心理支援×教育で可能性をひらく――メゾンデュラパレットが支える安心からはじまる学びのかたち

合同会社メゾンデュラパレット 代表取締役 石川 裕美氏

合同会社メゾンデュラパレットは、心理相談室「ほほえみ相談室」を基盤に、子どもと大人の学びと成長を支援する事業を展開しています。子育てや発達に関する相談から子どもの学習・発達支援まで 幅広く取り組み、個々の特性に寄り添った支援を行ってきました。本記事では、代表の石川氏に事業の背景や強み、教育への思い、今後の展望について伺いました。

心理支援と教育を軸に広がる事業の全体像

――現在の事業内容と、立ち上げの経緯を教えてください。

もともとは院生時代に塾内相談室という形で保護者カウンセリングを始め、2013年に私設心理相談室「ほほえみ相談室」を個人事業として立ち上げ、心理相談や発達支援・学習支援を続けてきました。

20代の頃から臨床心理学を学びたいという思いがあり、福祉や教育の現場で経験を積みながら、40代で心理系の大学院へ進学しました。大学院では「親子の関係性」に関心を持って研究に取り組み、その経験が現在の心理支援の基礎になっています。 

「ほほえみ相談室」は当初、年齢や環境による制限を設けない「子育て支援のワンストップサービス」を目指していましたが、近年は子育て以外の相談も増えてきました。現在は「年齢や性別、環境に関わらず相談しやすい地域の身近な心理相談室」を目指すとともに、心理教育・研修分野の支援を充実させるため、合同会社として教育事業を立ち上げました。 

――教育事業を新たに立ち上げた背景には、どのような思いがありましたか?

根底にあるのは、「子どもが主体的に学べる場をつくりたい」という思いです。

私自身、高校生までは「やらされている」という感覚が強く、学問の面白さを感じにくい時期がありました。しかし、大学で自分の学びたいことを選ぶ楽しさを知り、「学びとは、本来楽しいものである」と気づきました。この感覚を子どもたちとも共有したいという思いがあります。

一方、教育現場に立つと、大学で学んだ理想とのギャップにも直面しました。現在も不登校の子どもたちが増えている状況を見て、当時抱いていた問題意識は間違っていなかったと感じています。 

――子どもたちが抱える生きづらさは、昔と今でどのように変わってきたと感じますか?

私が10代の頃にも、受験競争やいじめ、登校拒否など、子どもたちが抱えるさまざまな生きづらさがありました。

当時は不満を反抗や反発として外に出す子どもが多かったのに対し、今は自分の気持ちを内側に閉じ込め、我慢してしまう子どもが増えているように感じます。だからこそ、子どもたちが自分らしく学べる教育のあり方を考え続けたいと思っています。

子どもの主体性を引き出す学びへのこだわり

――現在は、どのような支援を行っていますか?

学校に行きづらさを抱えているお子さまや、不登校の状態にあるお子さまに寄り添い、その子に合った学び方や得意な分野を一緒に見つけていく支援を行っています。「できないこと」に意識が向きやすいからこそ、その子が持っている「潜在的な力や強み」に目を向けることを大切にしています。

また、保護者さまへの支援も欠かせません。お母様向けのカウンセリングをはじめ、大人の学び講座や教育・保育・福祉事業所さま向けの研修などを通して、子どもの心理と発達についてお伝えしています。今後も企業や団体様と協業しながら、学びの輪を広げていきたいと考えています。

――学習支援において大切にしている考え方は何でしょうか?

一人ひとりの凸の部分、つまり好きなことや得意なこと、突出しているところを伸ばすことを重視しています。

日本の教育では、苦手な部分を補い、まんべんなくできるようにすることが重視されがちです。しかし私は、まず主体性や得意な部分を育てることが大切だと考えています。好きなことに一生懸命取り組むことで自信がつき、苦手なことにも挑戦する意欲が生まれるからです。

できないことを埋めるのではなく、できることを起点に学びを組み立て、その子らしさや可能性を伸ばす支援を心がけています。

「関係性のケア」が生み出す安心・自信・自由の循環

――御社ならではの強みは、どのような点にありますか?

