験が広げた視野
――これまでのキャリアでターニングポイントになった出来事はありますか。
プロ野球選手との15年間の関わりですね。広島東洋カープで現在コーチをされている方の自主トレーニングを長く見てきました。
当時の自分は治療が専門で、トレーニングは正直苦手でした。それでも「全部見られるようになれ」と言われ、治療だけでなくトレーニングやコンディショニングも担うようになりました。プロの自主トレに一般人が一緒に参加するようなものですから、体力的にも相当きつかったです。
ただ、その経験があったからこそ、今は治療もトレーニングも教えられる立場になりました。専門に特化する人が多い中で、全体をバランスよく武器にできる形ができたのは、20代後半の大きな転機だったと思います。
人と向き合う姿勢と、これからの組織像
――組織運営や人との関わりについては、どのように考えていますか。
現在は基本的に一人でやっています。うちに来られる方は「吉田さんに診てもらいたい」という方が多いので、単純に分院をつくって振り分ける、ということは難しいですね。ただ、育成は行っているので、その人たちが働く場として関われる形は、今後考えていかなければならないと思っています。
「ACU」という名前には「聴力」、つまり、「しっかり聴く力」という意味を込めています。クライアントに対しても、一緒に働く人に対しても、本当に求めているものを聞き出し、応える。その姿勢に幸せを感じるので、共に成長できる関係性は大切にしたいですね。
発信への挑戦と、力を抜くという課題
――今後の展望や新しい挑戦について教えてください。
具体的な計画ももちろんですが、チャレンジし続けること自体を大切にしています。昨年はプロ野球球団のキャンプに関わる可能性もあり、最終的には実現しませんでしたが、挑戦してよかったと感じています。
その中で気づいたのが、自分はアピールや発信が苦手だということです。だから今年の2月からYouTubeを始め、動画の撮影や編集にも取り組んでいます。知ってもらうことで、誰かが幸せになる可能性があるなら、自分も挑戦すべきだと思いました。
――現在向き合っている課題は何でしょうか。
課題は「効率化」ですね。こだわりすぎて、撮影も編集も時間がかかってしまう。納得いかないと最初から撮り直してしまうんです。
これからは、頑張りすぎず、さぼりすぎず、ちょうどいいバランスを取ることがテーマです。年齢的にも、「ちょうど良いあり方」を意識していきたいですね。
遊びの中にも学びを見つける
――最後にリフレッシュ方法について教えてください。
ゴルフです。ゴルフって、人間性がすごく出るんですよね。力んだり、本番で緊張したり、仕事と同じだなと感じます。
イベントとしても開催していて、みんなでワイワイ楽しむ時間が好きです。個人事業主なので、仕事と休みの境界はあまりなく、仕事で出会った人とプライベートを共有し、その逆もあります。すべてをひっくるめて楽しむことが、今の自分のスタイルですね。
一人ひとりの声に耳を澄まし、身体だけでなく人生そのものに向き合う――そんな姿勢を大切にしながら、自分らしい聴力でこれからも人と関わり続けていきたいと思います。
鍼灸・マッサージ治療院ACU
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