揺れを“見える化”する技術で、安心を当たり前に――微動探査に挑むBe-Doの経営道

株式会社Be-Do 代表取締役社長 戸成大地氏

住宅にとって「地盤」や「耐震性能」は、安心して暮らすための根幹とも言える要素です。しかし、それらがどの程度安全なのかを、住まい手が実感をもって理解できる機会は決して多くありません。株式会社Be-Doは、そうした課題に対し「微動探査」という技術を軸に、地盤や建物の揺れに関する情報を数値で可視化する取り組みを行っています。

本記事では、代表の戸成大地氏に、事業への想いや創業の背景、経営者としての価値観について伺いました。

微動探査というニッチな技術で、住宅の安心を支える

――現在取り組まれている事業内容や、その特徴について教えてください。

弊社は「微動探査」という技術を中心に、技術の普及や開発を行っている会社です。かなりニッチな分野ではあるのですが、住宅に特化した調査として、地盤が地震時にどれくらい揺れやすいのか、交通振動などの影響を受けやすい土地なのかといった、揺れに関する専門的な情報を取得できます。

また、同じ技術を用いて建物そのものを計測することも可能です。戸建て住宅では「耐震性の高い家を建てます」と計画されても、実際に完成した建物がどの程度の性能を発揮しているのかを、実測で確認する手段はほとんどありませんでした。断熱や気密については数値で確認できますが、耐震についてはそうではありません。

微動探査を使えば、完成した建物の揺れの特性を計測できます。建てた直後の状態は、人で言えば健康状態が最も良いときの数値です。その基準を取っておくことで、大きな地震の後や経年劣化が進んだ際に、どれくらい性能が変化したのかを比較できます。人間の健康診断のような役割を、建物にも持たせたいという考えですね。

東日本大震災で感じた疑問が、事業の原点に

――この事業を始められた背景や想いについて教えてください。

私が20歳の頃に東日本大震災がありました。当時、千葉県浦安市に住んでいたのですが、液状化の被害が非常に大きかった地域です。同じ地域でも被害の大きい場所とそうでない場所があり、住宅ごとに沈み方、傾き方もまったく違いました。

「なぜこんな差が出るんだろう」という疑問をずっと持っていた中で、いろいろな経験を経て、この微動探査という技術に出会いました。そのときに、当時感じていた疑問がすべて腑に落ちた感覚がありました。

もともと、人の役に立つことをしたいという思いがありましたし、地震や振動によって悲しむ人を減らしたいという気持ちも強かった。微動探査は、それを実現できる技術だと感じ、この分野に取り組むようになりました。

補足すると、この技術自体は国の研究機関である防災科学技術研究所が開発したものです。それを民間にも広げていこうという流れの中で、弊社もその一端を担い、技術の普及に取り組んでいます。

「必須ではない」からこそ、価値を届ける意味がある

――経営の道に進まれたきっかけや、判断の軸について教えてください。

この技術は、住宅を建てるうえで「必ず必要」と言われているものではありません。食事や水、トイレのように、なくてはならない存在ではないからこそ、その必要性を理解してもらうのは簡単ではありません。

住宅業界は新しいものがなかなか入りにくい世界でもあります。その中で、この調査の価値を伝え、使ってもらい、少しずつ広げていく。その積み重ねの先に、最終的には住宅を建てる際に当たり前の調査、将来的には法制度として必須になるような世界を目指しています。

判断の軸として大きいのは、実際に利用してくださった方々からの感謝の声です。どこに相談すればいいかわからなかった、話を聞いてくれる先がなかった、そういう方が弊社にたどり着いてくれて、「やってよかった」と言ってもらえる。その声があるからこそ、続けられています。

収入ゼロからの挑戦、続けると決めたことが転機

――これまでのキャリアで、ターニングポイントだと感じる出来事はありますか。

もともと野球をずっとやっていて、住宅業界とはまったく違う世界にいました。正直、住宅業界にはあまり良いイメージを持っていなかった時期もあります。

ただ、不思議な縁でこの分野に関わることになり、「大地」という自分の名前が、地盤や土地を扱う仕事と重なったときに、導かれているような感覚を持ちました。

微動探査を事業としてやるか、やらないか。必須ではない分野だからこそ、やらない選択の方が一般的だったと思います。それでも「これは絶対に人の役に立つ」「いずれ当たり前になる」と信じて始めました。

最初は収入もなく、アルバイトをしながら生活費を稼いで続けていました。続けることは正直つらいことの方が多かったですが、それでも「続ける」と決めた判断が、今振り返ると一番のターニングポイントだったと思います。

小さな組織だからこそ、伝え方を磨く

――組織運営や社員との関わりで意識していることは何でしょうか。

現在、従業員は1名で、私を含めて2名の会社です。人数が少ないからこそ、コミュニケーションはとても重要だと感じています。

以前は、思っていることを遠回しに伝えてしまい、結果として伝わらないことも多くありました。ただ、経営者である以上、はっきり言うべきことは言わなければならないと考えるようになり、伝え方を変えました。

指摘をするのは簡単ですが、それだけでは成長につながりません。今は「どこを見直したらいいと思う?」と問いかけ、自分で気づいてもらうことを大切にしています。自分で発見し、修正するプロセスを通じて、少しずつ成長してもらえればと考えています。

――今後の採用や育成で大切にしたいポイントはありますか。

一番は「思い」があることですね。必ずしも今の事業と完全に一致していなくても、人のために何かしたいという気持ちを持っている方であれば、一緒に働きたいと思います。

自分のためだけでなく、誰かの役に立ちたいという意志がある人とは、同じ方向を向いて進めると感じています。

批判を恐れず、まず行動する姿勢

――尊敬している人物像や、影響を受けた考え方について教えてください。

新しいことを始めると、必ず否定的な意見や批判が出てきます。特に住宅業界では、その傾向が強いと感じます。

私が尊敬する人たちに共通しているのは、そうした声を気にしすぎず、前向きに捉え、とにかく行動に移す点です。言うのは簡単ですが、やってみるには勇気がいる。それでもまずやってみて、ダメならやめればいい、続けられるなら続ければいい。その姿勢が大切だと思っています。

自然や生き物との時間が、心を整える

――お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。

たまに草野球をしたり、海を見に行ったりします。今は海の近くに住んでいるので、ぼーっと海を眺めるだけでも気持ちが落ち着きますね。

あとは動物と触れ合うことも大切にしています。犬や猫など、生き物や子どもと接する時間は、自然と気持ちがリフレッシュされます。

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