財務経理の知見を中小企業へ――アンカレッジ・ジャパンが描くプロジェクト支援の形
アンカレッジ・ジャパン株式会社 代表取締役 瀬沼敏彦氏
アンカレッジ・ジャパン株式会社は、財務経理や経営管理、プロジェクト組成支援などを軸に、中小企業の経営を支援しています。大手企業や商社で培った経験をもとに、会社設立、資金調達、黒字化、事業承継、M&Aなど幅広い相談に対応してきました。本記事では、代表取締役の瀬沼敏彦氏に、これまでの歩みや事業への思い、今後の展望について伺いました。
財務経理の経験を中小企業の力に
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、経営財務のコンサルティングを中心に行っています。これまで決算、予算、会社設立、黒字化、事業承継、M&A、資金調達など、財務経理に関わる幅広い業務を経験してきました。中小企業の社長が一人でそれらをすべて担うのは難しいため、私のノウハウを提供したいという思いがあります。
また、商社関連業務や環境コンサルティング、不動産賃貸経営、プロジェクト組成支援にも取り組んできました。特にプロジェクト型の仕事は、商社と財務経理の経験を掛け合わせたものです。メンバーを集め、予算管理や進捗管理を行いながら、一つの事業を形にしていく支援をしています。
――事業を始めた背景を教えてください。
財務経理を38年やってきた中で、得た知識を大企業ではなく中小企業に向けて活かせたら面白いと考えました。小さな会社でも経営計画書を作り、財務部長のような立場で説明をすれば、金融機関とのやり取りも変わります。
何でも受けるわけではなく、面談をした上で、自分が力になれる案件かどうかを見ています。一緒に進めることが難しいと感じる場合もありますので、できるものに絞って取り組むようにしています。
大企業で培ったプロジェクト型の経験
――経営の道に進まれた背景を教えてください。
最初はダイエーグループに入り、財務の仕事を経験しました。有価証券報告書の作成や、会社の合併に関わる業務、海外子会社設立など、財務経理というよりプロジェクト型の仕事を多く経験してきました。
その後、サムスンでは経理課長として、現地化に向けた提案やSAPの導入などに関わりました。さらにインテリジェンス(現・パーソルキャリア)、住友商事、丸紅グループでも経理や監査、子会社支援、システム導入、本社移転などを経験しています。結果として、財務経理を軸にしながらも、会社を動かすさまざまな場面に関わってきたことが、現在の仕事につながっています。
――ターニングポイントになった出来事はありますか。
独立後の最初の2年間は、外部からの受託業務が中心でした。ただ、大企業の業務委託は期間が限られることも多く、自分で中小企業の社長と1対1で向き合い、その会社を支援していこうと考えるようになりました。これが一つ目のターニングポイントです。
もう一つは、長く関わってきたリサイクル会社を辞めたことです。そこでは赤字会社の資金調達や黒字化、営業開拓などに取り組みました。現在は新しい貿易関係の仕事を進めながら、今後どの分野を押し出していくかを考えている時期です。今が2度目のターニングポイントだと感じています。
社員を持たず、最適なメンバーで組む
――組織運営のスタイルについて教えてください。
現在、社員はいません。私一人で会社を運営し、案件ごとに外部から最適な人を集めてプロジェクトを進めています。商社では、映画や海外案件のように、資金や進捗管理を担いながら、監督やプロデューサーなどは外部の専門家が担う形を見てきました。その経験が今のスタイルにつながっています。
私は財務経理やプロジェクト管理が得意ですが、営業、料理、IT、デザイン、写真などは、それぞれ得意な人に入ってもらう。その時々で一番良いメンバーを集めて進めることを大切にしています。採用については、現時点ではあまり考えていません。
経営管理とプロジェクト組成を柱に
――今後取り組みたい展開を教えてください。
今は事業が6つほどに分かれていて、外から見ると何をしている会社なのか分かりにくい面もあると感じています。今後は、財務経理や会計システム、経営管理システムの導入を一つの柱にしていきたいです。
また、中国や韓国とのつながりも多いため、中国人が日本に進出する際の会社設立、営業支援、M&Aなどにも取り組みたいと考えています。加えて、個人事業主やフリーランス向けの経理、確定申告の支援にもシフトしていきたいです。
――現在感じている課題はありますか。
ERPの導入支援については、これまで営業してきませんでした。そのため、どのようなマーケットがあり、どこに営業していけばよいのかを探すことが課題です。外部コンサルではなく、社内プロジェクトメンバーとして入る形も考えています。
もう一つ強化したいのが、プロジェクト組成支援です。案件の相談は多いのですが、資金付けに関するものも多く、ファンドの人脈をどう増やしていくかが課題です。まだ整理している段階ですが、この2点を伸ばしていきたいと考えています。
ずるをせず、役割を明確にする
――仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。
大切にしているのは「ずるをしない」ということです。会議で得た情報を別の会社に流すような人や、自分は何もしないのに情報だけを流してお金を得ようとする人とは、接点を作らないようにしています。
プロジェクトを始める時も、「あなたの役割はこれです」と確認した上で進めます。役割のない人や、変化を作れない人と一緒にいても意味がありません。自分自身も、そうしたことは絶対にしないと決めています。
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
健康のことも考えて、毎月1回ハイキングに行っています。以前マッサージをお願いしていた方と一緒に、健康のために続けています。
また、3か月に1回ほど海外へ遊びに行くこともあります。あとは月に2、3回、孫に会って一緒に食事をする時間も大切にしています。そうした時間がリフレッシュになっています。