体と心をまるごと整える――薬剤師の経験から生まれた、新しい健康サポートのかたち
合同会社SORATOSEI 代表 中村まい氏
病院薬剤師として長年医療の現場に携わってきた中村まい氏。多くの患者と向き合う中で感じたのは、薬や医療だけでは補いきれない健康の課題でした。自身も不妊治療や育児、仕事との両立、体調不良を経験し、「本当に必要なのは体と心の両方を整えることではないか」と考えるようになったそうです。現在は合同会社SORATOSEIを立ち上げ、妊活中の女性やキャリア女性、子育て中の母親を中心に、日常生活に寄り添ったサポートを提供しています。今回は事業への想いや創業の経緯、今後の展望について伺いました。
体と心を整え、本来の元気を取り戻すサポート
――現在の事業内容について教えてください。
私が取り組んでいるのは、体と心を元気にするためのサポートです。薬剤師として病院で長く働いてきた経験から、医療だけでは補えない部分がたくさんあると感じてきました。
もちろん医療は大切です。ただ、本質的な健康づくりは日常生活の中にあります。体質を整えたり、生活習慣を見直したりすることで、体も心も大きく変わっていく。その部分をサポートしたいという想いで活動しています。
現在は妊活中の女性、キャリア女性、子育て中のお母さんを中心に支援しています。自分のことを後回しにして頑張り続けている方が本当に多いので、そうした女性たちをしっかり支えていきたいと思っています。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
大学時代から東洋医学を学び、社会人になってからは国立病院機構で西洋医学を中心に経験を積んできました。東洋医学と西洋医学の両方を理解していることは大きな強みだと思っています。
西洋医学には西洋医学の良さがあり、東洋医学には東洋医学の良さがあります。どちらか一方ではなく、その人に合った方法を見極めながら提案できることが特徴です。
医療的な知識だけではなく、人の考え方や生き方といった哲学的な部分も含めて見ていくことで、一人ひとりに合わせたサポートができると考えています。
自身の経験が創業の原点になった
――起業されたきっかけを教えてください。
もともとは国立病院の薬剤師として働きながら、キャリアを積んでいくつもりでした。
ところが結婚後、子どもを望んでいたにもかかわらず不妊治療が必要になりました。その後、妊娠・出産を経て育児と仕事を両立しながら頑張ってきたのですが、次第に体も心も疲弊していったんです。
大きな転機になったのは健康診断でした。精密検査が必要と言われ、自分自身の働き方や生き方を見直すきっかけになりました。
それまで私は気合いで乗り越えてきた部分が多かったのですが、体は正直です。無理を続ければ限界が来る。その現実を突きつけられたような気持ちでした。
そこで東洋医学や薬学の知識を活かしながら、自分自身の体を根本から整えることに取り組みました。医療に頼るのではなく、自分の生活や体質を見直していったところ、体調も大きく改善したんです。
その経験を通じて、「同じように悩んでいる人の力になりたい」という想いが強くなりました。
――病院勤務では実現できなかったことがあったのでしょうか。
病院では患者さんに薬の説明をすることが中心になります。
もちろん薬が必要な場面はたくさんあります。しかし実際には、「本当に必要なのは薬ではなく生活習慣の改善ではないか」と感じるケースも少なくありませんでした。
患者さんが退院すると、その後の生活までは見届けることができません。でも本当に大切なのは退院後の日常です。
現在は食事や睡眠、生活習慣など幅広い情報を共有していただきながらサポートしています。日常生活に寄り添うことで、体質改善につながり、結果として薬を減らせる可能性も高まります。
私が本当にやりたかったのは、そこだったのだと思います。
女性がもっと自分を大切にできる社会へ
――今後取り組みたいことを教えてください。
今は主に個人向けのサポートを行っていますが、今後は企業への支援も広げていきたいと考えています。
女性は妊娠・出産・育児・介護など、ライフステージごとにさまざまな課題を抱えます。月経による不調なども含め、体の問題が仕事に大きく影響することも少なくありません。
私自身も不妊治療や妊娠、育児と仕事の両立を経験してきました。意欲があっても体調が悪くなると心まで落ち込んでしまう。その苦しさを身をもって知っています。
だからこそ、女性がもっと元気に働ける環境づくりに貢献したいと思っています。福利厚生のような形で企業に関われたら理想ですね。
また、心と体はつながっているという「心身一如」の考え方を大切にしています。体だけ、心だけではなく、両方をまるごと整えられる女性を増やしていきたいと考えています。
――現在の課題は何でしょうか。
一番の課題は認知です。
忙しい女性ほど、自分自身のケアを後回しにしがちです。そのため、まずは「自分を大切にすることの重要性」に気づいてもらう必要があります。
現在はホームページやSNSを活用した情報発信に加え、地域の施設や公共施設などリアルな場での活動にも取り組んでいます。
また、最近は「丸ごと食べる薬膳茶」という商品を販売し始めました。もともとはイベントで提供していたお茶が好評だったことがきっかけです。
ただ、商品を売ることが目的ではありません。本当に求められているものを見極めながら、自分のサービスと社会のニーズを結び付けていきたいと思っています。
家族との時間が何よりのリフレッシュ
――休日はどのように過ごされていますか。
小学生の子どもが2人いるのですが、最近は子どもたちの習い事を見る時間が楽しみになっています。
剣道やサッカーを頑張っている姿を見ていると、こちらまで元気をもらえます。上達してほしいというより、楽しそうに取り組んでいる姿を見ることが嬉しいんです。
旅行も好きですね。特にキャンピングカーや車中泊での小旅行が好きで、時間を見つけて出かけています。
育児休業中には、家族で東京から種子島まで車中泊をしながら旅をしたこともありました。子どもたちも今でも覚えているほど印象に残っているようです。
車中泊の魅力は自由さだと思います。チェックインやチェックアウトの時間に縛られることもなく、自分たちのペースで移動できる。そんな気軽さが好きなんです。
家族との時間を大切にしながら、自分自身もリフレッシュしています。
そしてこれからも、頑張りすぎている女性たちに「もっと自分を大切にしていい」と伝え続けていきたいと思っています。体と心の両方を整え、自分らしく生きられる人を一人でも増やしていくこと。それが私の目指す未来です。