ブランドの力で経営の本質を解く「選ばれるらしさ」の創造

株式会社ビー・アイ・ピー・ジャパン 代表取締役 岡田 裕幸氏

企業にとって「ブランド」とは何か。多くの経営者が、ロゴデザインや広告といった「見栄え」の制作業務と混同しがちなこの言葉を、岡田裕幸氏は「経営そのもの」と定義します。外資系ブランドコンサルティング会社で15年の研鑽を積み、その後も16年にわたりブランドの視点から企業の経営・事業戦略を支えてきた同氏。デザインの先にある「企業らしさ」を抽出し、企業価値を最大化するその哲学に迫ります。

戦略的ブランディング:デザインを超えた上位概念へのアプローチ

――現在の事業内容や特徴や強みについて教えてください。

弊社はブランド戦略のコンサルティング会社です。一般的なブランド会社との違いは、クリエイティブワーク(デザインや制作物)のみに終始せず、経営戦略や事業戦略という上位概念からアプローチしている点です。

多くの方がブランディングを「イメージアップのための制作業務」と捉えていますが、私はそう考えていません。例えばBtoB企業において、ロゴを作ったりWebサイトを整えたりすれば強くなれるわけではありません。まずは、その会社が事業環境の中でどうあるべきか、どのような顧客価値を提供すべきかを考え、「らしさ(アイデンティティ)」を明確にすること。そして、そのアイデンティティを基軸に一貫性ある経営や事業を展開し、顧客・社員・社会の支持を獲得すること。これこそがブランド戦略の核心です。デザインはあくまで必要に応じたビジュアル化の手段であり、私たちの役割は、それも含めて経営や事業戦略をブランドという視点で強くすることにあります。

まずは内部環境、すなわち中期経営計画や事業方針を深く理解するところから始めます。あわせて、外部環境分析として競合の動向を把握し、トップマネジメントへのヒアリングを通じてクライアントを知ること。その中で社内では気づかれていない「強み」や「会社らしさ」を抽出することもあります。長く継続している企業には必ず、社内では当たり前すぎて見落とされている独自の強みが存在します。そこを客観的な視点から言語化し、顧客価値を踏まえてブランド戦略へと昇華させていくのが我々の手法です。

ブランドの視点から経営を見つめる。独立とキャリアの原点

――経営者になられた経緯を教えてください。

もともとは外資系のブランドコンサルティング会社で長年実務を積んできました。そこでブランドと経営の相関性を肌で感じ、MBAを通じて経営学の視点も養ったことが、現在のキャリアの礎となっています。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

私がコンサルタントとして大切にしていることは、「顧客第一」ではなく「顧客価値第一」であるということです。クライアントから「こうしたい」という要望をいただいたとき、それをただ実行するのではなく、「ブランドの視点から見て、それは本当に貴社にとってプラスになるか」を問い直します。お世辞を言うのではなく、本質的にお客様にとって何が最善かを突き詰める。そのぶれない姿勢こそが、企業価値を高めるための唯一の道だと信じています。

少数精鋭のプロジェクトチーム。多様な専門家と描き出す「らしさ」

――組織運営で意識していることを教えてください。

弊社はコンサルテーション以外は外部のネットワークと連携し、案件ごとに最適な専門家とプロジェクトチームを組む形をとっています。ロゴデザインならこのデザイナー、コピーライティングならこのライター、商標ならこの弁理士といったように、クライアントの要望や特性に合わせたベストなメンバーを招集します。

彼らとのコミュニケーションにおいて重要視しているのは、単なる作業の丸投げではなく、私のディレクションのもとクライアントにとって何が必要かを理解してもらうことです。

現在、採用などは考えていないのですが、一緒に仕事をする方々とは価値観や方向性を分かち合い一緒に働いて行きたいですね。

経営を強くする一助として。ブランドが描く未来の可能性

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

この16年間、「ブランド戦略で経営は強くできる」と伝え続けてきましたが、依然として正しく理解される機会は限られています。今後は、一人でも多くの経営者様に、ブランディングが単なるイメージ作りのための業務ではないことを知っていただきたいですね。

特に、自社の強みやアイデンティティを見失いかけている企業に対して、外部の視点から「らしさ」を抽出し、強固な経営や事業展開へと活用できるお手伝いをしていきたいと考えています。

精神を研ぎ澄ます剣道と、知識で深めるワインの世界

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

頭をフル回転させる日々を送る中で、私にとって欠かせないのが剣道です。今でも週に数回稽古していますが、道場で相手と対峙することで、精神を集中させる時間は、格別なリフレッシュになっています。

またワインも大切な趣味の一つです。家内とフランスの産地へ足を運ぶこともあります。

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