次世代へ“会社の価値”をつなぐ──大津裕昭公認会計士事務所が挑む、経営支援の新しいかたち
大津裕昭公認会計士事務所 代表 大津 裕昭 氏
企業を経営していく中では、資金繰りや事業承継、将来設計など、多くの意思決定が求められます。そうした経営者の悩みに寄り添いながら、数字だけでなく事業構造まで踏み込んだ支援を行おうとしているのが、大津裕昭公認会計士事務所です。本記事では、独立に至るまでの歩みや経営への価値観、これから取り組みたい社会課題について、大津裕昭氏に伺いました。
目次
経営の“次のステージ”を支える──事務所の現在地と理念
――現在の事業内容について教えてください。
2026年3月に独立し、公認会計士事務所を立ち上げました。主軸として取り組んでいきたいのが「外部CFO」という形の経営支援です。
具体的には、資金繰りや事業計画の策定、将来を見据えた経営判断のサポートなどに取り組んでいきたいと考えています。単純に数字を見るだけではなく、事業構造まで踏まえたうえで、経営者の意思決定を支えていきたいという想いがあります。
直近はコンサルティング会社でM&A支援に携わってきました。銀行、監査法人、FASと多様な経験をしてきたので、資金調達、会計、M&Aまで含めて幅広く相談いただける点は、自分の強みだと思っています。数字の整合性を見るだけではなく、経営者が何を目指し、どこに悩んでいるのかまで理解したうえで支援したいですね。
理念として掲げているのは、「事業を、次のステージへ」という言葉です。企業の成長だけでなく、事業承継やM&Aなど、会社が大きな節目を迎える場面で力になりたいという意味を込めています。
特に今は、経営者の高齢化が社会課題になっていると感じています。長年築き上げてきた会社や技術、想いを、次の世代へどう引き継いでいくのか。その意思決定を支える存在になりたいですね。
銀行員時代の悔しさが原点──独立までの歩み
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
原点は、銀行員として働いていた頃にあります。経営者の方へ提案する機会が多く、その中で、自分の責任で事業を動かし、社会にインパクトを与えていく姿に強く惹かれていきました。
一方で、当時の自分は、なかなか提案が相手に刺さらず、どうすれば本当に必要とされる提案ができるのかを考えた時に、表面的な知識だけでは足りないと痛感しました。相手の立場や悩みを深く理解できていなければ、本当の意味で信頼される人にはなれない。その悔しさは、今でも自分の中に強く残っています。
もっと深く経営を理解したい。もっと専門性を身につけたい。そう考え、公認会計士としての道を選びました。
そこから10年以上が経ち、ようやく独立という形にたどり着きましたが、「自分の意思で社会にインパクトを与えたい」という気持ちは、今も変わっていません。
経営判断をするうえで意識しているのは、「将来への投資になるかどうか」です。単なる消費で終わるのではなく、未来に資産を残せる意思決定なのか。その視点は常に持つようにしています。
もう一つ大事にしているのは、自分が納得できないことを無理に続けないことです。
もちろん、簡単に逃げるという意味ではありません。ただ、長く経営を続けていくうえでは、自分が納得した状態で仕事に向き合えるかどうかはすごく大切だと思うんです。結果として、そのほうが良い仕事にもつながると感じています。
心理的安全性を重視した組織をつくりたい
――組織づくりで大切にしたいことを教えてください。
現在はまだ一人事務所ですが、将来的には組織化も考えています。
その中で特に重視したいのが、「心理的安全性」です。これまでさまざまな組織を経験してきた中で、安心して話せる環境があるかどうかで、情報の流れ方や人の動き方は大きく変わると感じてきました。
話しづらい空気があると、本来上がってくるべき情報まで止まってしまうんです。逆に、率直に意見を出せる環境だと、組織全体の動きも自然と良くなっていく。小さな違和感や課題も早い段階で共有できるので、結果として組織全体の成長スピードにもつながっていくと思っています。
だからこそ、できるだけフランクにコミュニケーションが取れて、安心して意見を言える雰囲気をつくっていきたいですね。
一緒に働きたいと思うのは、「自責思考」を持っている人です。問題が起きた時、人や環境のせいにしたくなる気持ちは、自分自身もよく分かります。
ただ、その中でも「自分にできることは何だろう」と考えられる人と働きたいです。
今は変化の多い時代ですし、環境への不満や愚痴が出てしまうこともあると思います。でも、その状況の中で改善に向けて動ける人は強い。そういう姿勢を持った方と、これから組織をつくっていきたいと思っています。
高齢化社会と向き合う──次世代承継への挑戦
――今後の展望について教えてください。
独立したばかりなので、今はすべてが新しい挑戦だと感じています。
その中でも向き合っていきたいのは「経営者の高齢化」という社会課題です。今後、事業承継に悩む企業はさらに増えていくと思っています。
M&A支援や外部CFOを通して、経営者だけでなく後継者の支援にも取り組んでいきたいですね。
突然後継者に指名され、経営経験がないまま会社を引き継ぐ方も少なくありません。そうした方に対して、数字の読み方や金融機関との向き合い方、企業価値の高め方などを支援していきたいと考えています。
事業を承継するためには、「引き継ぎやすい会社」のあり方を整えていくことも重要です。事業構造を整理し、現在の会社の状態を数字で見える化し、将来像を事業計画で描く。そうした積み重ねが、次の世代が経営しやすい環境づくりにつながると思っています。
現在の課題は、「自分がどんな価値を提供できるのか」を、もっと分かりやすく伝えていくことです。
会計士という肩書きだけだと、どうしても“数字を見る専門家”という印象を持たれやすい。でも、自分が本当にやりたいのは、経営そのものに深く関わる支援です。
だからこそ、発信を通じて、支援内容やスタンスを丁寧に伝えていきたいと思っています。
静かな時間の中で、自分を整える
――休日のリフレッシュ方法について教えてください。
正直、今は立ち上げたばかりなので、まだ「しっかり休む」という感覚にはなれていません。
ただ、オフの時間にはカフェやバーに行くことがあります。コーヒーやお酒を飲みながら、ゆっくり考え事をする時間が、自分にとっては大事なリフレッシュになっています。
忙しく動き続けていると、頭の中も整理しづらくなることがあります。だからこそ、一人で静かに考える時間を持つことで、気持ちを整える時間が必要だと思います。
そうやって自分自身と向き合う時間があるからこそ、また次の挑戦に向かって前に進めるのかもしれません。
外部CFOとして経営者や後継者の意思決定に寄り添いながら、“会社の価値”を次世代へつないでいける存在を目指していきます。