弊社の強みは、学び支援・心理支援・発達支援を切り分けず、支援全体をひとつのつながりとして見ている点です。

目の前の困りごとだけで判断するのではなく、その子の特性やこれまでの育ち、親子関係、学校や友人との関係などを丁寧に見立て、本人が目指す姿を一緒にイメージしながら支援の内容や方針を組み立てています。

また、行動や環境だけでなく、人と人との関係性や目に見えにくい心の動きまで捉えることを大切にしています。心理師としての視点に加え、小学校教師・塾講師としての経験や、学校教育のカリキュラム編成を学んできた背景を生かし、一人ひとりに合った学び方を一緒に探していけることも特徴です。

 ――支援の中で重視しているプロセスや考え方は何でしょうか?

支援の中で大切にしているのは、「安心→自信→自由」の獲得という順番です。

いきなり自信を持とうとしても、なかなか難しいものです。まず必要なのは「私はありのままの自分で、ここにいて大丈夫」と感じられる安心感です。

周りに支えてもらえている実感や、愛を持って関わってもらえる経験があってこそ、少しずつ「自信」が育ち、新しいことにも挑戦できるようになります。安心の土台が十分でなければ、無理に先へ進まず、そこに立ち返ることも大切です。

「安心」を積み重ねながら、親子それぞれが「自信」を取り戻し、自分らしい生き方や学び方へ進む「自由」を獲得できるよう、こころと育ちの両面から支えています。

孤立を乗り越え、共に学ぶ場をつくる

――今の事業の原点になっている体験などはありましたか?

私の子育て支援の原点にあるのは、自分が初めての子育て中に感じた、強い孤立感です。

子どもと向き合う毎日の中で、親がひとりで頑張らなければならないことに、言葉では表現しづらい孤独感がありました。子育てや子どもの育ちについて学ぶ中で、多くの母親が同じような孤立感を経験していることを知り、身近なところから気持ちを共有できる場をつくりたいと思うようになりました。 

その後、同じ思いを持つ仲間たちと「家庭教育学講座カラーパレットの会」を立ち上げ、幼い子どもを抱えながら一緒に学ぶ時間を持ちました。疑問を気軽に相談し、悩みを分かち合える場に私自身も支えられ、同じように苦しさを抱える人たちにとっても必要な場だと強く感じました。

現在のさまざまな支援には、私自身が子育ての中で悩み、学んできた経験や思いが生きています。

――地域とのつながりを生かした取り組みについて教えてください。

「くるみっこ子育て支援」は、温かな地域コミュニティを育むことを目的に続けている活動です。不定期ではありますが、対面で会える近い距離感を大切にしています。現在は15人のサポートスタッフが知恵や力を貸してくださっています。

子育て中の孤立を防ぐためには、家族だけで抱え込まず、SOSを出せることが大切です。地域の横のつながりを通して、お互いに支え合える関係を育てていきたいと思っています。 

オンライン発信で広げる学びの可能性とこれからの挑戦

――今後取り組んでいきたいことを教えてください。

今後はオンラインでの発信を強化していきたいと考えています。これまではホームページを中心に情報を届けてきましたが、今後は動画やSNSも活用し、より多くの方に知っていただく機会を増やしていきたいです。

直接関わることができる人数には限りがあります。だからこそ、オンラインを活用しながら、必要としている方に必要な情報や学びを届けていきたいと思っています。

――休日のリフレッシュ方法や趣味はありますか?

子どもの頃から歌うことが大好きで、現在は教会の聖歌隊に所属し、毎週日曜日に歌っています。賛美をさせていただく時間は、自分自身を整える大切なひとときです。

また、香りのよい入浴剤やアロマを取り入れたバスタイムや、自宅裏の川を流れる水の音にも癒されています。こうした音や香りを感じる時間は、ほほえみ相談室でも大切にしている「癒し」や「自分を取り戻す感覚」にもつながっています。相談に来られた方にも、安心感を得て帰っていただけるような空間を大切にしていきたいと思っています。 

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