撮影の枠を超え、ブランドの“設計図”を描く――表現を統合するクリエイティブの本質

有限会社アイズクリエイティブ&モデルス 代表 安藤信之氏

撮影を中心としながらも、企画・デザイン・納品までを一貫して手がける有限会社アイズクリエイティブ&モデルス。単なる制作会社ではなく、ブランド全体の表現を統合する“設計者”としての役割を担っています。本記事では、代表の安藤信之氏に、同社の強みやクリエイティブに対する考え方、今後の展望について伺いました。

表現を一貫させる統合型クリエイティブとブランディング支援

――現在の事業の特徴や強みについて教えてください。

撮影を中心に据えながら、企画からデザイン、納品までを一貫して対応しています。さらに、クライアントと直接やり取りを行い、改善点や課題をダイレクトに把握できる体制を整えている点も強みです。単に制作を行うだけでなく、ディレクションやコンサルティングの役割も担いながら、ブランド全体の”見え方”を整理し、表現を統合していくことを重視しています。

特に、ECサイトやSNS、キービジュアルなど媒体ごとに表現がばらついてしまうケースは多く見受けられます。ECは商品情報、SNSは話題性、キービジュアルは世界観とそれぞれ役割が異なります。それらが個別最適のまま制作されると、ユーザーの中でブランドイメージが分裂してしまうことがあります。そうした“表現の乖離”を整理し、ブランドとして一貫した見せ方になるよう設計し、”どう見えるべきか”を統合していくことが私たちの役割だと思っています。

――近年、強みとして強化されている点はありますか。

最近はコンサルティングの相談が増えています。カメラマンというと「写真を撮る人」という認識を持たれがちですが、本来はディレクション能力を持ち、提案からアウトプットまでを設計する役割だと考えています。

現在はデジタル化の影響もあり、撮影後の選定や判断がクライアント側に委ねられるケースが増えています。しかし、写真特有の表現や選定基準が十分に理解されないまま進んでしまうことも少なくありません。私たちは常に最終的なアウトプットから逆算し、撮影や制作を行っています。

アウトプットから逆算するクリエイティブの考え方

――具体的にはどのような支援を行っているのでしょうか。

重要なのは「何を作りたいのか」という設計です。過去にはプロデューサーとして、複数の関係者と数ヶ月にわたって打ち合わせを重ね、表現の方向性を細かく設計してきました。デザイナーやカメラマン、スタイリスト、ヘアメイクなど、すべての関係者に同じ意図を伝えることで、初めて統一されたアウトプットが実現します。

この“伝える力”が欠けると、表現は簡単にばらばらになってしまいます。そのため、ブランドとしての判断軸を明確にし、どのメディアでどのように見せるのかを整理することが必要です。

――クライアントとの関係性で意識していることは何ですか。

制作側がすべてを決めるのではなく、クライアント自身が判断軸を持つことが重要だと考えています。その軸に基づいて、どのレベルのクオリティが必要か、どの人材を起用すべきかを決めていくべきです。

実際に、実店舗を持たずECサイトを立ち上げる段階から関わり、表現の方向性を共に作り上げてきたクライアントが、実店舗展開まで成長した事例もあります。ブランディングが整うことで、事業全体の成果につながると実感しています。

人を喜ばせたいという原点と表現へのこだわり

――この仕事に進まれたきっかけを教えてください。

根底にあるのは「人を喜ばせたい」という想いです。その延長線上に、写真やデザインがあります。

――撮影現場で大切にしていることは何でしょうか。

現場の空気づくりです。モデルやスタッフが楽しんでいなければ、その雰囲気はアウトプットにも表れません。最終的に見るユーザーの心を動かすためには、まず目の前の人を楽しませることが大切です。

現場全体が同じ方向を向き、良いものを作ろうとする意識を揃えること。それが結果としてクオリティにつながります。

自走する組織と変化に対応する柔軟性

――社内のコミュニケーションで意識していることを教えてください。

基本的には自由な環境です。フリーランスのメンバーも多く関わっており、外部の力も活用しながらチームを形成しています。

人材に求めるのは「やる気」と「自ら気づく力」です。技術の向上は当然の前提として、その先に何が必要かを自分で考え、成長していく姿勢を重視しています。

――クライアントとのコミュニケーションで心がけていることは何ですか。

専門的な内容を分かりやすく伝えることです。カメラマンやデザイナーなどの専門職同士では共通言語がありますが、クライアントにとっては分かりにくい場合もあります。そのギャップを埋めることが重要です。

また、長くお付き合いする中で常に新しい提案を行い、現状に満足しない姿勢を大切にしています。

AI時代におけるクリエイティブの在り方

――今後の展望や課題について教えてください。

市場のニーズを的確に捉え、それをどのように価値として提供するかを常に考えています。特に最近はAIに関する相談が増えていますが、重要なのは使い方です。

AIは効率化に大きく貢献しますが、すべてを置き換えるべきではありません。どこに使い、どこは人が担うべきかを見極める必要があります。

AIは非常に優秀ですが、まだ”らしさ”や”人の感覚”まで完全に理解できるわけではありません。効率化だけを目的にしてしまうと個性や空気感まで均一化されてしまう危険もあると感じています。権利や表現の問題も含め、クリエイティブとAIの共存をどう実現するかが今後の課題です。

心と体を整えるリフレッシュの時間

――日頃のリフレッシュ方法について教えてください。

ゴルフを楽しむことが多く、仕事の一環としての側面もありますが、気分転換にもなっています。妻と一緒に出かけることもあり、温泉やマッサージと組み合わせて過ごす時間は貴重なリフレッシュの機会です。

また、何もしない時間をあえて作ることも大切にしています。忙しい日々の中で、ただ家で過ごし、ぼーっとする時間はとても贅沢に感じます。そうした時間があるからこそ、また次の仕事に向き合うエネルギーが生まれるのだと思います。

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