好きから始まった絵画教室を、次の場所へ。子どもたちにアートの楽しさを伝え続ける

合同会社キャンディブックス 代表 阪尾 真由美

個人事業として絵画教室を立ち上げてから14年。事業開始から10年の節目で法人化し、会社としては4年を迎えました。現在は子ども向けには絵画造形クラスと、小学校受験絵画・工作クラスを運営しています。大人の絵画クラスもあります。

生徒が集まるまでの時間を耐え抜き、少しずつ教室を育ててきた歩みの背景には、「絵が好き」という講師たちの共通した思いがあります。代表に、教室を始めた経緯や経営で大切にしていること、組織づくり、今後の展望について伺いました。

「絵が好き」という思いを、子どもたちへ手渡す

――現在の事業内容と、教室の特徴を教えてください。

現在は、子ども向けには絵画造形クラスと、小学校受験の絵画・工作クラスを運営しています。大人のクラスもございます。

受験向けの絵画教室では受験対策だけを扱い、一般的な絵画造形教室では受験の内容を扱わないというケースが多いと思います。当教室では、その両方を用意していることが特徴です。普段は絵画造形コースで楽しく制作に取り組み、受験をすることになった場合には、その環境を大きく変えることなく受験の勉強へ移ることができます。

生徒の多くは絵画造形コースに通っていますが、必要に応じて受験対策にも取り組める体制を整えています。

――教室の理念として大切にしていることは何でしょうか。

講師は全員、美術系の大学出身です。みんな、生まれた頃から絵が好きで、絵を描くことが好きでたまらなかった人たちです。

そのため、子どもたちに何かを一方的に教え込むというよりも、アートの楽しさを伝えることを大切にしています。講師自身が絵を好きであり続けているからこそ、その気持ちを子どもたちと共有できると考えています。

自分たちが感じてきた「描くことの楽しさ」や「つくることのおもしろさ」を、子どもたちにも感じてもらいたいという思いが、教室の根底にあります。

独立を決めたのではなく、続けた先に経営があった

――絵画教室を始めたきっかけを教えてください。

最初から経営者になろうと思っていたわけではありません。学生の頃、アルバイトで子どもたちに絵を教える仕事を経験し、「これは楽しい」と感じたことが始まりでした。

もともと絵を教える仕事を目指していたわけではありませんでした。ただ、子どもたちと一緒に絵を描いたり、工作をしたりする毎日を過ごすうちに、これは自分の天職だったのだと思うようになったのです。その後、3年ほどで独立しました。

初めは一人で教えていましたが、想像していた以上に忙しくなり、お手伝いをお願いする形でアルバイトの講師を増やしていきました。

教室を大きくしようと明確に考えていたわけではなく、続けているうちに生徒が集まり、一人では回せなくなり、講師が増え、法人化に至ったという流れです。

――立ち上げ当初は、どのように教室を運営していたのでしょうか。

いきなり専用の部屋を借りることは難しかったため、まずはレンタルスペースを探しました。いくつか候補を絞った中で、東北沢付近にあった広いダンススタジオを使わせていただくことになりました。

毎回、床や室内を汚さないためのシートや画材一式をキャリーで運び、準備をしてから教室を開いていました。生徒が集まり、安定するまでには2、3年ほどかかりました。その後、現在教室を運営している笹塚で部屋を探し、移転しました。

最初から十分な環境が整っていたわけではありません。場所を探し、道具を運び、生徒が集まるまで続けるという一つひとつの積み重ねによって、少しずつ教室を形にしてきました。

――経営判断をする際に、大切にしている考え方はありますか。

新しい講座を開くときは、確実に集客できる保証がないため、悩むことが多くありました。新しい場所・スケジュールで始めると告知しても、すぐに多くの方へ知れ渡るわけではありません。

そのため、始めのうちは少人数で赤字になることも覚悟し、1、2年は我慢して続けるようにしてきました。少しずつ増えることもあれば、ある時まとまって増えることもありますが、出だしの厳しい時期を越えると、次第に安定していく。そのサイクルを経験してきました。

うまくいくか分からない中でも、一歩を踏み出して続けることは、特に初期の数年間に何度も必要になった判断でした。

無理のない関係を築き、教室をもう一つの場所へ

――講師とのコミュニケーションや、採用で重視していることを教えてください。

講師同士は下の名前(〇〇先生)で呼び合っています。仕事上の連絡にはグループLINEを使っていますが、返信をしなければならないと思わせると負担になるため、連絡用のグループでは応答しなくてよいというルールにしています。

私から「今週の内容はこれです」と連絡を送り、講師には既読で確認してもらう形です。必要な情報は共有しながら、過度なやり取りを求めないようにしています。

一緒に働く方には、まず子どもが好きであることを求めています。また、目の前の子だけではなく、少し離れた席にいる子どもにも目を配れる方がいると安心です。複数の子どもがいる中で全体を見渡し、状況に気づけることを大切にしています。

――今後、どのようなことに挑戦していきたいですか。

現在、絵画教室は一か所で運営しています。また、家庭教師として各家庭を訪問している講師も何人かいます。そのような中で見据えているのは、現在の教室とは別の地域に、もう一つ教室をつくることです。

現在は一か所での運営なので、私自身が毎日、教室に目を配ることができます。別の場所で開くとなれば、別の講師を中心に据えて運営しなければなりません。そのため、自分の代わりとなって教室を任せられる講師を育てることが、今後の課題です。

新しい教室を開くことと並行して、講師の育成や運営の仕組みづくりにも取り組んでいきたいと考えています。これまで一か所で培ってきた教室のあり方を、別の場所でも続けられる体制を整えることが、次の挑戦です。

素材・技法に触れる休日。ガラス胎七宝の作品づくりでリフレッシュ

――仕事を離れた時間には、どのようにリフレッシュしていますか。

現在は、ガラス胎七宝を習っています。ガラスに釉薬で絵付けをする技法で、ガラスの粉を使って絵を描き、焼成します。

今後は、その技法を使って食器やブローチなどを制作したいと思い、取り組んでいるところです。絵画教室とは異なる素材や技法に触れながら、制作する時間を楽しんでいます。新しい表現に触れることが、現在のリフレッシュにもなっています。

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