図解で思考を可視化する――池田秀敏氏が語る「構造化」が導く事業創出の本質
有限会社テオリア 代表取締役 池田秀敏氏
新規事業の立ち上げや業務改善において、多くの経営者が直面するのが「頭の中のアイデアをどう形にするか」という課題です。有限会社テオリアの代表取締役・池田秀敏氏は、その課題に対し「図解による構造化」という独自のアプローチで向き合ってきました。システムエンジニアとしての経験をベースに、事業の構想を言語化・可視化し、実行可能な形へと導く同氏の取り組みについて伺いました。
目次
思考を構造化する「社長のゴーストライダー」という役割
――現在の事業内容について教えてください。
新規事業を始めたい、あるいは既存事業を改善したいと考える経営者から話を聞き、その内容を図解しながら事業の構造を組み立てていく仕事をしています。多くの場合、社長の頭の中にあるのはまだ「願望」の段階で、具体的な事業計画としては不完全です。
2時間ほど話を伺いながら、その内容を図として整理していくと、抜けや矛盾が見えてきます。そこに対して質問を重ね、一緒に考えながら事業の仕組みを構築していきます。最終的には25〜30ページほどの事業企画書としてまとめ、課題や対象顧客、解決方法、理念までを整理します。
――どのような企業がクライアントとして多いのでしょうか。
規模としては、これから起業する一人の経営者から、社員数70〜80名程度の企業まで幅広いです。業種は特定の分野に偏っていませんが、どちらかというと「説明が難しいサービス」を扱う企業が多いです。
モノであれば見れば価値が伝わりますが、サービスは言葉で説明しないと理解されません。そうした無形の価値を構造的に整理し、伝わる形にするニーズが高いと感じています。
システムエンジニアから事業企画支援へ
――現在の事業に至った経緯を教えてください。
もともとはシステムエンジニアとして、新規事業のシステム開発に関わっていました。新規事業は現場がなく、社長の頭の中だけにある状態です。そのため、協力企業に説明する際に情報が不足し、さまざまな質問が発生します。そのたびに仕様変更が起こり、開発が非効率になるという課題がありました。
そこで、社長のアイデアを図解し、1〜2枚の資料にまとめて説明できるようにしたところ、関係者の理解が深まり、開発がスムーズに進むようになりました。この経験から、より上流の事業企画そのものを支援するようになりました。
――独立された背景にはどのような思いがあったのでしょうか。
会社員として働く中で、自分の意思とは関係なく動くことに違和感がありました。そこで独立し、「会いたい人と会う」「やりたい仕事をする」というスタイルに切り替えました。
収益はもちろん必要ですが、それ以上に面白い仕事ができるかどうかを重視しています。特に創業社長は非常に魅力的で、その発想や熱量に触れながら仕事ができることが、この仕事のやりがいです。
一人で事業を続ける理由と価値観
――現在の組織体制について教えてください。
現在は一人で事業を行っています。以前はプログラマーを雇用していたこともありましたが、人を管理し、モチベーションを維持させることが自分には向いていないと感じました。やる気は本人が持つべきものだと思っているので、そうした部分に関わるよりも、自分の強みを活かせる形で仕事をすることを選びました。
――仕事をする上で大切にしていることは何ですか。
本音で動くことです。無理に人に合わせるのではなく、自分が価値を提供できる相手と向き合うことを大切にしています。結果として、信頼関係のある仕事につながっていると感じています。
「図解思考」の体系化と今後の展望
――今後の展望について教えてください。
年齢的にも事業を大きく拡大するというよりは、「図解思考」という考え方を体系化し、広めていきたいと考えています。
相手の話には必ず抜けや矛盾があります。それをどう捉え、どう発想すれば必要な情報にたどり着けるのか。そのプロセスを「池田式図解思考」として整理し、発信していく取り組みを進めています。
――具体的にはどのように広めていく予定ですか。
SNSや動画などを通じて発信し、個人でも活用できる思考法として広げていきたいと考えています。これからは一人ひとりが経営者のように考える時代です。そうした人たちが自分のアイデアを整理し、形にできるよう支援したいと思っています。
AI時代における課題と可能性
――現在感じている課題は何でしょうか。
AIの活用です。AIは非常に優秀ですが、適切な問いを与えなければ望む結果は得られません。
完成された答えを求めるのではなく、思考のパートナーとしてどう使うかが重要です。そのためには、自分自身の思考を構造化できる力が必要になります。
――どのような取り組みをされていますか。
構造化をさらに深めることに取り組んでいます。問題を分解し、どこに本質があるのかを見極める力を磨くことで、AIとの組み合わせによってより効率的に価値を生み出せると考えています。
日常の中でのリフレッシュ
――休日の過ごし方について教えてください。
自宅の裏にある土地で家庭菜園をしています。じゃがいもやきゅうり、トマトなどを育てていて、収穫したものは近所に配ることもあります。土に触れることで気分転換になりますし、自然の中で過ごす時間はとても大切だと感じています。
自立する力を育てるという使命
――この事業を通じて実現したいことは何ですか。
「自分で立つ」「自分で利する」という2つの力を持つ人を増やしたいと考えています。会社に依存するのではなく、自分の力で価値を生み出し、コントロールできる状態を目指すことが重要です。そのためには、自分の強みとなるコンテンツを持ち、現場での気づきを積み重ねていくことが必要です。気づき、考え、工夫する。このプロセスを繰り返し、知識として蓄積していくことで、誰でも成長できると考えています。