地域に根ざした建設会社を次代へ――マツナガ建設が描く、建設・コンサル・アートの新たな挑戦

マツナガ建設株式会社 社長 松永 恭輝氏

マツナガ建設株式会社は、昭和31年創業の建設会社です。3代目として会社を引き継いだ松永恭輝氏は、木造住宅やアパートの新築・リフォームに加え、建設コンサルティング、アートギャラリーの運営にも取り組んでいます。本記事では、松永氏に事業の特徴や承継の背景、今後の展望などについて伺いました。

地域の信頼を受け継ぎ、質の高い建設を届ける

――現在の事業内容について教えてください。

現在は、主に3つの事業を行っています。

1つ目は、建設の請負業です。木造住宅やアパートを中心に、新築工事やリフォームに対応しています。当社で各業者様の手配を行い、案件ごとに必要な職人さんや専門業者の方々と連携しながら工事を進めています。

2つ目は、建設コンサルティングです。ホテルや旅館、商業ビル、オフィスビル、物流倉庫、工場など、事業目的で使われる建物のオーナー様に向けて、固定資産に関する見直しを行っています。固定資産税の課税が高くなっているなかで、合法的に適正化を図り、キャッシュフローの改善につなげるご提案をしています。

3つ目は、アートギャラリーの運営です。アーティストの方の個展開催や、イベントスペースとしての貸し出しを行っています。素晴らしい作品をつくられていても、なかなか日の目を見る機会がない方も多くいらっしゃいます。そうした方々を少しでも多くの人に知っていただける場所を提供したいと考えています。

――他社にはない強みはどのような点にありますか。

昭和31年から続く建設会社として、昔から培ってきた技術を活かせることが強みです。クオリティを高く保ちながら、他社と比べても価格面でご提案しやすい部分があると考えています。

建設業界において、70年近く続いている会社は私たちの地域でも数少ない存在です。長く続けてこられた背景には、地域の皆様からの信頼があると感じています。その信頼を大切にしながら、質の高い住まいや工事を届けていきたいです。

IT業界から建設会社の3代目へ

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

私は、もともとは建設業の人間ではありません。新卒から約10年にわたり、AIやWeb3、暗号資産の領域で営業に携わり、IT企業では執行役員として営業部門も担当していました。当時は、このままIT業界で仕事を続けていくものだと思っていたんです。

そんななか、大きな転機となったのが父の病でした。当初は会社を畳む方向で話が進んでいましたが、借入や会社名義の資産もあり、簡単に廃業できる状況ではありませんでした。70年近く続いてきた会社をここで終わらせてしまうのは惜しい――そんな家族の想いもあり、最終的に私が会社を引き継ぐ決断をしました。

もちろん、建設の知識はほとんどありません。そこで出会ったのが建設コンサルティング事業です。病床の父もその話を聞き、「これならマツナガ建設を守り、成長させられるんじゃないかと」と背中を押してくれました。営業経験を活かせる分野でもあると感じ、この事業とともに会社を引き継ぐ決意を固めました。

――経営判断で大切にしていることはありますか。

現時点では経営者としての経験はまだ浅く、明確な判断基準が固まっているわけではありません。ただ、意思決定をする際には、自社だけでなく、お客様や取引先など周囲にとっても価値のある選択になっているかを意識しています。

経営については、まだ学ぶべきことが数多くあります。これからも一つひとつ経験を積み重ねながら、自分なりの経営スタイルを確立していきたいと考えています。

業者とお客様、双方に喜ばれる関係づくり

――運営体制について教えてください。

当社では、従業員をほとんど抱えず、案件ごとに専門業者や職人の方々と連携しながら施工を進めています。それぞれの専門性を活かせる体制を構築しているのが特徴です。

こうした現場を支える協力会社の方々との信頼関係は、何より重要です。品質を維持しながら適正な条件で仕事を依頼し、お客様にも納得いただける提案を行うことで、双方にとって価値のある関係づくりを目指しています。

――今後、一緒に働きたい人材像はありますか。

私自身、建設業界についてはまだ知識も経験も不足していると感じています。そのため、今後もし採用やパートナーづくりを進めるのであれば、業界経験が豊富な方と一緒に仕事をしたいです。自分に足りない部分を補いながら、よりよい体制をつくっていきたいと考えています。

建設コンサルとDXで業界の課題に向き合う

――今後取り組んでいきたい挑戦を教えてください。

まずは、建設コンサルティングの事業を広げていきたいです。すでに大手企業などでは使われているスキームですが、個人のオーナー様にはまだ十分に浸透していないと感じています。固定資産税が高くなっているなかで、必要としている方に知っていただき、オーナー様に喜んでいただけるきっかけをつくりたいです。

また、建設業界では、ITやDXの導入がまだ進んでいない部分も多いと感じています。請求書が郵送やFAXで届くなど、昔ながらのやり方が残っている場面もあるため、職人や現場に立つ方々も含め、業界全体のDXやITリテラシーの向上に貢献していければと思っています。

何よりも「楽しむ」ことを大切に

――仕事をするうえで譲れない想いはありますか。

状況に応じて柔軟に対応していきたいため、強いこだわりを持ちすぎないようにしています。ただ、1つだけ大切にしているのは、常に自分が楽しむことです。

仕事をするうえで、自分自身がモチベーションを失ってしまうと、前に進む力も弱くなってしまいます。自分がやりがいを感じ、誰よりもまず楽しむこと――それは、これからも変わらない軸だと思っています。

――最後に、休日のリフレッシュ方法を教えてください。

休みはある程度しっかり取れており、週末は所属しているよさこいチームの練習に参加したり、お祭りで演舞をさせていただいているほか、月に1度農業体験イベントを主催してリフレッシュしています。

もともと人前で表現することが好きで、俳優を一度経験したことがきっかけになり、よさこいなどにも取り組むようになりました。仕事とは関係なく楽しめる時間であり、利害関係のない仲間たちと一緒に何かをつくることに大きな魅力を感じています。大人になってから、もう一度青春を味わっているような感覚です。

経営でも遊びでも、何をするにも楽しむこと、そして、自分のやりたいことを、自分らしくやること――その姿勢を大切にしながら、これからも自分らしく挑戦を続けていきたいです。

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