“人との縁”が世界を動かす──ジャパンイノベーションズが描く、環境技術の未来
株式会社ジャパンイノベーションズ 代表取締役社長 藤田 悦雄 氏
省エネ機器からスタートし、現在は熱分解処理システム「PYROVIA(パイロビア)シリーズ」を軸に事業を展開している株式会社ジャパンイノベーションズ。国内だけでなく、アジア、中東、南米など海外市場への挑戦も積極的に進めています。本記事では、藤田悦雄氏に、事業への想いや経営の原点、人とのつながりを大切にする価値観、そして今後の展望について伺いました。
目次
“お客様目線”を軸に進化する──ジャパンイノベーションズの現在地
――現在の事業内容について教えてください。
当社は創業以来、「省エネルギー」と「環境改善」をテーマに事業を展開してきました。もともとはボイラー関連の省エネ機器からスタートしましたが、現在は熱分解処理システム「PYROVIAシリーズ」の普及に最も力を入れています。
一般的には廃棄物処理装置の一種として捉えられますが、私たちは単に機械を販売するだけではありません。遠隔監視システム、自動計量クラウドシステム、運転支援機能などを組み合わせ、お客様が継続的に運用できる仕組みまで含めたトータルソリューションとして提供しています。
私はもともと“良いものを探して届ける”商社的な立場でした。しかしPYROVIAシリーズに関わる中で、「もっと安全性を高めた方が良い」「もっと現場が使いやすくなる」といった提案をメーカーへ行うようになりました。
現在ではメーカーと共同で安全機能やDX機能の開発・改良にも関わり、単なる販売代理店ではなく、ソリューション開発パートナーとして活動しています。
また、営業スタイルも特徴的です。全国各地、そして海外にも多くのパートナーがいますが、代理店になるための加盟金やノルマは設けていません。「この事業に可能性を感じる」「社会に必要な技術だと思う」と共感してくださる方々が自然と集まり、一緒に事業を広げてくださっています。
近年では大手企業や医療機関、自治体、物流企業などからの問い合わせも増えており、環境課題への関心の高まりを強く感じています。
牛乳屋時代に培われた価値観──経営の原点
――経営者になられたきっかけを教えてください。
以前はボイラー関連の水処理装置を扱う会社で営業責任者を務めていました。
その頃から感じていたのは、「作る人」と「売る人」の感覚の違いです。製造側は自分たちが作ったものへの思い入れが強い。一方で営業は、「本当にお客様に必要なのか」という視点で考えることができます。
私は常に後者の立場でした。お客様にとって本当に価値のあるものを届けたい。その想いが独立の原点だったと思います。その価値観の根っこにあるのは、若い頃に経験した牛乳販売の仕事です。
牛乳屋という仕事は、お客様を選ぶことができません。様々な価値観を持った方がいて、様々な立場の人がいる。それでも毎日変わらず商品を届ける。その経験を通じて、「人を区別しない」という考え方が自然と身につきました。
だから今でも、お客様や代理店様と上下関係を作りたくないんです。フラットな立場で、一緒に良いものを世の中へ広げていく。その姿勢は創業以来変わっていません。また、私自身、多くの人に助けられてここまで来ました。
中学二年生の時に父を亡くしたのですが、その父が学生手帳に残していた言葉があります。「友人を作りなさい。その友人が自分を助けてくれる。」当時はその意味を深く理解していませんでしたが、今振り返ると、その言葉通りの人生を歩んでいる気がします。
“来る者拒まず”の組織づくり──人との縁が事業を広げる
――組織づくりで大切にしていることを教えてください。
私は人との縁を何よりも大切にしています。代理店様についても、こちらから積極的に募集したことはほとんどありません。友人や知人との会話の中で、「面白そうだからやってみたい」「社会貢献につながりそうだ」と共感してくださる方が自然と増えていった形です。しかも代理店フィーや加盟金はいただいていません。副業として関わる方もいれば、本業として取り組まれる方もいます。ノルマも設けていないため、無理なく参加していただけます。
最近も小中学校時代の同窓会を開催したのですが、二次会で事務所に集まり話をしていたところ、「その仕事は面白いね」と興味を持ってくださる方がいました。中には大手企業で役員を務めた経験を持つ方もいて、「手伝いたい」と声をかけてくださいました。
私は“来る者拒まず”なんです。もちろん価値観が合わず離れていく方もいます。しかしそれも新陳代謝だと思っています。無理に縛るのではなく、同じ方向を向く人たちが自然に残っていく。その関係性こそが健全な組織だと考えています。
また、事業承継についても血縁にこだわる考えはありません。家族だから継ぐ、他人だから継げない、という発想ではなく、理念や考え方を理解し、「この事業を発展させたい」と思ってくれる人に受け継いでほしいと思っています。
東南アジアから世界へ──次のステージへの挑戦
――今後の展望について教えてください。
日本には素晴らしい技術が数多くあります。しかし国内市場だけでは限界があることも事実です。だからこそ私は海外市場に大きな可能性を感じています。
現在は中国、フィリピン、スリランカ、韓国、中東地域などで事業展開を進めており、ブラジルを含む南米市場への展開も視野に入れています。特に東南アジアや南アジアでは、廃棄物処理や環境インフラの整備がこれから本格化する地域も多く、日本の環境技術が大きく貢献できる余地があります。
中でもスリランカは重要な拠点の一つです。現地大手企業との協業や在日スリランカ大使館との連携も進めており、将来的には南アジアだけでなく、中東・アフリカ市場への展開拠点としても期待しています。
振り返ると、そのご縁も偶然のようで必然でした。親族との再会をきっかけに現地とのつながりが生まれ、その後、政府系機関によるビジネスマッチング支援なども重なり、一気にプロジェクトが動き始めました。
私は昔から「南極大陸への導入」「富士山での活用」「オリエンタルランドへの導入」といった大きな夢を掲げてきました。一見すると無理に思えるような目標でも、持ち続けていると不思議と応援してくれる人が現れます。最近では防衛関連案件のご相談もいただくようになりました。
次はどこにつながるのか、自分自身が一番楽しみにしています。
環境課題の解決へ──PYROVIAシリーズが目指す未来
――最後に、事業を通じて実現したいことを教えてください。
私たちが目指しているのは、単に装置を販売することではありません。廃棄物を「処分するもの」ではなく、「資源として活かすもの」として捉え直す社会をつくることです。医療廃棄物や産業廃棄物、海洋ごみ、農業残渣など、世界中で様々な課題があります。さらに輸送コストや焼却処理に伴う環境負荷の問題もあります。
PYROVIAシリーズは、廃棄物の減容化や地域内処理を可能にし、輸送負担や環境負荷の低減に貢献できる技術です。医療機関や自治体、離島、さらにはインフラ整備が十分ではない海外地域でも活用できる可能性があります。
私は技術だけで世界は変わらないと思っています。技術を必要とする人と、人をつなぐことができて初めて社会は変わります。
だからこそ、これからも「人との縁」を大切にしながら、日本の優れた環境技術を世界へ届けていきたいと思っています。