体質の悩みから生まれた一杯を、街の魅力とともに届ける。谷中クラフトコーラが描く次の挑戦

谷中クラフトコーラ株式会社 代表取締役 大竹 明彦 氏

代表自身の体質の悩みをきっかけに生まれた谷中クラフトコーラ。スパイスを取り入れたいという個人的な動機から始まったクラフトコーラづくりは、やがて「谷中」という街への愛着、谷中生姜という地域食材との出会いと重なり、事業へと発展しました。今回は、「クラフトコーラづくり」という事業の原点や経営者になった背景、今後の展望まで伺いました。

体質の悩みから始まった、谷中発のクラフトコーラ

——今の事業は、どんな思いで始められたのでしょうか。

最初から事業としてスタートしたわけではなく、クラフトコーラづくりを趣味としていたことがきっかけです。

クラフトコーラを作ることになったきっかけは、自分の体質の悩みでした。もともと、かなり汗かきの体質で、それをどうにか改善したいと思っていたんです。

調べていく中で、スパイスの摂取によって体調を整えるのに役立つ可能性があることを知り、生活の中にスパイスを取り入れたいと思い立ちました。

冷たいものでスパイスを取りたいと考えていたところ、クラフトコーラの存在を知ってつくり始めたんです。

——「谷中クラフトコーラ」という名前には、どのような意味がありますか。

谷中という土地に強い愛着があるため、製品名として入れています。大人になってから住み始めた街ですが、のどかな雰囲気や、少し昭和を感じる空気に惹かれました。加えて、この地域には谷中生姜という野菜があり、東京産のものはかなり希少になっています。

この谷中生姜には、夏の暑さをしのぐものとして親しまれてきた歴史があり、自分のクラフトコーラづくりのルーツとも重なる部分があると感じました。そこで、谷中生姜を取り入れた商品をつくりたいと思い、ブランドとして立ち上げました。

——現在の事業の特徴や強みはどこにありますか。

まずは「味」だと思っています。クラフトコーラは銘柄によって特色がかなり違いますが、うちはスパイスの風味を感じつつも、味わいとしては重たくなく、飲み終わりがすっきりする設計を大事にしています。

11種類のスパイスを独自にブレンドしていますが、マニア向けに尖らせるというより、幅広い方に飲みやすい味を目指しています。お酒と合わせやすいのも特徴で、アルコールを飲む方にも飲まない方にも楽しんでいただけるように考えています。

また、容器としてクラフトコーラ専門メーカーでは初めての「ペットボトル炭酸飲料タイプ」を採用しているのが特徴です。500mlでキャップが閉められるので、持ち運びやすさや日常での飲みやすさにもつながっています。

炭酸で割る必要があるシロップタイプが多いクラフトコーラですが、弊社の商品は「下町を散策しながら楽しむ」というコンセプトに沿って、東京の下町・谷中で楽しんでいただけるクラフトコーラを提供しています。

金融機関での経験が背中を押した、経営の道への転換点

——経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

もともとは金融機関で、いろいろな経営者の方に提案をする仕事をしていました。多くの経営者の方とお話しする中で、自分も頑張ってみたいという気持ちが湧いてきたのが大きいです。

その時点では何をやるか決まっていたわけではなく、特定の事業に強い思い入れがあったわけでもありませんでしたが、クラフトコーラについては自分でやってみたら面白そうだと思えました。そこから個人事業として立ち上げ、今に至っています。

——これまでのキャリアの中で、印象的だった転機はありますか。

最初に就職した会社での配属は一つの転機だったと思います。もともとは地元である茨城県など、地方で働きたい気持ちがあったのですが、配属は都内の店舗でした。

想定とは違った環境でしたが、コロナ前からコロナ禍も含めて、激動のタイミングで都内で働いた経験は、仕事の経験を積むうえでも、自分が刺激を受けるという意味でも大きかったです。

地方でのんびり働きたいと思っていた一方で、都内での経験が結果として今につながる一つの転機になったと感じています。

——コロナ禍の経験も、現在の事業につながっているのでしょうか。

コロナも大きな転機でしたね。コロナを機に谷中に移り住むことになり、そこから谷中クラフトコーラにつながっています。もともと職場から遠い場所に住んでいたのですが、コロナ禍でも通勤が必要な仕事で、長距離移動が体質的にもかなり負担でした。

特に、春夏は汗をかきやすく、職場に着くまでに疲弊してしまうこともあり、なるべく近いところに住みたいと考え、谷中に住み始めました。

住み始めた当初はクラフトコーラをやるつもりではなかったですし、谷中生姜の存在も知りませんでしたが、趣味でクラフトコーラをつくり始め、事業化を見据えて調べる中で、谷中生姜や地域とのつながりを深く知るようになりました。

一人で営むからこそ、誠意を軸にした関係づくりを大切にする

——事業運営において、今向き合っている課題は何ですか。

大きな課題は、販売チャネルを増やしていくことです。現在は下町の銭湯、飲食店、宿泊事業者、谷中銀座などで販売していますが、それだけではアクセスできるお客様に限界があります。

