“あなたのそばにある”存在として――株式会社あーるが目指す、その人らしく生きられる地域社会
株式会社あーる 代表取締役 水谷 康晃氏
株式会社あーるは、訪問看護ステーションの運営を通じて、地域で暮らす利用者の在宅生活を支えています。看護師と理学療法士が連携し、地域ニーズの高いリハビリ分野にも力を入れながら、「あなたのそばにある訪問看護ステーション」という理念のもと、地域に寄り添う支援を行っています。背景にあるのは、「誰もが個性通りに生きられる地域社会をつくる」という、よつばグループ全体の想いです。代表取締役の水谷康晃氏は、“誰かに合わせるために生きる社会”への違和感を原点に、「個性や強みが自然に活かされる環境をつくりたい」という考えを大切にしてきました。本記事では、水谷氏に事業への想いや経営観、今後の展望について伺いました。
目次
地域ニーズに応える訪問看護体制
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社では、訪問看護ステーションを運営しています。現在は看護師5名、リハビリ職6名の体制で運営しており、特に地域のニーズが高いリハビリ分野に力を入れています。リハビリの依頼にしっかり対応できるよう、人員体制を整えている点が特徴です。
また、職員は20代から30代の若手が中心で、明るく元気な雰囲気の職場になっています。利用者様への対応も迅速に行え、職員同士の連携が取りやすい点は、利用者様や関係者からも評価いただいている部分です。
――理念やビジョンにはどのような思いが込められているのでしょうか。
当社の訪問看護ステーションあーるは、親会社であるよつばグループの理念をもとに運営しています。グループ全体では、「新しい地域社会をつくる」という理念を掲げており、その“新しい地域社会”とは、「誰もが個性通りに生きられる地域社会」のことを指しています。
一人ひとりには、それぞれの個性があり、輝ける場所があると考えています。その人らしさや個性が、その人自身の居場所の中で自然に発揮される社会をつくっていきたいという思いが、グループ全体の根底にあります。
その中で、訪問看護ステーションあーるは、「あなたのそばにある訪問看護ステーション」という理念を掲げ、地域で暮らす方々の在宅生活を支える役割を担っています。利用者様が地域の中で、その人らしく暮らし続けられるよう、常にそばで寄り添うパートナーでありたい――そんな思いが込められています。
“その人らしさ”を大切にしたい――経営の原点
――経営者になられたきっかけを教えてください。
最初に立ち上げたのは、現在の訪問看護ステーションあーるではなく、「一般社団法人よつば」でした。30歳のときに立ち上げたのですが、もともと、実家が自営業でその両親のもとで育ったからなのか、私も就職して間もない頃から、「何かをやりたい」という思いはずっと持っていました。
その中で、自分は何に使命感を持てるのかを考えたとき、「個性が個性通りに輝ける社会を作りたい」という思いが強くあることに気づいたんです。
原点を振り返ると、小学生時代の経験があります。当時は流行している音楽を聴くことが当たり前のような空気がありましたが、自分は野球が好きで、音楽にはあまり興味がありませんでした。それでも「なんで聴かないの?」と言われたことがあって、「流行っているから」という理由で同じものを求められることに、違和感を覚えたんです。
その経験から、「人は誰かに合わせるために生きるのではなく、その人らしく生きられることが大切なのではないか」と考えるようになりました。押し付けられるのではなく、その人の個性や強みが自然に発揮され、社会の中で価値につながっていく。そんな環境や仕組みをつくりたいと思うようになったんです。
最初に取り組んだのは、障がい者支援のグループホーム事業でした。障害を持つ方々も、誤解や偏見、周囲からの押し付けによって苦しい思いをしてきた場面が多くあったと思います。だからこそ、この分野なら自分にもできることがあるのではないかと感じ、事業を立ち上げました。
経営判断の軸は“グループ全体の中で、最も価値が出る位置を見極めること”
――経営判断の際に大切にしている価値観はありますか。
経営判断で大切にしているのは、目の前の事業を単体で見るのではなく、よつばグループ全体の中で、その事業がどの位置にあると最も価値を発揮できるのかを考えることです。
