ほめる力を組織の推進力に――「ほめ育」で現場を輝かせる原邦雄の挑戦

株式会社スパイラルアップ 代表 原 邦雄氏

マネジメントと教育、二つの領域を横断しながら「ほめて育てる」という軸で事業を展開する株式会社スパイラルアップ。企業研修にとどまらず、映像教材・紙教材・eラーニングの開発、さらには海外大学での必須科目化まで活動の幅を広げています。今回は、代表の原邦雄氏に「ほめ育」に込めた思想と、世界を見据えたビジョンについて伺いました。

マネジメントと教育を変える「ほめ育」

――まず、御社の事業内容について教えてください。

事業は大きく二つです。ひとつは企業マネジメントへの「ほめ育」の導入、もうひとつは教育現場への導入です。対象は3店舗の飲食店から50万人規模の組織まで幅広く、海外ではインドの大学で1万人規模の学生を対象に展開しています。

――研修が中心なのでしょうか。

研修だけではありません。映像教材や紙教材、eラーニングなどを通じて、学びを継続できる仕組みにしています。単発で終わらせず、企業や学校の中に根づく形で導入することを大切にしています。

――「ほめ育」とは、どのようなメソッドですか。

叱らない教育でも、甘やかす教育でもありません。強みを見つけ、引き出し、人格と業績を同時に伸ばす体系です。ほめることを感情論で終わらせず、再現性のある仕組みにしています。

――海外でも研修や教育導入を進めているのですか。

 はい。英語で授業したり、eラーニングを活用したりしています。インド全土の大学のほうに導入が進んでいくような形もあり、そうした展開も含めて取り組んでいます。

「ほめて育てる」に特化する強み

――研修会社は多い中で、御社の強みはどこにありますか。

「ほめて育てる」ことに特化している点です。そこに集中しています。日本人はほめるのが苦手だと言われます。だからこそ理論化し、仕組みにし、結果で証明する必要がありました。

――事業は研修だけでなく、教材提供も含むとのことでした。

 研修に限らず、映像教材や紙の教材など、学びを継続できる形にして届けています。導入する側の状況に合わせて、学び方の選択肢を用意しているイメージです。

――海外展開もされていますね。

独立後すぐにアメリカへ渡り、会社を設立しました。挑戦し、失敗も経験しましたが、数字で結果を出すことで信用を得てきました。

「ほめる」は感情論ではありません。経営戦略です。日本のチーム力や協力文化、現場力を“世界基準”に押し上げる挑戦でもありました。

コンサルを辞め、現場に住み込んだ4年間

――原さんの原点について教えてください。

船井総研に在籍していた頃、全国を飛び回っていました。しかし、月1回の訪問と、毎日現場に立つスタッフとの間に距離を感じていました。本当に現場を理解できているのかと自問したのです。

――そこで大きな決断をされたのですね。

はい。コンサルを辞め、ラーメンチェーンにサラリーマンとして転職し、4年間住み込みで働きました。体験ではなく生活として現場を見たのです。10数店舗を回り、経営者目線と現場目線の両方を体感しました。その中から生まれたのが「ほめ育」です。机上の空論ではなく、現場で生きる教育体系です。

社員ゼロの組織、その狙いは現場還元

――現在の組織体制について教えてください。

社員はゼロで、約50名のほめ育コンサルタントはすべて業務委託です。

――珍しい形ですね。

本丸は、企業の中に「ほめ育事業部」をつくることにあります。コンサル会社だけが利益を上げる構造ではなく、現場が利益を生み、現場の給与が上がる仕組みをつくりたいと考えています。

粗利8〜9割の研修事業部を企業内に構築し、助成金も活用しながら高収益モデルを形成しています。結果が出なければ意味がありません。現場が潤わなければ意味がないのです。

――提携も進めていると伺いました。

金融機関、地銀、生命保険会社などと業務提携を進めています。信頼を積み重ね、クライアントの決算書が明らかにプラスになっている実績があるので、紹介が広がっていく流れがあります。

売上よりも「質」を落とさない

――今後の展望についてお聞かせください。

創業は2011年5月2日で、現在ほめ育グループ全体で約10億規模になっています。ただ、急激な成長は求めていません。1%ずつでもいいので、質を落とさず成長していきたいと考えています。

ライセンスモデルへ移行し、世界各国へ展開しています。目指すのは必須科目化です。卒業には「ほめ育」を履修していることが必要になる世界を実現したいと思っています。

――現在の課題はどこにありますか。

課題というより希望ですが、クライアントの悩みをもっと解消したいです。育成や採用、生産性向上などの悩みに向き合い、現場の給料を上げたい。現場で働くすべての人を輝かすのがミッションなので、笑顔や労働条件、労働環境が良くなる会社を増やしていきたいですね。

原体験が生んだ使命

――「ほめること」を事業にしようと思った原体験はありますか。

幼少期はほめられて育ちましたが、社会に出ると厳しい現実がありました。転職先で「信用できない」と言われ、半年間頭痛が止まらず、社会から離れたこともあります。

周囲の支えで復帰できましたが、復帰できない人もいます。会社の中でマイナスのスパイラルに入ってしまう人もいます。

だからこそ、ほめることが必要だと考えました。ほめられた人が変わり、ほめた上司も変わり、組織の空気が変わる。その循環を一人でも増やしたいと思っています。それが使命であり、「恩送り」だと感じています。

体力も経営力の一部

――お休みの日はどのように過ごされていますか。

趣味はトライアスロンとピアノです。年4回トライアスロンの大会に出て、ピアノも年1回発表会に出ます。

――かなり本格的ですね。

体力も精神力も鍛え続けています。経営も教育も持久戦ですから、体力は仕事の土台だと考えています。

究極のビジョン

――最後に、御社が掲げるビジョンを教えてください。

地球上すべての国に、すべての企業に、すべての教育機関に「ほめ育」が方針として入ることです。ありがとうが増える会社、生き生き働く社員、利益と笑顔が同時に伸びる組織のしていきたいです。

人は、ほめ合うために存在していると私は信じています。その思想を理論にし、仕組みにし、世界に届けていきたいと思っています。これからも挑戦は、続いていきます。

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