最終的なお客様だけでなく、販売店の方々や協力先の事業者の方々に、どう商品の魅力を伝え、納得して選んでいただくかが課題です。そこは今も注力していますが、今後さらに取り組んでいかなければいけないところだと考えています。

——経営の中で「これだけは譲れない」と思うことはありますか。

取引先の事業者の方々に対しては、誠実にお取引をすることを何より大事にしています。うちは小規模で、実際に一人でやっているので、できることには限界があります。

その中でも最大限の誠意を持って対応することは、常に意識しています。一方で、実際に飲んでいただく個人のお客様に対しては、商品の価値を最大限感じていただける提案を大事にしています。

まずは味、そのうえで楽しんでいただけるシーンの提案も含めて、商品をしっかり堪能していただけるようにしたいと思っています。

——「組織」や人との関係という面では、どのような姿勢で取り組んでいますか。

現状は一人の会社なので、いわゆる社内の組織運営や社員との関係という形ではありません。ただ、生産・製造に関わってくださる方々、販売先の方々との関係づくりがそのまま事業の基盤になると考えています。

特に、谷中生姜は貴重な野菜なので、農家さんに安心して卸していただけるような関係構築やコミュニケーションは重要です。小さい事業だからこそ、丁寧なやり取りの積み重ねが大事だと思っています。

地域食材のRTD化と、次の波をつくる挑戦へ

——今後取り組んでいきたい新しい挑戦について教えてください。

まずは商品をさらに良くしていきたいです。特に、谷中生姜という貴重な素材をどう活かしていくかは大きなテーマです。

谷中生姜は供給量が限られているので、農家さんが安心して生産量を増やしていただけるような関わり方を考えています。

また、谷中生姜の商品をRTD化(そのまま飲める飲料化)したいという思いがあります。将来的には、お客様がよりアクセスしやすい形で届けたいです。

——業界全体の流れについて、どのように見ていますか。

クラフトコーラ業界では、RTD化に踏み込みつつある事業者が増えてきている印象があります。シロップタイプはすでに多くの会社が取り組んでいますが、その先の、開けてすぐ飲める炭酸飲料化のニーズは高いと思います。

消費者の方にとっては、割る手間がない方が楽しみやすく、選びやすいからです。一方で、クラフトコーラ自体は一度盛り上がったタイミングを経て、今は少し落ち着いた時期でもあると感じています。

だからこそ、各社や業界全体でタッグを組み、改めてお客様へのアプローチや発信を強めて、第2波をつくっていく必要があると考えています。

——将来的に、どのような商品や会社の姿を目指していますか。

商品面では、最終的には自分の悩みでもある多汗のケアにつながるような、医学的な効能を立証できるドリンクをつくりたいと思っています。必ずしもクラフトコーラである必要はありませんが、味だけでなく効能の面でも選ばれる商品を目指したいです。

会社としては、今は谷中を中心とした小規模展開ですが、いろいろな地域にアクセスできる基盤を作っていきたいです。クラフトである以上、コストの問題もあり、気軽に試しづらい価格ではありますが、規模を大きくして、より多くの方に届けやすくしたいと考えています。

食とお酒を楽しむ時間が、仕事にもつながるリフレッシュ

——お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。

妻と一緒にご飯を食べに行くことは、リラックスしたいときによくしています。自分自身は食べることが好きですし、アルコールも好きなので、そうした時間は大切な切り替えになっています。仕事のことを完全に離れるというよりは、楽しみながら気持ちを整えるような感覚です。

——プライベート以外も含めて、情熱を持って取り組んでいることはありますか。

正直に言うと、今は一人の会社で、使えるリソースの大部分を仕事に振り分けています。そのうえで、仕事以外のところで言うと、おいしい飲食店を探したり、おいしいお酒を探したりしています。

お酒が好きなので、飲食店やお酒探しは趣味にもなりますが、仕事にもつながる時間です。完全に切り分けるというより、楽しみながら商品の飲み方や相性を考えるような時間にしています。

——谷中クラフトコーラに合う楽しみ方として、どんなものがありますか。

お酒で言うと、ラムやウイスキーは幅広く合うと思っています。クラフトコーラ割りや、クラフトコーラハイボールのような楽しみ方は相性がいいです。食事では、うちの商品の味わいがすっきりめなので、味の濃いものと合わせやすいです。

ハンバーガーや肉料理、風味の強いチーズなど、しっかりした味のフードを、コーラのすっきり感で楽しんでいただくイメージです。

スパイスの風味は感じられますが、それだけに寄せすぎていない設計なので、クラフトコーラに「スパイスが強そう」という印象を持っている方にも、比較的飲みやすい味わいになっていると思います。ぜひ多くの方にまずは一度楽しんでもらえたら嬉しいです。

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