訪問看護ステーションあーるについても、単に訪問看護の事業所として見るのではなく、グループ全体の地域生活支援を支える重要な医療基盤として捉えています。
よつばグループでは、障がい者グループホームや生活介護など、地域で暮らす方々を支える事業を展開しています。その中で訪問看護は、医療と生活をつなぎ、利用者が安心して地域で暮らし続けるために欠かせない役割を担っています。
私自身が現場の看護業務や日々の細かな人員配置を直接担っているわけではありませんが、経営者として見ているのは、訪問看護ステーションあーるがグループ全体の中でどのような役割を果たし、どのように成長すれば、利用者、社員、地域にとってより大きな価値を生み出せるかという点です。
経営には、人材、資金、事業、地域との関係など、限られた資源があります。その資源をどこに集中させると、最も大きな価値につながるのか。訪問看護単体の成長だけでなく、他の事業との連携も含めて、地域全体を支える基盤になっているかを見ながら判断しています。
目の前の課題に対応することも大切ですが、それだけではなく、その判断が将来の事業成長、組織づくり、地域からの信頼につながるかを重視しています。
訪問看護ステーションあーるを、よつばグループ全体の中で地域生活を支える医療基盤として成長させていくこと。
そのために、事業の位置づけと資源の使い方を見極めることが、私の経営判断の軸です。
思いやりを大切にした組織づくり
――社内コミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
社内では、配慮と思いやりのあるコミュニケーションを大切にしています。まずは相手の話をしっかり聞くことを意識し、その上でどうしていけば良いかを一緒に考えていく姿勢を心がけています。
ただ、必要なことをきちんと伝える場面もありますが、相手を尊重したコミュニケーションを取ることを重視しています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
チームワークを持って働けること、会社の方向性や志を共有できるかどうかを重視しています。同じ思いを持って進めることが、組織として非常に大切だと考えています。
採用力と働きやすさの強化へ
――今後の展望について教えてください。
現在、訪問看護ステーションとして掲げているテーマが、「採用できるステーションになること」です。現在は看護師と理学療法士を合わせて11名の体制ですが、今後は20名規模まで広げていきたいと考えています。
そのため、採用力の強化だけでなく、あーる独自の休暇制度を導入するなどの働きやすい職場環境づくりにも力を入れています。職員が安心して力を発揮できる環境が、利用者様へのより良い支援につながっていくと思っています。
――現在、特に力を入れて取り組んでいることはありますか。
現在は、ホームページやSNSを通じた発信を強化しています。自分たちの取り組みを、より多くの方に知っていただけるようにしたいと考えています。
また、社内ではさまざまなことを数値化しながら、前月と比べて何が改善したのか、どこに課題があるのかを、感覚ではなく数字で見る取り組みを進めています。現状を正しく捉えながら改善につなげていくことを大切にしています。
挑戦し続けることが自分らしい生き方
――経営の中で譲れない思いはありますか。
「仕事は人生だ」と思って取り組んでいます。人生の大部分を仕事に費やしているからこそ、仕事には自分の生き方や価値観が表れるものだと思っています。
だからこそ、守りに入るよりも、どれだけ挑戦できるか、どれだけ機会を掴みにいけるかを大切にしています。もちろん、無理をして組織を壊してしまってはいけませんが、高い目標を掲げて、そこに向かって進み続けることが自分らしい生き方だと感じています。
その姿勢は、経営の中でも常に大切にしていきたいと思っています。
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
休日は地域の草サッカーチームでサッカーを楽しんでいます。地域の人たちが集まって楽しむようなチームで、仕事とは違う環境で体を動かせるので、良いリフレッシュになっています。
あとは、妻と出かけることも多いですね。そうした時間が気持ちを整える時間になっています。